第6話
ザザーッ、ザザーン
満天の星空と静かな闇夜に響く波音。
「きれ~い!」
僕の手をほどき波打ち際へ駆けてく君…。
「フフッ喜んでくれたなら良かった、でも危ないよ。」
はしゃぐ君の姿が嬉しくて笑みがこぼれる。
「…連れてきてくれてありがとう。」
夜の海を背に振り向く君…美しい。
そんな君を見つめながら流木へ腰を掛ける。
「ほらこっちおいで。」
「うん。」
二人で一つの流木に腰を掛ける…肩が触れ合う距離に君がいる、早くなる鼓動。
「寒くないか?」
3月にしては少し肌寒い、僕の上着を君の肩へ掛ける。
「ありがとう。」
「葵ちゃん…大好きだよ。」
君の手に手を重ね君の綺麗な瞳を見つめる。
「遼…。」
波音が響く中唇重ねる。
「葵ちゃん…好きになってくれてありがとう。」
ホントにこんな僕を好きになってくれてありがとう…幸せにするからね。
「……遼。」
君の瞳に涙が溢れる、泣き顔すら美しい…誰にも見せたくない。
君の色んな表情を見るのは僕だけでいい。
「泣くのは僕の前だけにしてね。」
「うん、遼ずっとそばにいてくれる?」
「もちろん、ずっと君のそばにいるよ。君がもう嫌だと言ってもずっと…。」
君を愛してるんだ…絶対手放すものか。
そっと君を抱き寄せる。
「ありがとう、ずっと遼と一緒にいられるなんてすごい幸せ。」
「僕もだよ。」
抱きしめあう僕たち、波音だけが響く…。
「そろそろ行こうか。」
「うん。」
手を繋ぎ夜の海を後にする…。
「ホントにお泊り大丈夫?」
揺られる電車の中君に聞く。
「うん、迷惑じゃない?今日は帰りたくない。」
そんなこと言われたらずっとしたくなくなるよ…。
「全然迷惑じゃないよ、僕も今夜は君といたい。」
今夜だけと言わず永遠に君といたい…。
君と見つめあってるとどうやら駅に着いたようだ…。
「着いたね、降りよう。」
「うん。」
電車を降り夜道を君と歩く。
「大丈夫かい?」
小柄な君は歩幅まで小さい、なるべく君に合わせてるが心配で聞く。
「大丈夫だよ、それよりドキドキのがやばい…。」
「そっか、僕もドキドキしてるよ…。」
繋いだ手から熱となって伝わる…。
女の子泊めるの初めて…君に出会って初めて尽くしだな。
僕の初めて全部君にあげる。
君とゆっくり歩くこと数分
「着いたよ、入って。」
「おじゃまします。」
「僕の部屋は二階なんだ、行こ。」
「うん。」
部屋に君を招き入れる。
「お茶でも持ってくるから適当に座ってて。」
部屋に君を残し一階へ降りる。
お茶を持って部屋へ戻ると、君がベッドに頬ずりしてる。
「な~にしてるのかな?」
いじわるしたくなって聞く。
「あっ、えっとこれはその…。」
焦りだす君、可愛くてますます意地悪したくなる。
「ん?なんで頬ずりしてたのかな?」
君へ近づきながら聞く。
「うう~っ、遼のにおい嗅いでたの…ごめんなさい。」
名にその理由、可愛すぎるのもほどがあるよ。
「大丈夫だよ、ちょっと意地悪したくなっただけ…ごめんね。」
「遼のにおい落ち着くし頭撫でられるの好き。」
いくらでも撫でてあげるよ。
「葵ちゃん…おいで。」君の手を取りベッドへ誘う。
ギシッ
「愛してるよ…。」
そっと君を押し倒し囁き口づけをする。
唇を離しゴロンと横になり君を見つめる…。
「今日はもう遅い…寝ようか?」
「うん、おやすみ。」
「おやすみ。」
君の手を握り眠りにつく。
ふと目が覚めて時刻を見るとまだ夜中…隣にいる君はすやすやと寝息を立ててる。
「フフッ可愛い寝顔。」
君の頬を撫でる、ずっと見ていたい。
ホント愛しい…君の寝顔を見つめながら再び眠
りにつく。
来世ではあなたと…。 蒼空 @sora-22
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