第82話 権力の監視

 目的語が主語になると、社会に恐怖が生まれることもある。

 マスコミの役割の一つである「権力を監視する」ことが、最近は逆転し「権力がマスコミを監視する」という。


▼しんぶん赤旗は警鐘を鳴らす。

「安倍政権下では、徹底したメディア対策が取られました。特に影響力の大きいテレビに対し、政権に批判的なニュース番組のキャスターを降板に追い込みました。官房長官時代からメディアに対してさまざまな干渉・圧力を加え、日本学術会議人事への介入にみられるように、強権をいとわない菅義偉首相のもと、メディア監視の一層強化が懸念されます」と。


○官邸のテレビ監視に驚きぬメディアを支配し何処へ向かふや

○昨今の権力者たちの言動は弱きをくじき強きにへつらふ

○いつの世も服(まつろ)はぬ民への見せしめはお上のなさる常套手段か


▼新聞には〈社説〉という武器がある。

「ペンは剣よりも強し」の正論を吐きにくければ、からめ手の〈コラム〉などよかろう。

 朝日新聞『天声人語』とか毎日新聞『編集手帳』など有名だが、身近に『天窓』があった。

 社会の暗闇に光を差し入れるよう更に期待する。


▼菅政権の発足から二か月。その足跡をたどって詠めば…。

○日本学術会議の会員六名の任命拒否とふ蛮行許さじ

○日本学術会議任命拒否とふ理不尽に戦前回帰を恐れをるなり

○中曽根大勲位に弔意を示めせと菅総理。忘るるなかれ神嘗祭を


▼外遊先の演説で原稿の「アセアン」を「アルゼンチン」と読み違えたらしい。

 太郎君や晋三君と同程度。

 そんな義偉君には秋田弁でエールを送る。

「がりっとけっぱれ!」

○法政とふ母校の名前に恥じぬやう法にのつとり政(まつりごと)せよ


(20201130)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る