家出してきた許嫁の妹がえっちな方法で誘ってくるので、やっぱり妹と結婚しようと思います。

水道管

第1話 清楚だったはずの義妹

「家出してきたから、泊めてくれませんか?」


そう言って、大きなキャリーケースを持って玄関の前に突っ立っている彼女の名前は、風間 律(かざま りつ)、俺の殆ど義妹と言っていい存在だ。

律ちゃんは俺の許嫁である、風間 凛(かざま りん)の妹で、姉に似て細身の美人さんである。

ただ、黒髪を伸ばしており物静かな事から、姉よりも清楚という言葉が似合う気がする。


そして、そんな彼女は何故か実家を家出してきたそうなのだ。


「それはいいけど…まぁ、とりあえず上がって。家出の理由とか詳しく聞きたい」


「分かりました」


そう言って、彼女は靴を脱いで綺麗に揃えるとキャリーケースを重そうに持ち上げ、リビングの方へスタスタと歩いていった。


とりあえず、お茶でも出して話を聞くとして…

でもなんで、こんな時に限って姉である凛が居ないんだよ。

凛はなんか、同級生の家でお泊まり会をするとかで今日は帰って来ないらしい。


全く、運が悪すぎる…


◇◆


「はい、お茶」


「ありがとうございます」


彼女の分の緑茶を置き、俺はテーブルを挟んで正面の椅子に腰掛けた。


「それで、どうして家出してきたの?」


「それは…」


「言いづらい?」


「いえ…実は、私もお見合いさせられそうになったんです」


なるほど、お見合いか。

まぁ、それが原因となると恐らく、その相手が気に入らないとかそんな理由だろう。


「それで、相手があんまり好みじゃなくて…みたいな感じ?」


「そうです、相手は10歳以上年上ですし…どっかのIT社長らしいんですけど…なんか、独占欲が強いというか。それで、私断ろうとしたんです…!でも、両親が許してくれなくて…それで、家出してきたんです」


時々言葉を詰まらせながら、彼女は事の経緯を詳しく説明してくれた。

なるほど、10歳以上年上か…

お見合いではなんら珍しいことではないけど、まだ16歳の高校1年生からしたら、まだ自由な恋愛とかしてみたい時期だろうな。


「なるほど、話してくれてありがとう」


「いえ、泊めてもらうならこれぐらいは話さないと…」


「分かった、とりあえず今日は泊まっていきな。今日は凛は帰ってこないから、凛の部屋を使うといいよ。その後の話はちょっと、凛と話し合ってみるね」


「本当にありがとうございます、この恩はどうにかして、返します」


そう言って彼女は深々と頭を下げた。

別に義妹なんだし、そんなにかしこまってお礼しなくてもいいんだけどな。


「そんな恩だなんて、義兄として当然の事をしてるだけだよ」


「ありがとうございます…はぁ、雅人さんがお見合い相手だったら良かったのに…」


もう一度お礼を言った後、何か小さい声でぶつぶつと何か口にしていたが、距離が遠くて文章になるほどは聞き取れなかった。


「じゃあ、丁度入ろうと思ってお風呂沸かしてたから、入ってきな。ゆっくりお風呂に使ったら頭も整理されると思うから」


「何から何までありがとうございます」


「そんなに何回もお礼言わなくて大丈夫だよ」


「そうですか…?ありがとうございます」


「あっまた言った」


「ほんとですね」


どうやら、「ありがとう」というのが癖になってしまったようだ。

そして、そんな自分の癖にクスリと笑い、キャリーケースからアメニティ類を取り出して、お風呂場へと向かった。


さてと、あの様子だと夜ご飯とかも食べてなさそう出し、手軽な野菜スープでも作って待ってるか。


◇◆


30分程経った頃、お風呂場の方から扉の開く音が聞こえた。

うん、丁度野菜スープも出来上がったし、グットタイミングだな。


あとは、スプーンを置いてよし完璧。

ある物だけで作った割には上手くいった野菜スープに満足しながら、律ちゃんが着替えるのを待っていると、廊下とダイニングを繋ぐ扉が開いた。


「どう?あったま…」


そう言って、気遣いの言葉をかけながら彼女の方を振り向くとさっき持って行ったはずの服を着ておらず、バスタオル1枚で立っていた。


「えっちょっと、律ちゃん!?なにしてるの!」


「いや、さっき言ったようにお礼しようかと思いまして…」


「そっその気持ちは嬉しいけど、その格好とお礼はどんな関係があるんだ…!?」


そもそも、見返りは求めていないのだがそれでも彼女はお礼をすると言って、普通なら羞恥心が出るような格好をして俺の目の前に立っている。


「それは…あの、雅人さん!」


「はっはい、なんでしょうか?」


彼女の謎の圧を感じ取ってか、思わず敬語になってしまった。


「お姉ちゃんの裸って見た事ありますか?」


うん?ますます、分かんなくなってきたぞ。

なんで今、凛の裸の事を持ち出してきたんだ。

その疑問を考えず、単純に今の質問に答えるとしたら、ノーだ。

いくら、許嫁といえどそういう事をするのは、正式に籍を入れてからにしようと決めている。


「いや、ないけど」


「そうなんですね、あのですね」


そう言って、彼女はそのまま1歩2歩と僕の方へ近づいてきて、あと1歩で身体に触れそうという所まで近付いてきた。


「実はですね…私、お姉ちゃんより胸大きいんです」


「そっそれが、今なんの関係があるの…!」


「見てみたくないですか?私からのお礼の提案は、私の裸を見せる事です」


さっきの言葉を撤回する。

やっぱり、律ちゃんより凛の方が清楚だ。

清楚がこんな感じで、迫ってくるわけない。


「流石にそれは…」


「今できるお礼はこれぐらいしかないんです…」


「別に今じゃなくていいから…!あぁ、もう耐えられん!」


そう叫んだ俺は、近くに畳んであった洗濯ものから大きめのバスタオルを取り出し、そのまま律ちゃんの頭から被せた。


「やっぱり、まだ律ちゃんは冷静じゃないよ」


「お礼なんて考えなくていいから、とりあえず服着てきな」


「でも…」


「いいから!」


「分かりました」


少し強めの口調で言ったら、流石に言う事を聞いてバスタオルを肩からかけ直し、洗面所にもう一度向かった。

はぁ、一応一件落着…


「たっだいまー」


おいおい、なんで最悪のタイミングで凛が帰ってくるんだよ!

今日は泊まりって言ってただろ。

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家出してきた許嫁の妹がえっちな方法で誘ってくるので、やっぱり妹と結婚しようと思います。 水道管 @suidoukan

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