第51話 トークアイ

 毎年のことだが、四月一日のニュースには油断できない。

 令和二年はコレ!

「代表取締役は鈴木英里氏、東海新報社 新体制に」の見出しもエイプリルフールのネタだと思ったくらいだ。


 彼女と最初に会ったのは2012年…陸前高田市小友町に建てられた財当仮設住宅の談話室。

 月末の土曜日、夕食後に開かれる〈財当塾〉で取材を受けた。


〈医者の上手なかかり方〉をテーマにこんなエピソードも交えて話した。


「せんせい! 夜分すみませ~ん」と、自治会長の奥さんが年配の女性を連れて仮設住宅の玄関先に立っている。

「動悸で苦しいけど、かかりつけの先生は夜間診療してくれないの」と訴える。

 すぐに勤務先の高田病院へ連れていき(応急処置をしたうえで)翌日の外来受診と検査の予約をして戻った。

 健康講話は次のように締めくくった。

「かかりつけ医とコミュニケーションをとるには、看護師さんと上手く付き合うこと。そのとき自分の医療情報を伝えるのに便利なモノがお薬手帳です」と。


 この話には後日談がある。

 地元出身の(エリちゃんと呼ばれた)鈴木記者曰く。

「開業の先生に時間外の診療を頼むなんて…そんな発想すらなかった」

「そんなの、かかりつけ医って言わないでしょう」と逆にこちらが驚いた。


 数日後〈特集:TALK&EYE〉に掲載された。

 嬉しいことには、カラー版半紙面の記事を電子ファイルでもらえた。

 その後の支援先(大船渡市や南三陸町)でも〈勝手にトークアイ〉のプリントは大いに活用できた。


 四月一日の「東海新報」ネタで、三陸海岸を見おろす白い社屋を思い出した。

「郷土愛に徹し、リアスの理想実現を期す」が〈社是〉だと聞く。

 祖父・父から受け継ぐ鈴木英里新社長のもと、更なる東海新報の飛躍を祈念する。

「がんばっぺし! トークアイ新報」


(20200416)

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