第21話 昭和の東京五輪
岩手県営運動公園で、(旧)国立競技場の〈炬火台〉を公開!
陸上競技場の入り口には〈管理事務所で見学の手続きを〉の張り紙。
やれやれと手続きを済ませて戻ったところ…何のチェックもない。
〈トラックやフィールドに立ち入らないこと〉の掲示だけ。
素直に外周の草地を歩いていたら、トラックの第一コースに若い女性の姿…一眼レフカメラを肩にしたスーツ姿は、取材帰りの記者風。
見なかったことにしようか迷ったが…優しく「トラックは歩かないほうがいいですよ」と声をかけた。
この炬火台とは〈1964東京オリンピック聖火台〉のことである。
昔の記憶ほど大きくなかった。
夕映えの聖火台を前に、なぜか芭蕉の句「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」を思い浮かべた。
○ぬばたまの黒き炬火台のちひさきにとほざかる昭和の輝き
昭和39年開催だから、高度経済成長期の真只中だったはず。
でも個人的には受験時代で、青春を謳歌するでもない高校生活を送っていた。…と言って、猛勉強に明け暮れたという記憶もない。
○'64東京五輪は記憶あれど十六歳の吾の像おぼろ
半世紀も前なのに、女子バレーを思い出す。
ソ連を相手の決勝戦…〈木の葉落としサーブ〉でレシーブミスを誘い、強烈なスパイクを〈回転レシーブ〉で拾いまくる。そのたび、パンツに挟んだハンカチで床の汗を拭いた大和なでしこ…「東洋の魔女」と呼ばれた。
○〈東洋の魔女〉の回転レシーブも懐かしきかな東京五輪
岩手県営運動公園は早朝の散歩コースである。
地名の〈みたけ〉は、戦前の〈観武ケ原練兵場〉に由来すると聞く。
かつては、文字通り〈兵ども〉が訓練に明け暮れたのだろう。
今は老人たちが…。
○早朝の運動公園はにぎやかなり声も歩調もかつての若人にて
(20220715)
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