第13話 合魂は終わらない

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「織田桐さんの魂力を完全には吸い取れなかったんですか……」


 医務室のベッドの上で超慈はうつむく。ベッドの脇で姫乃が申し訳なさそうに答える。


「ああ、私も正直限界に近かったからな、それに奴の魂力の量は桁外れに多かった……いわゆるキャパオーバーだ。すまん、せっかくとどめの一撃を放ってもらったというのに……」


 姫乃は頭を下げる。超慈は手を振る。


「い、いえ、それは良いんですが……つまり、生徒会との争いは今後も継続ですか?」


「そこは四季と海藤を中心に話し合いが行われ、我々の勝ちということで話は収まった」


「そ、それで向こうは納得したんですか?」


「一応な、織田桐はあれで意外と割り切りの良いタイプだからな。書記の小森や会計の駒井は完全に納得したわけではないようだが……体勢の立て直しの方が急務だろう。こちらにちょっかいを出してくる心配はさほどしなくても良い」


「体勢の立て直しですか?」


 超慈が首を傾げる。姫乃が淡々と説明する。


「元の傘下であった各勢力との縄張り争いだ。合魂倶楽部の喜多川、合魂同好会の茂庭、合魂団の志波田などは元鞘に戻る意向を示しているようだが、合魂愛好会の夜明はそういうわけにもいかないようだ。合魂サークルの水上も独自の動きを見せている。まだまだしばらくは揉めそうだな、気の毒なことだ……」


「部長がそうするように仕向けたんじゃないですか?」


「楔は打っておくに限る。今後の為にもな……」


 超慈の指摘に姫乃は意地の悪い笑みを浮かべる。


「今後の為にも……そういえば、この学校のどこかに眠るという……強大な『合魂力』とやらは見つけることが出来たんですか? それがいわゆる『合魂の向こう側』ですよね?」


「ほう、案外鋭いな……残念ながら見つけられなかった。魂力の量が足りなかったようだ」


「魂力の量……『合導魂波』、通称『合魂』とはお互いの魂を合わせ、魂から生じる波動を導く……その波動が導かれる先にたどり着くにはまだまだ不足だったということですね?」


「どうしてなかなか冴えているな……どこか頭を打ったのか? まあ、それは冗談だとして……大体貴様の言う通りだ。織田桐と魂をぶつけ合うことによって、それが叶うと思ったのだが……もっと沢山の魂力を集めないといけないようだ……この学園都市全体から、いや、この県全体から……いいや、この国全体からだな」


「え? お、おっしゃっている意味が分からないんですが……」


 姫乃の物言いに超慈が首を捻る。姫乃が立ち上がって高らかに告げる。


「全国には未知なる魂力の持ち主が大勢いる。合魂部はこの愛知の地から合魂の天下を獲りに行くぞ! いいな、超慈‼」


「ええっ⁉ ますます俺の思っていた合コンと違う!」


                  ~第1章 完~



(2022/10/16現在)


これで第1章終了になります。第2章以降も鋭意構想中です。更新再開の際はよろしくお願いします。

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