試し書き

梨と桃

第1話 くまさんと蛍

ーーーー今回の語り手は蛍と申しますーーー

ーーーーーーー以後お見知り置きをーーーー

 1匹の小さなくまさんが散歩しています。

 くまさんは大人しく心優しいので、周りの歳の近い熊からはあまりよく思われていませんでした。

 あまり本人(本熊)は気にしていないようです。

 今回はそんなくまさんの散歩風景を紹介します

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「ふぅ、歩き疲れちゃった。すぐそこの川辺で休もう。」


 3分ほど歩くと、くまさんの目の前にお世辞にも大きいとは言えない川が見えてきました。いつもの散歩ルートから少し離れていますが、疲れた時はここに来ると元気になるそうで休憩しているのが頻繁に見れます。


「ここには小さくてカラフルな鳥さんがたくさんいて、座ってるだけでとても癒される」


 くまさんは川辺に座り、周りに落ちている木の実を少しばかり集めてきました。

 これは多分、鳥にあげるのでしょう。私が今まで数回見てきたのですから。私の寿命も長くはありません。その中でも数回見ているのです。確実でしょう。

 あ、申し訳ございません少し自分語りをしてしまいました。

 あっ!やはりくまさんは心優しいです。鳥たちに木の実をあげています。


「いつも気持ちがいい散歩できるのは君たち鳥さんのおかげだよ。これは少ないけど僕からのプレゼントだからいっぱい食べて。また散歩した時には、今日よりもいっぱい持ってくるようにするよ。」


 周りの鳥たちはくまさんを見るなり、すぐ近くへ寄って行き一緒にお話しながら木の実をつついています。

 意思疎通ができているかは分かりませんが、お互い幸せそうな顔をしている気がします。くまさんに至ってはめちゃくちゃ幸せオーラが出ています。私もそこに混ざりたいくらいです。

 少し日が傾いてきました。いつもならくまさんそろそろ帰宅する頃ですが、川の方を見たまま動いていないですね。少し近くの岩場まで見てみましょう。

 …相当心が癒されたのでしょうか、首をこくこくさせながら寝てしまっていますね。

 帰宅が遅くなっては散歩に来るリズムも狂ってしまいますね。ここは私が少し…


「はゎ、僕寝ちゃってた…、ちょうど帰る時間くらいだ。さすが僕、いい時間に起きたな

 ぁ。」


 くまさんは鳥たちにさようならを言い、家へ帰っていきました。


「今日の夜ご飯は、鳥さんたちにあげた木の実のさらだにしよう。僕の好きな木の実もトッピングしていーっぱい食べるぞぉ。考えただけでお腹すいてきちゃった。」


 くまさんは、日が沈む前に無事に家に帰ることが出来ました。

 その日の夜ご飯はたっぷりの甘い木の実と、甘い木の実ドレッシングがかかったサラダを食べ終えて直ぐに、ふかふかベッドに入り日が沈んだと同時に夢の世界へまいりました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 いかがでしたでしょうか。

 今回は散歩をするくまさんを観察してみました。クマの世界にも"こうであれ"というような見本のくまさんがいるようですね。これでは森の中でも生きにくくなりましたね。

 森の中ではそういうのはないと思っていたのですが、クマの世界は大変そうです。


 他にくまさんのどんな生活を覗きたいか気になれば私にお申し付けください。

 もしかすると私では無い誰かが覗いてくれるかもしれませんね。


 それではこれにて、くまさんの日常をお開きにさせていただきます。

 語り手は私、蛍がお送り致しました。





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