第2話 激突 Tokyo Bay
「チィッ……」
【アトランタ】の主砲は連装砲塔六基というまるで針山のような数、とてもじゃないが太刀打ちできる自信はない。
「そんな怖い目で初対面の人を睨んじゃうなんて、躾がなってないわねぇ」
見たところアトランタは、護衛に
「煙幕!」
排煙装置から煙を出すと同時にエンジン出力を最大まで引き上げる。
せめて絵梨奈と明莉の二人が射程外に出るまでは敵の気を引き付けておきたい。
「躾てあげるわぁ!お前達、あの煙幕に向かって魚雷投射!」
【アトランタ】も同時に砲撃戦を開始したのか水面のそこかしこで水柱が上がる。
「Roger. torpedo launch!」
「open firing」
艦級までは特定出来なかったが、十数本の魚雷が走ってくる。
これだけだったら回避は余裕だ、だが足止めをするかのように降り注ぐ【アトランタ】の射弾。
「ほらほらぁ、止まると当たっちゃうよ?」
さらにそこに駆逐艦クラス二人分の射撃が折り重なるなるように放たれる。
海面はマズルフラッシュで真昼のように明るく照らされた。
自発装填装置がこの【島風】には無いから切り札の魚雷はもう放てない。
連装砲塔三基で航走しながらの射撃を行うが、やはり発射レートでは負けるし命中の望みは薄い。
「噂には聞いていたけれど、随分と速いわねぇ」
はっきり言って戦況は絶望的だ。
生き残れているのは40ノット(時速74キロ)を超える速力があるからに他ならない。
重雷装と他に類を見ない速力、それが【島風】の武器であり全て。
「あなた型の国には手数型の艦級がいない、それが今日の敗北の原因よ」
歪んだ笑顔を浮かべて【アトランタ】は、その主砲をこちらへと指向させる。
大口径砲の言外に皮肉るその言葉に、絶望を感じたその時―――――大きな水柱が海面を叩いた。
「巡洋艦風情が随分な大言壮語ね!」
「あんまり調子乗ってるの返り討ちに会いますよ?」
声の主は
「詩羽先輩に藍先輩、来てくれたんですか!?」
「あんたの戦隊メンバーから駿人を助けてくれって言われたからね」
詩羽先輩は、そう言うと【アトランタ】を探照灯で照らした。
「あたしの後輩を随分虐めてくれたみたいじゃん?」
指向される【金剛】【比叡】の連装砲合計八基。
「戦艦クラスをお持ちの二人で
不敵に微笑む【アトランタ】。
「逃がすわけないじゃん、放て!」
詩羽先輩が大口径の主砲を【アトランタ】目掛けてぶっ放す。
戦闘の第二幕が始まりを告げる号砲だった。
𝐆𝐢𝐫𝐥𝐬 Fleets‼️〜艤装少女たちは憂乱の海にて咆哮せり〜 ふぃるめる @aterie3
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