夏のおと

@ryuuuuusa

夏の終わり

夏の終わり。一つの夢。眩しい夕焼け。

君を亡くした夏は、あまりにも暑く、あまりにも寒かった。


降り始めた雨の中、ぼそり呟く。

「今年の夏、暑いな。」

…そうだね。

セミの音で掻き消される程の声。

君の声が細いのか、セミの声が大きいからか、音なき声に、愛おしさを覚える。


蜻蛉が飛ぶ、鳥が囀る、一際大きなカエルの合唱、君の鼻歌。

蒸すような自然の匂いに、照り返す細い道。

こんなにも眩しい、夏の音。


落ち葉が舞う、木々が轢る、一際目立つ静寂の音と君の声。

するり過ぎ去る暑い風に、僅かな感傷。

肌寒く、暖かい、夏が終わる音。



カンカン照りの道の上、君と話す。

君の声、夏の終わりの音。

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