第69話 うたよみん
夕食後に涼みながらベランダで果物を食べお茶を飲む。
津軽弁で言うところの「あんずますぃ」状況である。
〇豆乳に乾燥果実に寒天に…愛くはへしが妻の車厘(じぇりぃ)ぞ
○夕日を背に入道雲を見てゐしが右半分のみ虹のかかれり
〇乱雲にたまゆら虹の断片の架かれり今年の夏の思ひ出
▼短歌の断片が浮かんだらメモをとる。
そんなとき便利なのがスマホの〈うたよみん〉アプリ。
縦書きなので歌の流れが見やすく重宝する。
推敲が済めば公開もできるし〈いいね〉やコメントもつく。
「矢立」と令和の歌詠みは呼びたい。
○夏の宵スマホ片手にベランダで短歌(うた)詠みをれば万葉の風
▼原稿を書いている今日は終戦記念日。
仙台管区気象台は〈立秋〉の7日「今年は東北北部の梅雨明けを判断しない」と発表した。
この天候不順にも地球温暖化が関係しているらしい。
あちらこちらで暴風雨やゲリラ豪雨などの被害を聞く。
○突然の雷雨に子らは驚きて奇声を発し逃げまどふなり
▼それでも御盆に入ったら急にトンボがベランダのまわりを飛ぶようになった。
「トンボがでたね。御先祖さまが盛岡の様子を見に来たんだよ、きっと」
「そうね。そういえば御盆だし…お経を唱えましょうよ」と妻は岩手山へ向く。
〇みちのくは梅雨あけぬまま盆むかへ飛びかふ蜻蛉や先祖の霊ならむ
○日のしづむ西方浄土へ掌(て)をあはせ「南無阿弥陀仏」と十度(とたび)となへぬ
▼夏の陽は長いが早たそがれどき。
「わが人生も…」は言わずにおこう。
「しあわせだね~」と互いに一言。
金色から茜色にそまった雲を光背に岩手山のシルエットがうなずいた。
〇満帆に〈老い風〉うけて「宜候(ようそろう)」と老い真盛り頑張り盛り
(20200824)
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