第81話 ニーメラーの轍(てつ)
例の〈日本学術会議の任命拒否問題〉に対して(国内のみならず)さまざまな団体や個人が抗議声明を出している。
▼そのなかで引用されたのが、ドイツの牧師マルティン・ニーメラーの言葉。
「ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は少し不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた」―。
▼ニーメラーの轍(てつ)を踏まぬよう、私たちは何をすべきなのだろう。
「自分とは関係ない」と軽視しているうち、気づけば恐怖の監視社会! という日本の戦前戦中の歴史を聞かされた。
○「得意顔」の鼻高々を連想し「特高(とくだか)顔」と、戦後生まれは
「大した問題ではない」と軽視したがる〈ゆでガエル〉心理にも要注意だ。
▼しんぶん赤旗には、こんな引用も…。
「『発端に抵抗せよ』と『終末を考慮せよ』という有名な格言を私は何度も考えてきました。でも、発端に抵抗するためには、終末が見越せなければならないのです」と元ナチ党員の言語学者は語った。
▼こんな折にネットで見つけた『日本学術会議会員任命拒否についてイタリア学会による声明』が面白い。
一部紹介する。
「古代ローマの時代には、時の政権の勝手な振る舞いから国民を守るための公的機関である〈護民官〉が設置されていた。現代の公務員に匹敵する護民官は、時の権力を批判・牽制するために作られた驚くべき官職である」
▼多くの人は「いざとなったら行動するから…」と言うが「それでは遅すぎる」のだ。
歴史に学ぼう。
(20201116)
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