第10話 神頼みの作法

「人事を尽くして天命を待つ」…なんて、「言うは易く行うは難し」である。

「人事は尽くした」と適当に切り上げ「困ったときの神頼み」が普通だろう。


 然らば…と始めたのが毎朝のお参り。

 二人並び、二礼二拍手のあと三回唱える。

「幸魂 奇魂 守給 幸給」と。

 それから感謝を捧げて、お願い事は少しだけ…が、いつも妻のお参りは私より長い。


 お参りを始めた切っ掛けは、妻が参加した中央公民館主催のバスツアー。

 そこで友だちになった女性が、盛岡八幡宮で神職をされた方だと聞いた。

「八幡様の思し召しか…」


 弘前から小さい方の神棚を盛岡まで運び、盛岡八幡宮から御札をいただいた。

 神棚の祀り方は、件の神職さんから教えてもらう。しめ縄や榊を求め、米・塩・水・酒も供えた。

 気になるのが、(マンションなので)神棚の上の存在である。

 神職さんの勧めで「天」と書いた紙を天井に貼った。

「空」や「雲」のシールでも御利益は同じらしい。

〇神棚の上の天井に「天」の文字貼りて安心 天の川みゆ


 雲(クラウド)から、ぐぅんと発想が飛ぶ。

 …クラウド・コンピューティングとは、インフラやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、必要な時に必要な分だけ利用する考え方。

 なぜクラウドと呼ばれたか、これには諸説ある。

「インターネットの向こう側のサービスを利用していることからクラウドと呼ばれるようになった」という説が愉快だ。

 パソコンで検索したりスマホに尋ねたり、高齢者にとってもクラウドは「頼みの綱」である。


 自助努力をしたうえでの神頼みなら御利益があろう、と今朝もお参りした。

「おかげさまで、モリオカNOWは10回目になりました。今年こそ面白い原稿を書けますように…」と。


(20190211)

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