第54話 温故知新

 コロナ禍の「八割おじさん」と言えば、あの憎めない風貌の御仁。

 北海道大学の西浦博教授(厚生労働省クラスター対策班)は、新型コロナウイルス感染症の動きを〈数理モデル〉で予測した。

「何も対策をとらなければ」の前提で…。

○コロナ禍を数理モデルで予測すれば四十二万の死者が出るらし


▼「温故知新」と言う。

 1918(大正七)年、原敬首相が初の本格的政党内閣を組織した。

 この年にはスペインかぜが大流行し、社会機能を麻痺させたほど…。

 百年前(人口5596万3000人)の日本において、45万3000人の死者が出たと記録されている。


▼首相自身も罹患したそうだ。

 ネットの孫引きだが『原敬日記』には…。

「十月二十六日 午後三時の汽車にて腰越別荘に赴く。昨夜北里研究所社団法人となれる祝宴に招かれ其席にて風邪にかかり、夜に入り熱度三十八度五分に上る。二十九日 午前腰越から帰京、風邪は近来各地に伝播せし流行感冒(俗に西班牙風と云ふ)なりしが、二日間斗りに下熱し、昨夜は全く平熱となりたれば今朝帰京せしなり」とあるそうだ。

○原敬首相のスペイン風邪罹患は招かれし北里研究所の宴にてと思はる


▼百年前(ウイルスの存在すら知らなかった)人類は、スペインかぜ(インフルエンザ)で多くの被害を受けた。

 そして現在、新型コロナウイル感染症のパンデミックに見舞われている。

 いずれ終息しても、ウイルスはなくならないだろう。


▼変異を繰り返しながら、その時々の新型ウイルスは百年後にも千年後にも…。

 百年後の日本人口は(大正七年と同程度の)約5060万人まで減少すると推定されている。

 そして西暦3000年にはナント2000人!だとも聞く。

 テレビ番組の「ポツンと一軒家」を想う。

○いつの日か〈ポツンと…〉ばかりになり果つればパンデミックはゆめ起こるまじ


(20200504)

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