第2話
ある晩、寝てたら
「こんばんは~。うちの部屋へ、ようこそ~」
って女の子の声、聴こえてきた。
夢なのかなあ~って思った。そしたら
「ようこそ、うちの部屋へ~。こんばんは~」
って、また女の子の声、聴こえてきた。
ボクは半分寝ながら
「こんばんは~。よろしくね~」
って答えておいた。
「よろしくね~って、もう、とっくに、よろしくしてあげてるわよ~」
って女の子の声で返ってきた。
まだまだ夢の中のような感じだったから
「そうですよね~。いつも、よろしくしてもらってます~」
って答えた。
「わかってくれてたなら、いいわっ。うちは、かえです~」
「あっ、かよちゃんなんですね~」
「かえだよーっ。香る絵と書いて、香絵だよーっ」
「あっ、香絵ちゃんですね~」
「そうだよ~。あやめっちの師匠だよ~」
「あっ、お師匠さん。夜、遅くに、ありがとうございます~。それで何のご用なんでしょうか?」
「まあ、べつに、用はないけど、ちょっとあいさつに」
「ああ、そうなんですね」
「じゃあね。またね~」
って言って、香絵ちゃんは静かになったから、ボクは、そのまま眠りについた。
夢なのか何なのか、よくわからないまま。
翌日の晩からは、声はしなくなり、また寝てると、優しく体を抱きしめて愛撫してくるのを感じていた。顔にもチュッチュッとキスしてくる。
中3の間、しばらくずっと、そうだった。
中学はジェンダーレス制服なので、毎日、自分の好きな組み合わせで学校に着て行っている。
みんなも、ボクのことを女子のように見てくれている。
着替えも女子のほうで、やっている。
霊の女の子は、ボクのことを好きなのだろうか?
ボクのお師匠さんって言ってたけど、師匠と弟子の関係でいた時代から、もしかして、ボクのことを好きだったのだろうか?
その当時の気持ちのまま、今も、ボクを優しく愛撫して、キスしてくれてるのだろうか?
ボクは香絵ちゃんのことは、まったく覚えていない。
ただ、毎晩、寝てるボクのところに現れて、体を優しく抱きしめて、愛撫して、キスしてくれてるのを感じてるうちに、昔、香絵ちゃんと、会ってた時もあったのかもなと思うようになってきた。
女子のからだのボク、あやめっち ヤッキムン @yakkimn
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