第72話 ハンディキャップ

 「感想戦は敗者のためにある。その行為自体が他の世界では珍しいと思う」とは、藤井聡太新二冠(棋聖・王位)の言葉。

 負けず嫌いらしいが「勝ち負けを超えて将棋の本質に迫りたい」というのが凄い。

○世のなかに「藤井聡太」は多かれど二冠を得しは唯一君なり


▼日本将棋連盟ホームページで〈裸玉〉という究極の駒落ち戦をみた。

 上位者の駒を最初から減らしての勝負で、棋力の差があるほど多くの駒を落とす。

 裸の王様は実際どんな戦をするのだろう。


▼囲碁の対局では「置碁」と言い、下手が黒石をいくつか置いてから対局する。

 最高で何十くらいまで黒石を置けるのか…素人には想像もつかない。

 ゴルフでは「打数」が、競馬や競艇では「重り」が、オートレースでは「距離」が、ハンデとして使われているそうだ。


▼そもそも〈ハンディキャップ〉とは…。

「機能障害や能力障害に起因する社会的に不利な状態」と人権啓発用語辞典には記載されている。

 その視点に立てば、〈老人〉とは「加齢によるハンデを持つ姿」と理解できよう。

 さらに〈認知症の人〉ならば「認知機能にハンデを持ちながら一生懸命に生きようとする姿、それができずに困惑している姿」と言える。


▼そう考えれば「問題行動」などという言葉で切り捨てるのは許されないはず。

 たとえば「徘徊」という表現…絶えず歩き回るなど客観的には目的不明に見えても、本人にしてみれば(不安に対する)切実な行動なのだ。


▼これらを欧米では「チャレンジング行動」と呼び、適切なサポートを提供している。

 そこに弱者を見下ろす視点はない。

 社会全体が「ハンデをつけて」弱者と同じレベルに立とうとする姿が見える。


▼いずれ〈加齢によるハンデ〉を持つ人々が社会にあふれ、何をするにも手間取るはず。

 その時に備えて今のうちから社会生活のスピードダウンを!


(20200921)

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