第65話 禍中見舞
盛岡北郵便局の前で〈かもめ~る〉がはためいている。
例年なら〈暑中見舞い〉の時期なのだが…。
令和元年の暮れから半年以上もマスクを外せないので、季節感が狂ってしまう。
○「コロナ禍中お見舞ひ申しあげます」を暑中見舞ひの代はりとなさむ
▼そんななか大先輩からメールが届いた。
中村幸輔さんは若いころ小型機の免許を取り、あちこち飛び回ったそうだ。
さすがに今は、お子さんの操縦する小型機から撮影するのが楽しみらしい。
○岩手山を高度九千(ft.)のチェロキーから撮りしとふ八十路の友の送り呉れたり
▼法律で「火口上空の飛行は禁止」だと聞いた。
斜め上空からの撮影となって、結果的には二つの火口がよく見えている。
緑色の西カルデラと褐色の東カルデラの両方とも(周囲はギザギザで)ビール瓶の王冠を裏返したようだ。
▼そういえば4月に、メキシコの〈コロナビール〉が生産を一時停止すると発表した。発音が「コロナビールス」に似て、風評被害が出たからだとも聞く。
かつて我が家で使った〈コロナ〉という名前の自動車や石油ストーブ…。とばっちりを受けていなければいいが。
▼さて場面かわって、東北地方戦略本部の一室。
「巌鷲山の山頂には二つの巨大な王冠が載っていました。ありとあらゆる者の支配者と見受けられます」と、岩手方面先遣隊の隊長が報告している。
「王冠を二つとは〈双頭の鷲〉のことかもしれないな。敬意を払って、岩手県への侵攻は止めにしよう」
▼司令官は(全身のギザギザを震わせながら)作戦中止を告げた。
それに従い、無数の〈新型コロナウイルス〉たちも(全身のギザギザを震わせながら)天空へと飛び散った。
…というのは全くの〈与太話〉である。
(20200727)
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