第40話 ポツンと一軒家

 テレビの「ポツンと一軒家が人気だ」と聞く。

 登場人物まで「いつも見てます」と言うから、きっとそうなのだろう。

○いつの日か〈ポツンと…〉だらけになりはてば誰も見まじかる人気番組


 怖いもの見たさで、近未来の日本を想像しよう。

 国土交通省の〈国土のグランドデザイン2050〉は、こう予測する。

「日本中を一キロ四方で区切り、そこの居住人口を推定すると、居住地域の六割以上で人口が半分以下に減り、そのうちの二割は無居住化する」と。


 近未来の人口予測は更に続く!

 高齢人口のピーク時期…最も早いのは地方圏の2025年である。

 その後も、大阪圏2040年、名古屋圏2045年と続き、2050年には東京圏でさえ高齢者人口のピークを迎える。


 そこに起こるのが介護施設数のミスマッチ…大都市での不足と地方での余剰だ。

 解決策は、かつて「金の卵」と言われた(都会在住の)高齢者らへの〈ふるさと回帰〉と〈在宅ケア〉だろう。

○死に場所を選ぶことさへ難き今、在宅ケアの体制急げ


 日本の人口減少は激しいが、世界は(2010年の69億人から2050年の96億人へと)人口爆発が続く! との予測。

 日本の周辺には政情不安な国も多いなか、若い自衛官が不足していると聞く。大災害の支援活動などにも支障が出るだろう。

 さらには消防官や警察官などの不足を考えると、国民の安全を維持できるのか心配は増えるばかり。

○こんな世にしてしまひしは誰ぞかし。億分の一の責任おはむ


 いつの日か「ポツンと一軒家というテレビ番組で来ておりまして…」と高齢のディレクターが訪ねてきたら、「いつも見てます」と百寿の私は笑いながら応えてあげよう。

 …2048年の初夢。

○日本人は二千人まで減るらしも三十世紀の地球や如何に


(20200113)

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