第13話 でんでんむし号

 盛岡暮らしで感じるのは、快適な市街地サイズ。

 あまり雪が積もらないのも、雪国育ちの夫婦には嬉しい。

 盛岡城跡公園、八幡宮、中央公民館、県立美術館など…お楽しみスポットは、私たちにとって散歩コースだ。


 重い食料品の買い出しも、〈でんでんむし号〉ならドア・ツー・ドア。

 引っ越し先の選択は、開運橋通で大正解だった。


 でも、荷物の多い時に小銭を用意するのは大変だ。

 そこで三千円のバスカードを夫婦で一枚ずつ購入した。

 大船渡市末崎町の風景がデザインされたバスカードには、〈穴通磯〉という文字の先に小さな穴が開いている。

 その下には30(百円)と書かれており、残高が3000円を切ったという目安だろう。


「名は体を表す」と言うが…〈でんでんむし号〉は止まりすぎる。

 スムーズに走れない原因は不法駐車の列。

 引っ越し当初は、不法駐車と街角の喫煙者の多さに驚いた。

 そこで提言したいのが「不法駐車ゼロ運動」だ。

〈でんでんむし号〉も走りやすくなり、〈カメ号〉くらいにはスピードアップするだろう。


 夢のような話として、次世代型路面電車システム(LRT)を盛岡に導入しようという動きもある。

 …が、多くの先行例では既存の路面電車軌道を利用している。

 新規導入を考えると、採算性などから見てもハードルは高いようだ。


 それなら、レール不要の電気バスにしたらどうだろう。

〈でんでんむし号〉を〈電電虫号〉に替えれば、市街地の排ガスや騒音の心配もなくなる。

 さらには専任の運転手として、ベテランの再雇用を推進しよう。

 接客能力の向上と運転手不足への対策も期待できる。


 盛岡市街観光の足として、宿泊料金にパックされた無料乗車券もアリだと思う。

 快適に走る〈電電虫号〉なら、もっと利用客が増えるはずだ。中国人観光客にも漢字は馴染みやすいだろう。


(20190325)

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