第62話 百寿の賛歌
〈盛岡タイムス〉と〈岩手日報〉に目を通すのが朝食前のルーティンである。
自分の投稿を探す。
…が岩手のレベルは高くて、ほとんど空振りの毎朝だ。
▼岩手日報『ばん茶せん茶』欄に掲載の「五月晴れ」を繰り返して読んだ。
筆者(中村ときさん)は百歳だとおっしゃるが、みずみずしい感性あふれる文章は全くお歳を感じさせない。
▼百歳以上の日本人は7万人余りらしい。
でも「文章を書くのが好き」という中村ときさんのような方は珍しい…と思う。
そのうえ「短歌を詠むせいか、風景や草花など自然をよく見る。文章を書けるうちは続けていく」と前向きだ。
▼大正生まれの方々は(団塊世代の)私にとって亡き親の世代にあたる。
そして短歌が趣味ということも(昨年から始めたばかりの)かいなでの歌詠みにとっては親近感がわく。
○百歳の媼の書きしエッセイの〈五月晴れ〉には青春さへみゆ
▼偶然「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」という催しを見つけた。
この大会の選者で歌人の伊藤一彦氏は『百歳がうたう百歳をうたう』のなかで述べている。
「そもそも老いとは何歳からか。九十歳をこえて心身とも元気な方もいれば、六十代で(人生は終わったように思いなす)後ろ向きの人もいる。老いの基準はないに等しい」と。
▼さてと…古希を過ぎたばかりの自分はどうだろう。
老健施設長として、看取り(死)に立ち会うことが多い。
そのせいか、妙に悟りきった生き方をしていると気づいた。
▼ほとんど雪の消えた岩手山から視線を空に向ける。
百歳の媼のように、もっと前向きに生きようと決めた。
○言霊の幸ふ国に生きてきて歌詠む楽しさ難しさ知る
○日々一首詠み続けたし一万首、吾も百寿の歌詠みとならむ
(20200706)
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