ゲーム原案小説オーディション2022をゲーム化する方法
りーす=れんたる
第1話 取扱説明書
※ゲーム原案小説用です。既に各部門に1作品づつ投稿してから、小説の体すらなくていい(拡大解釈)と今更知ったので、現在執筆中(既に1万字越えしまっている)の作品からも1ネタ出します。
物語性は欠片もありませんので、ご注意ください。
◇あらすじ/イントロダクション
かつて、一つの銀河を支配した超魔導国家がありました。
魔導を極めたその国は、すべてを悟ったかのように、すべてを壊し、歴史の舞台から忽然と消えました。
一度は失われ、滅び去ったその地に、救いの神が訪れました。
神は、自身の魔法を、分け与え、世界を蘇らせました。
人も、その慈愛と寵愛を受けた一種でした。
ですが、神の寵愛は多岐にわたり、凶悪な魔物や上位種も対象でした。それは人にとっては過酷な環境でもありました。
神は人に知恵を与え、時に英雄を生み出しました。
いつしか、神々は姿を現すことが無くなりました。神々の間で
やがて、英雄は神の代理として神聖視され、その血脈が国家を形成し、いびつな治世が行われていました。
英雄は神の加護によって生まれる。その下では革新的な人は生まれにくい。
そう考えた神は、外界から魂を召喚し、新しい人を創りました。
彼らにはささやかな
再び世界は動きましたが、神の言葉を授かる点で、英雄と結末は同じでした。
神は一計を案じ、新しき人々に与えた使命を忘れるよう細工を施しました。
知識に乏しく、生きる術を持たない彼らを憂い、加護はより強力なものへと変わりました。
そうして数多生まれたのが、転生者と呼ばれる
彼らは、人に寄り添い、邪を払うことに躊躇うことはありませんでした。
ですが、彼らの言う邪は、神の寵愛するモノであることに変わりはありません。
それを理解しないまま、彼らは自身の正義を振りかざしました。
やがてその刃は、人を支配している神にも届くことでしょう。
それを危惧したかはわかりませんが、世界の外、外界から、別の神がやってきました。
人の身に
彼女は転生勇者を、連れ帰る目的でやってきたのでした。
時を同じくして、滅び去った古代文明の遺産が、地球から二人の男女、少年とおねーさんを召喚しました。
そうなるように仕組まれていたのか、男女は神であるメイドさんと出会います。
外界の者を連れ帰る目的のメイドさんは、是非もなく彼と彼女を保護すると約束しました。
ですが、今のメイドさんに、それをして余るほどの力はありませんでした。
世界に影響を与えないよう、必要最小限の力しか持たない彼女は、二人の命を守りながら当初の予定を完遂することが、非常に困難でした。
いわく、
「転生者を保護するだけの最低限の性能、準備しかしてこなかったので、お二人のお守りでスケジュールが激ヤバでっす☆」
「あと、隠密に事を運びたいので、私は本気を出せません。というか、出すとこの世界の管理してる程度の木っ端神が裸足で逃げ出しちゃうんで……」
と、妙に軽いノリの神様は、保護した二人に、世界の
こうして――
神の加護も知識も持たない、自称一般人の男女と、低性能(神基準)で纏まった
◇ゲームの目的
彼らの使命は、転生者の保護と無害化。彼らに成り代わって世界を救うこと。
メイドさんが単独攻略するハズだった世界を、定命の身で突破しなければいけません。
転生者用に形作られた世界には、数多の魔物、レイドボスがひしめき、転生者もまた世界の文化、文明を破壊しかねない存在です。
これらをTASの化身ともいえるメイドさん(以下TASさん)をうまく利用して解決していくことになります。
最終目的は、以下のラスボス級三体の撃破。
公式のラスボス・【邪神】
彼らもまた、それぞれの思惑で動きます。
【邪神】は自身の完全な復活の為に配下を遣って世界に干渉します。
【人形遣い】は、世界を均衡させる目的で他の転生者を駒として自身の配下に加えようと画策します。
【天空神】は、GM権限で各イベントを故意に発生させ、世界を混沌へと導きます。
最高の攻略指南書であり、最強の駒であり、無敵のハッカー(クラッカー)であるTASさんを使えば、攻略は楽々です。
逆に言えば、使わなければ、ただのムリゲーとなることでしょう。
◇設定解説/遊び方
TASさんは、自身で単独攻略用にデチューンされている状態であり、元の攻略チャートから外れた現在の状況下では、あらゆるリソースが圧倒的に不足しています。
その為、プレイヤーは、TASさんのリソース管理が求められ、要所でみ、その機能を発揮してもらうことになります。
例えば――
攻略本として使用する場合、
低負荷であれば敵のステータス開示。高負荷ならレアドロップの引き当て指南(乱数調整)。
他にもイベントの発生条件開示、アイテム作成のレシピ開示、等。
駒として使う場合、
低負荷であれば、全体のステータスアップ補正。高負荷なら、百発百中、10割回避、フルクリティカル、等。
クラックの場合、
ワープ移動、時間遡行、イベントの発生/回避or遅延、フラグスキップ、敵チート無効化、等。
※と、一見やりたい放題ですが、GMに露見すると(TASさんの方が遥か格上の為)あっちが勝手に投了して
その為、この世界のルール外のズル(チート行為)はできません。
理論上は人力でも可能、バグに近い仕様の盲点を、正確に再現するのみです。
ゲームでは、プレイングによりポイント取得という形でリソースを管理し、それを消費することで
実現が難しいほど、GM対策で余分にリソースを食うという状況を、ポイントという形で数値化し再現します。
ポイントを節約して自力攻略すれば多くポイントが手に入り、TASさんに頼って楽すればポイントの取得は小さくなります。
安易に楽ばかりするとジリ貧になって、極悪難易度の鬼畜ゲーと化します。
例えば、とあるボス戦にて、どうしても欲しいアイテムがあったとします。
自分の運を信じて自力撃破でポイントを稼ぐか、確定レアアイテムドロップの為にポイントを消費するか。
あるいは、どちらも狙って戦闘を繰り返すか、といったプレイが求められます。
◇世界観(参考程度に)
銀河の各星系の天体を空間的につないで、一繋ぎになった銀河規模の広大なオープンワールドになっています。
その多くの天体は、人外の住まう地や、不可侵領域と呼ばれる保護区、残りはダンジョンなどの予備素材という設定。
各大陸間は、数多の不可侵領域で分断されており、回廊か転移門でしか移動できない。
一般的な中世ファンタジーに、転生者が持ち込んだ機械文明、古代文明の遺産などが少し混じってる。
※元ネタの小説が作りかけなので、この辺はわりと雑です。
キャラやアイテムには、かなり融通が利くということでもあります。
◇コンセプト/システム
一つは、面倒を楽しむこと、です。
方々に失礼な言い草になりますが、攻略サイトが存在しないレベルのマイナーゲーム的な立場を逆手にとって、攻略情報から乱数(に類する表示)までゲーム内で開示提供するかわりに、プレイヤーの手で最適解を模索してもらいたい。という発想です。
ゲームシステムをプレイングで
どんなゲームでも、大なり小なりやっていることを、明確に目的化する。というのがコンセプトになるかと思います。
セーブ&ロードを駆使して、攻略情報を取得してはロードし、構築したチャートで取得ポイントを稼ぎつつ、高効率な使いどころを考える。
得たポイントは、キャラ強化に注ぐもよし、レアアイテムコンプに勤しむもよし、ボスを楽々とひねり倒すもよし、です。
エンカウントを操作して、メタスラしか出ないようにするとか、ボス戦の戦闘中にセーブを可能にするとか。
ポイントを余らせてクリアしたら、二週目持ち越しとかあると苦行をしつつ高データ作成みたいなやり込みも可。
もう一つのコンセプトは、ゲームへのシステム的な不満、ストレス要因を、プレイヤー側でコントロール、排除、緩和、軽減して、飽きを遅延させることです。
ゲーマーなら、知識の有無にかかわらず、TASじみたプレイングをしたことはあると思います。
特にRPGで顕著ですが、レベルアップ直前でセーブして、成長吟味をしたりしていると、妙に成長が偏ってるように感じたり、リセット直後に同じタイミングで敵とエンカウントしたりで、あれ? みたいな。
ネットのある今の時代なら、知らずに状況再現してるかも? と思い当たる方も多いと思います。
レアドロップ狙いで延々同じことしてると、これは偏った乱数のまま変動してないのでは? みたいな疑心暗鬼に捉われて、モチベーションが下がったり。
「また物欲センサーが仕事してるぅっ!」
……なんてのは、誰しもが通った道だと思います。
そういった心理的な負担を軽減する狙いがあります。
いざとなったらTASさん使ってしまえばいいわけだし、できる範囲で粘ってみようかな。という心理状態に
「このゲーム、この部分がかったるいのよね」
と、プレイする意欲が下がることは往々にしてあると思います。なら、そこはズルしてスキップすればいいじゃない、と。
各々のプレイングによって、難所と感じる部分は微妙に違うと思うので、それをTASさんがアシストするみたいな形です。
ただ、何でもありだと、ただのバランス崩壊でしかないので、先述の通り、ポイント制にしてリソースを制御しつつ、苦手なプレイングやこだわりのない部分だけ楽になるくらいの調整ができないかなぁ、と。
個人的には、本来の意味でのTASプレイの苦労を追体験するような高難度のマゾゲーでもいいんですけどね?
◇ゲームジャンル/シナリオ
元ネタの小説は、物語の都合でストラテジー風味のテーブルトークRPGという感じの作りです。
無難なところで、シナリオやギミックとの親和性が高いのはRPGと考えます。
(とくにジャンルにこだわりなし)
TASさんのアシストギミックは、制約付きのデバッグモードと見れば、テストプレイ時と実プレイとの乖離も小さくて済む、かな?
基本的に高難度でまとめつつ、バランス調整をポイント消費の増減で行えるのであれば、制作の負担も軽減する?
シナリオ的には、ゲーム自体が最終目標の為のチュートリアル、またはTASさんの脳内シミュレーションでした。という形式にしてしまえば、ほとんどの要素をオミット、形骸化することで、さらなる負担軽減も可能です。
その場合は、ハクスラ……でしょうか。
ギミックを最大限生かすなら、一本道よりフラグ乱立のフリーシナリオ制のほうがおもしろいのは確かです。
◇デメリット/課題と懸念
都合の良い仮定ばかりでは、客観性に欠けるので、技術的な部分以外の問題点も挙げていこうと思います。
疑似TASというギミックの都合上、ゲームバランスは多少ピーキーでも許される反面、それを免罪符にデザインした場合、懸念されるマイナスの意見をゲーマー視点で書くと以下のようになります。
「大味なゲームバランスをシステムで誤魔化しているだけ」
「システムを使わせたいがために、ゲームを不便にするのは本末転倒」
「これでもかと苦行を強いといて、達成感まで奪う鬼畜ゲー。賽の河原かな?」
と、アピールポイントは、翻せば、すべてウィークポイントになりえます。
これが一つ目の課題です。
リソース管理を楽しいと思えるデザイン。プレイングの先にある達成感を奪わない配慮が求められます。
言うまでもなく、ギミックを使わせる前提で、遊びにくくする(とユーザーが感じる調整)のはNGです。
それを踏まえたうえで、ゲームをデザインするのは、相応の時間と労力を要すると思います。
もう一つ、UIにも課題があります。
プレイヤーが不満点をコントロールし、ストレスを軽減すると前述しましたが、そのためにUIがストレスの原因となりえます。
通常のゲームメニューの他に、専用メニューを設け、ダイレクトに飛ぶとしても、項目選択、効果の確認、リソース確認、実行/キャンセル、と手順が必要になります。
はい、煩わしいですね。
プレイ環境にもよりますし、操作が、マウスなのかパッドなのかキーボードなのかでも変わります。
直感的で扱いやすいUIと、ゲームとしての調和、操作の負担感を上回る楽しさを提供する必要があります。
ユーザビリティを重視すれば、制作の負担として跳ね返ってくることは容易に想像できます。
正直、言うは易し、という気がします。
上記の二つは、どのようなゲームであっても避けられない問題であり課題ですが、ゲームの核に近い部分でもあるので、影響は大きいと考えます。
◇まとめ/あとがき
まず、TASは知ってるものとして話を進めてしまいました。
便宜上、TASとしましたが、厳密には全然違うものなので、あまり深い意味はないです。
私自身、講釈を垂れるほど詳しくないので、もし全くご存じなければ、お手数ですがググっていただければと。
さらに応募条件を最大限拡大解釈して、小説という前提はがっつり無視しました。
もはや、伝わっているか不安なレベルなのですが、シナリオ面での矛盾がないようにすることは、(元ネタの設定的に)割と簡単なので、ギミックと発想を評価していただけたらと思います。
素人の浅知恵ながら、実現が可能かもしれない範囲でアイデアを書いたつもりです。
遊ぶだけの人なので、知ったかぶりです。ピコピコにそこまで造詣は深くないです。
発想の根源は、TAS RTA 縛りプレイの実況動画です。
知識と理解がシステムにまで及び、最適解を突き詰め、ゲームを遊び尽くす姿勢に、刺激を受けることが多いです。
その考え方やプレイ感を咀嚼して物語にしたのものを、ゲーム案に再構築したものとなります。
プレイ時のストレス軽減と難易度調整を、プレイヤーが任意に行えるようにして、かわりに難易度を上げてほしいというのが希望です。
誰にでもストレスフリーなゲームデザインというのは、恐らく存在しないでしょう。
そこに捉われて委縮するより、尖ったゲームが遊びたい、というのがユーザーの本音です。
閑話休題。
さて、お題を考えた時真っ先に考えたのは、制作陣の
ゲーム制作における一番の敵は、アイデアの枯渇ではなく、時間だと考えます。
昔の出せば売れた時代は容量の都合で、アイデアの再現性に創意工夫が必要で、それが玉石混交となり、時に傑作が生まれ、時に駄作が生まれました。
今は、アイデアの再現をするのに不可能事が減った代わりに、予算や人の規模、開発期間の確保の難度が、黎明期とは比較になりません。
知識や経験の継承でゲーム制作の練度は上がっていても、
このゲーム案企画の全否定になりかねませんが、どんなに優れたアイデアも、十分な再現性がなければ駄作になるだけです。
と、考えた時に、このゲーム案コンテストで我々は何を求められているのかについて、興味が湧きました。
明確な指示もなく評価基準も明瞭とはいえないまま、斬新なアイデアを募っておいて、
なので、そのモヤモヤを解消すべく、一計を案じました。
悪趣味ではありますが、賞を取る作品がどんなもので、出来上がるゲームがどんなものになるか、そこから主催の求めるものがどんなものであったかを推察するゲームにしてしまおうと考え、今に至る次第です。
この企画自体をゲームとして捉えれば、積極的に布石を打ち、その礎になるのもやぶさかではない。と。
そこまで煽るからには、さぞ面白いゲーム作るんやろなぁ? の精神です。
これで、落選しても憂さ晴ら…… もとい、心が平穏でいられることでしょう。
互いに審査し合い、切磋琢磨するのも
で、私のプレイ方針として――
まっとうに小説を書いてらっしゃる方が大半だと考えたので、敢えて邪道な手段でアプローチしました。
自分が遊びたいゲームを、いかにもっともらしく語って興味を持ってもらえるかに注力し、審査を通るか試行しました。
結果から得た経験は、もし次があれば生かされることでしょう。
長々と語ってしまいましたが、これで終わりです。
願わくば、心に残るようなゲームに巡り合えますように。
※受賞結果と完成したゲームを遊んで、感想戦をやるまで終わらないので、この作品は未完となります。
果たして、どんなエンディングを迎えるか、ゲーム参加者の一人として楽しみにしています。
つづく
ゲーム原案小説オーディション2022をゲーム化する方法 りーす=れんたる @lela
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