第3話 愛情

何度季節が変わっただろう

小さい人間はもう小さくはなくなっていた

元々でかい生き物なのに更にでかくなるのだから不思議だ


あいつの鳴き声が3つの音だけでないことには、もうとっくに気づいていた

いろんな音を出す奴だが件の3つの音をオレ以外に向かって鳴らすのは少しイライラする

他の奴もそうだ

オレだけでいいだろう

だが、2つの音だけは相変わらずオレの為だけに鳴らされた

それに似た4つの音は聞かなかったことにしてやる


二人きりのときだけ、あいつはやけに馴れ馴れしくなる

昔と変わらない変に歪んだ顔、これは一種の愛情表現だと悟ったから慣れるよう努めてやった

それに加えてオレの城のすぐ隣で寝始めたり、急にバラバラの音階を鳴らしてくるのだ

規則正しい寝息も気持ちよさそうに鳴く声も、オレの睡眠の邪魔にはならず、むしろ心地良いのだからこいつのペースに乗せられたようで腹が立つ

しかし不思議と悪い気はしなかった

どれもこれもオレへの愛情表現なのだから、馬鹿な奴だと思いはすれど拒否するものでもない

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