トラック2 Q後輩の女の子に耳かきされてました。接し方が分かりません。A(表現規制)(表現規制)(クソリプ)
部室を出て、廊下を早歩きで進む。顔は真っ赤で頬の熱だけでかなりふらふらする。いや、これは熱だけじゃないが。
『気持ちよかったの? ......ふふっ、可愛い』
記憶に浮かび上がる、桜子の声。
トイレの個室に逃げ込み、さっきあったことを振り返る。
耳かきしてたのか、あの桜子が......しかも、
俺に......?
しかも、あの慣れた感じは初めてじゃない?
どうゆう事だ、どうゆう事だ。分からない。
その時ポケットのスマホが震える。
親友の原宮竜二から
「授業始まってるけど、なんかあったか」
と心配のメッセージ。
「竜二」
「今から屋上にこれるか」
トイレの個室からメッセージを打ち、屋上に向かう。
「で、どうしたんだよ悠」
俺が屋上に着いた頃には竜二はすでに居て、
ボーッと空を眺めていた。
着くや否や、俺は直ぐに本題に入る。
「なぁ、竜二、助けて欲しいんだ」
「お、おう、珍しいなお前がそんなこと言うなんて」
竜二とは小学校からの仲で、互いに信頼しあっている。竜二は見た目がなかなかに強面で体もでかいため誤解を受けやすかった。だが、竜二は誰よりも優しく、困っている時は親身になってくれるとても友人思いの良いやつなのだ。
「寝てる時に後輩の女の子が俺に耳かきをしていたことに気づいてしまったんだが、接し方が分からないんだ」
「授業戻るわ」
「え、ちょっとぉ!」
屋上の扉を回し、俺に背を向きながら手を振っている竜二をなんとか呼び止め座らせる。
「俺はさぁ、めちゃくちゃ真面目なんだよ」
「俺はさぁ、なんで授業サボってお前の惚気聞かなきゃ行かんのだ」
「惚気じゃねえわ」
「どうせあの子だろ、文芸部の」
「そ、そうだけど」
「じゃあ、告れば良いんじゃね? どうせ好きだろあの子のこと」
「え、いやいやいやいや飛躍しすぎだろ」
頭が取れるくらいの勢いで首を振る。痛い。
「まあそんだけのことしてくれる子はお前のこと好きなんじゃね、そうしたら相手方も耳かき、し放題だろ、はい、解決」
竜二が立ち上がり、戻ろうとする。
「待てまてまてまて雑だって、お前の雑なとこ出てるって」
「てか、俺、彼女とかいたことないんだから俺に聞くなよ」
「他にこんなこと言えるやつがいるわけねぇだろぉぉ」
はぁ、とため息をついた竜二がまた座り直す。
「で、何、俺にどうしろと」
「そ、それは、たしかに......」
「まあ後で後悔しなければ良いんじゃない」
じゃな、と最後に言った竜二は屋上から出ていく。
今度は追いかけなかった。
「ま、どうせ、放課後会うしな」
考えるのにも疲れてきた俺はもう一度瞼を閉じて眠った。ASMRは聞かないで。
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