第2章
第14話 合魂部部員紹介
14
「え~
もじゃもじゃとした頭に眼鏡をかけた少年がカメラに向かって呟く。
「一人で何を撮ってんだよ、超慈?」
茶髪で坊主頭の少年が声をかける。超慈と呼ばれた少年がカメラをそちらに向ける。
「え~彼が
「いや、こっちを撮るなよ。どうせならかわいい娘を撮れ」
仁がカメラを近くに座っていた金髪ギャルに向ける。ギャルが戸惑う。
「か、かわいい⁉ 満更でもないでござる! じゃなくて、何を撮っているでござるか!」
「……口調からして忍びきれていない――本人は忍べていると思っているそうです――彼女は
「『
「ああそれ、まあ、基本仲間想いの良い子です」
瑠衣が声を上げる。超慈はそれに頷きながら端正な顔立ちをした長身のマッシュルームカットの男子にカメラを向ける。
「え~こいつが
「……勝手に撮るな」
「どうしてなかなか……いけ好かない奴です」
「俺だけ悪口だな……!」
超慈は離れたテーブルの方にカメラを向ける。
「続きまして、二年生の皆さんです……」
「……」
「読書をされているのが、
「頭の悪い紹介ですね……何を撮っているのですか? まあ、大方想像はつきますが……」
眼鏡をかけた小柄な女子がショートボブの白髪をかき上げながら呟く。
「お次は
「……ウチを褒めてもらうのは良いけどさ、なんなの?」
赤茶色のミディアムボブの髪型で作業着姿の女子が気だるそうにカメラを見つめる。
「続いては、体育科の
「はははっ! 撮るか、俺の鍛え抜かれた肉体を!」
明るい髪色で短髪の男子がジャージとハーフパンツを脱ごうとする。
「あ、脱がないで下さい。次は
「なんだかよく分かんないけど、イエ~イ♪」
長めのドレッドヘアーをなびかせた褐色の女子がカメラに笑顔を向ける。大胆に着崩している制服から、豊かなスタイルが窺えるが、超慈はそれを極力映さないようにする。
「最後は
「ざっくりとした紹介だね。まあ、別にいいけど……」
やや小柄な体格の中性的な男子生徒が苦笑する。ルックスはかなり整っているが、制服の上に着たダボダボな白衣と、桜色という派手な髪がボサボサなことが台無しにしている。
「……とりあえずは以上です」
「なにが以上なんだよ?」
仁が問う。超慈が首を傾げながら答える。
「俺も分かんねえけど、部長が記録用に撮っておけってさ……」
「部長が? 記録ってなんだよ?」
「さあ?」
「今後の『
紅髪のストレートヘアーで右目を隠した凛としたスレンダー美人が超慈と仁の背中から突然声をかける。超慈たちが驚く。
「うわっ⁉ い、いつの間に……ちょ、超慈、撮れよ」
「あ、ああ……三年生でこの合魂部部長、
「ひどい紹介だな……活動記録だけじゃなく、普段の訓練なども記録出来るだろう?」
姫乃が持っていた杖で向けられたカメラを軽くトントンと叩く。
「普段の訓練……一応改めてお聞きしますが、合魂とはなんですか?」
「ああ、お互いの魂を合わせ……魂から生じる波動を導く! これこそが『
「うん、やっぱり俺の知らない合コンですね……」
「我々はこの愛知から、天下を獲りに行くぞ!」
「ますますもって分からない……」
杖を高々と掲げる姫乃にカメラを向けながら超慈は戸惑いを口にする。
合魂‼ 阿弥陀乃トンマージ @amidanotonmaji
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