第4話 最期
最近うまく力が入らない
以前のように鳴くのも面倒になっていた
腐った臭いのする空間をオレの家と呼んでいた時から、随分生きた
もうすぐなんだろう
あいつに抱えられても大人しくすることしかできない、上を見ると不安げな顔と目があった
いつもみたいに変に歪んだ顔でいろよ
こっちまで湿っぽくなるだろう
ほら、目が霞んできた
大丈夫だ聞こえてるから
その2つの音はオレの名前なんだろう
あれだけ鳴かれたらイヤでも気づく
人間の言葉だけじゃなくて、あの下手くそな鳴き真似も聞かせてくれよ
あれは不思議と気持ちが高まってつられてしまうから、最後に返事ができる気がするんだ
ーーーーー
人間達は必死で涙を堪えました。
冷たくなってしまったかわいい1匹を膝に抱えているときも、綺麗な花を丁寧に飾るときも、かわいいかわいい1匹が濡れてしまわないように、必死で涙を堪えました。
でも、かわいかった1匹が軽い小さな石とサラサラの砂になってしまったのを見ると、今まで我慢していた分の涙が一斉に溢れてきました。
ぐちゃぐちゃになった顔をかわいい1匹に見られたくなくて、うつむいて帰りました。
その日から小さかった人間は、チョコレートを食べるとちょっぴり苦しくなりました。
6年と少し昔の小さな自分を、恨めしく思ったりもしました。
王様になったモルモット ケタ陀羅 @ketadara
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