ホダシという赤い糸で結ばれた男女が、それまで接点も出会いすら無い関係であったにも関わらず、お互いの距離が近付くと、心の赴くままに惹かれ合うという、摩訶不思議な現実を受け止め、伴侶となる物語に引き寄せられました。物語自体の時系列は、出会ってから1年ではありますが、未来の2人も男性側の夢心地で描かれていますが、決して架空とは思われない程リアルで、2人に幸あらん事を告げている様で、ほっこりした思いで読み終えました。なりより良かった点は、ヒロインの年齢が、13歳から14歳へ、しかもこの作話中に初潮を迎え、まさにガールからレディの階の一段目に足を掛けた、心も多感な時を、男性に肩を並べたいと意気込んだり、少女の幼さで甘えたりと、表情や振る舞いに、ほのぼのとさせられ、読んでいて楽しかったです。
男性の見た夢までの2人の甘々な生活譚を読みたいです。
東アジア風のファンタジー作品です。
この世界には『ホダシ』という設定があり、運命の番がいる者がいます。
根無し草のような商人オウリが、『ホダシ』であるカナシャと出逢った時。二人の人生が絡み合い始めます。彼らが互いに強く惹かれ合いながらも、様々な困難を乗り越えていく物語です。
なんといっても素晴らしいのは、描写される風景や衣服に関する単語などが、自然と世界観を創り出していること。人々の生活を通して、その土地ごとの文化を感じることができ、自分が見ているのは彼らの人生の一部なのだと思わせられます。これまでも当然ながらこの世界で人々は生きていて、これからもそれは確実に続いていく。それを疑わせない。船の操舵の描写なんて、まるでそこに乗り合わせたような臨場感ですよ!
商人が中心となるお話だけあって、地域間の流通や商品開発もきちんと考えられていて、そういうところも、とても面白い部分です。作者さまの知識の深さが窺えます。
何かが起ころうとしている時、またはした時、商売時! だと動くのはまさに商人らしく、そういった人物背景の創り込みも深いです。
登場人物たちも、各々キャラクターが立っています。
オウリはいい大人なのですが、幼いカナシャにどうしていいのか分からないような初々しさもあり、見ていて応援したくなります。不思議な力を持っているカナシャも、彼女なりにオウリのためにと考えて動くのがいじらしくて可愛いのです。彼らの周りの人物たちも、皆それぞれに味があります。
ぜひ彼らの文化に触れ、生活を垣間見、そこで育まれる愛情を、見守ってみませんか。素敵な番外編があるのも嬉しい!
お薦めします(^^)!
文章を読んで異国を旅する感覚になれる作品が好きです。
その世界の文化、様式、生活、風俗、そんなものを肌で感じるような作品が好きです。
はい。この作品はまず、そんな私の好みに完全合致です。
私がちょくちょく熱を上げてる、異国情緒豊かな小説。まずその部分でパーフェクト。
東アジアを舞台にした物語は、文章の隅々から色彩が、香りが、物音が、息遣いが、確かにそこに人々が生活しているという証左が感じられます。
生きた世界を感じます。
そのうえで、主役の二人。
「ホダシ」と呼ばれる、分かりやすく言えば出会った瞬間ビビッときちゃう運命の人のようなものなのですが。
この二人が、とにかくよい!
運命の出会いで恋心は互いに初手MAX、序盤から超ラブラブです。
しかし出会ったばかりでお互いのことは全然知らないため、とまどったり不安になったり距離感が分からなくなったり、恋心をうまく手懐けられないでいるその様子がとかくグッときます。
とってもよい! 大好き!
私の持論で、恋愛モノをおもしろくするスパイスは気持ちと状況が噛み合わないアンバランスな状況であると思っているのですが、これはまさにそれですよ。最高です。
異国情緒をとっても、恋愛要素をとっても、私にとって大好物。
なら両方を兼ね備えたこの作品、私が大好きにならないわけがない。
私的大ヒットです。