MISSION 13 : 空の向こうからやってきた











<管制塔>

『ペラゴルニス、バルチャー・グリフィス、カタパルト固定確認。

 カタパルト回頭。目標方角へ』


「了解。ねぇ新しい子?ペラゴルニス、飛ばせる?」


<ウェザーリポーター:タイプ06>

『メインシステム、戦闘モード起動するわ。

 ストライクブースト起動‪……‬タイミングはお願い!』


<ルキ>

『おねーちゃん、行く?』


「じゃ、発進で!」



 ────勢いよくリニアカタパルトで射出される私の今の機体は、両腕オートキャノンに下半身が飛行機みたいな異形機体。



 人型兵器とは言えない愛機『ペラゴルニス』を操る私、傭兵系美少女大鳥ホノカちゃん、ちょっと曇ってきた空にGO!!


 頭部パーツはなんだかすごく皿みたい





<カモメ>

『ペラゴルニス、ホノカさん聞こえますか?』


 と、近くの妹のルキちゃんの機体と共に雲のすぐ真下でくるりと一回転して水平飛行を始めたあたりで通信が来た。


「カモメちゃんどうしたい?」


<カモメ>

『先行探査結果の速報です。

 護衛対象は、大型輸送用ティルトローター機が3機、及び汎用大型ヘリが複数。

 いずれも、エンフィールド社製の普及型‪……‬ようするにこちら側なのは間違いありません』



 なんていう間に、下のカモメちゃんのヘリを通り過ぎる私達。


 こっちは速いよね、そりゃヘリよりは。


「輸送機って、何を運んでるのかな?」


<ルキ>

『‪……‬そっか、輸送機がただ人だけ運ぶのもおかしいわよね』


<チビソラ>

《人員輸送機ってのもあるぜ妹ちゃんや》


<カモメ>

『‪……‬‪……‬登録情報を改めて確認‪……‬

 何度見直してもエクレール・メカニクス社なのですね‪……‬‪……‬‪……‬‪……‬最悪です‪……‬』


「どうしたいカモメちゃん?

 今までどんな敵さんでもそんな心底怯えた声出したことないのにさ」


<カモメ>

『‪……‬‪……‬‪……‬エクレール・メカニクスですよ?』


「えっと、ジェネレーターパーツが良いとこだよね?」


<カモメ>

『そして、規格外巨大兵装ノンスタンダード・ギガンティックウェポン‪……‬‪……‬こと『NGウェポン』の最大手、

 そのフレームはNGウェポン前提のキワモノパラメーター重量二脚型フレーム、


 他の商品はまぁなんと言いますか、技術の無駄遣いで出来上がった戦場で使えるオモチャばかり‪……‬


 まともな商品は他社に脅されて作った物ばかりの変態技術者集団。


 それがエクレール・メカニクス。


 本社がよく爆発するので、その成り立ちから人類生存圏のバリアで覆われた大地から100km以内には実験場付きの社を構えることが許されない唯一の企業にして、


 まぁ恐らくハンナヴァルト領より外にある、一番前線に近い本社を持った企業‪……‬



 ああ、そんな変態企業が、そんな変態企業が!!


 輸送機ごと避難だなんて、何を運んでいるのか!!!


 恐ろしい‪……‬‪……‬!!!』



 酷い言われようだぁ‪……‬カモメちゃん声震えているし。



「あー、そんな酷い輸送機がもうペラゴルニスのレーダーに映ったなー。

 新しい頭、軽いけどカメラ性能はまぁ普通ってぐらいだし、近づいたほうがいいかな?」



 レーダーの端に友軍機マーク?っていう緑の点が映った。

 ちょっとパーツ変えたペラゴルニスちゃんはカメラ性能は普段使い物よりちょっと下げて、軽くてレーダー性能が高い奴に変えてあったのだ。



<ルキ>

『‪……‬こりゃ、近づいてみたらすごいの見れるわよ。

 おねーちゃん、無線で呼びかけながら先行してみて?』


「おけー」



 どうやら、私のよりカメラ性能がいいルキちゃんの新型には見えたみたいだ。


 ペラゴルニスの速度を上げる‪……‬お、何やら影が見えてきた。



「えー、こちらペラゴルニス。インペリアル領の人の代理できたんだけど、君達何者かな‪……‬ってぇ!?」




 見えたけど、

 何あのデッカいの???



 輸送機はさ、4つぐらいプロペラぐるぐるしてるデカくてeX-Wが5機は吊り下げられる奴だけど、


 それが釣り上げてるの何あれ??

 デカい、四角い、なんかワニの口みたいにというか上顎と下顎って感じに分かれてるのは‪……‬あれレールガンの砲身かな??


 にしたってデカすぎでしょ。


 eX-W5機輸送できるデカい輸送機からはみ出るぐらいデカい。



「デッッッッッッカ!?!?!」



<シルヴィア>

『驚いたかな、大鳥ホノカ?

 これがボクたちエクレール・メカニクス脅威の大発明だ!!』


 ‪……‬ん?


「あれ、機体表示に名前あるってことは知り合い?

 シルヴィアって誰だっけ?」


<シルヴィア>

『って、ちょっと待ちたまえーっ!?!?


 忘れたのか!!!レプリケイター発見時にいた天ぇーん才っ!美少女なボクことシルヴィア・アルギュロスだぞー!?!?


 君の脳は名前通り鳥か何かか!?!』



 ‪……‬‪……‬?

 ‪……‬‪……‬??

 ‪……‬‪……‬‪……‬!!



「あ、あのおチビ傭兵ちゃん!!

 元気してたー?」



<シルヴィア>

『うん!君の記憶力がダメダメなのは良くわかったよ!!!

 後子供だからって子供扱いしないでほしいなー!!』



 そっかそっかあのチビちゃんかー!思い出したー!


「で、シルヴィアちゃんや。

 その吊り下げてるデカいの何?」


<シルヴィア>

『む‪……‬まぁ話を進めないといけないか。


 これは、ボクたちを追いかけている相手が何がなんでも破壊したい最強の兵器さ。


 もうすぐ敵が来るはずだ、あいにく航空戦力がなくてね。


 てなわけで守って欲しいな!来た!』




 レーダーに映る無数の点。

 速い‪……‬多分全部ミサイルだ!



 ストライクブースト起動、一気に加速してデッカい輸送機のでっかい荷物の前までペラゴルニスを飛ばす。


 間に合え‪……‬オプション武装!!



 ボボボボボボボボボッ!!!

 ピシャシャシャシャシャ!!


 鳥がウンチ出すみたい、って言ったら汚いかもだけど、ペラゴルニスの機体下に付けられたオプション装備が発動だ!


 赤外線誘導とレーダー誘導、ついでに画像解析も殺す『プラズマフレア』が放たれて、プラズマの火花を散らしながらミサイルを誤爆させる。



 まぁこれで半分壊れれば良いな。

 次は、私自身が囮だね?


 上がれ、ペラゴルニス!


 私の意思を神経接続操縦を介して乗せた下半身が飛行機みたいな私の愛機が上がって、無事なミサイルが私を目標に変える。


 後部カメラの映像が視界に映る。

 二発輸送機に行った!


「ルキちゃぁんッ!!」


<ルキ>

『任せてッ!!』


 断続的に横からやってきたプラズマの光と、着弾時の電磁パルスが生む放電が見える。


 ミサイルが消えた場所をルキちゃんの新型機体が通り過ぎるのを見て、いよいよ私が引き受けたミサイルの処理をするべく減速!


 ズギャァァァァン!!


 機体防御用のEシールドを攻撃に転用するブラストアーマーの広範囲の衝撃波でミサイルをお掃除!


<シルヴィア>

『ほー!

 やるじゃんか‪……‬空中戦が得意だったらなー、ボクもなー』


「はいはい、得意な戦場の時は任せるからさっさと行って!」


<シルヴィア>

『そうさせて貰うよ!

 悪いけど、間違いなくこの最強の兵器を君らの基地に届けて守らなきゃいけないんだ!

 こんな奴らに壊させるわけにはいかない!』



 でっかい輸送機達が、こうしている間も離れていってくれる。

 




<ウェザーリポーター:タイプ06>

『こちらのレーダーにはミサイルはもう無いわね。

 オペレーター!敵機は?』


<カモメ>

『敵機確認。マーカー情報を更新します』


 私の網膜情報に矢印君が出現したので、その方向にペラゴルニスを宙返り。

 くるりと機体を元に戻して、背中のミサイルを起動しながら加速。


「見えたな、レーダーには」


 機影は3、いや4機。

 カメラ性能的にはまだ上手く見えないけど、多分白いからあの天使型っぽい機体だ!


 じゃあ‪……‬まずは手前にロックオン!

 ペラゴルニスの背中の二つ、高機動誘導ハイアクトミサイルと、垂直高速ハイスピードミサイルを発射!


 同時に、肩の中型ロケットを連射だ!


 この中型ロケットは、ペラゴルニスのなけなしの積載量になんとか納めた武装で、まぁ大型ロケットほど地上とかの爆撃にはイマイチな火力のものなんだkっど‪……‬


 実は、弾の速度はハイスピードミサイル並みで、今も上から降ってきたミサイル達と挟み込む形で敵のみんなを散り散りにさせてしまう効果がある。


 そして一機、一番距離が近い機体に迫る嫌なやつ。



 本当の名前は『アルテミス』っていう地球の神話の女神様の商品名らしいよ。


 でもみんなはこう呼ぶ、『ストーカー』。


 対してミサイルにしては速くも無い。

 対して当たってもダメージが無い。


 ただ撃ち落とすまでしつこくしつこく追ってくる。

 無視するか、撃ち落とすかを強制させる。

 でも天使型機体は結構硬いから、敢えて受ける選択をしたんだ。




「そして、そんなことしてるとこうなるのだ!」



 ボボボボボボボボボッ!


 武器腕速射砲オートキャノンを撃ち込まれる隙には充分だ。

 実弾武器耐性バリ高Eシールド出力が自慢の天使様も、バトルライフル用の弾よりデカい弾をマシンガンの速度で撃ち込まれてしまえばEシールドは一気に減衰。


 そんな減衰した出力でねぇ、蜂の巣にならない方がおかしいねぇ!



<火星統一政府軍兵士1>

『───敵襲!!一機落ちたぞ!?』


<火星統一政府軍兵士2>

『速すぎる!!何がきた!?』


 おっと、無線傍受できる距離か!

 早速攻撃が来てるから、レーザーを避けつつ近くの雲に隠れる!




<火星統一政府軍指揮官>

『落ち着け!解析の結果はランク9『大鳥ホノカ』のペラゴルニスだ!!

 もう一機はアンノウンだがエンブレムからランク49『大鳥ルキ』と予測される!!


 機体フレームから空戦向けの装備だ!!

 お前たちは、二脚を仕留めろ!!


 ペラゴルニスは‪……‬!』



 瞬間、隠れていた分厚い雲を切り裂いて、上から強力なハイレーザーが目の前に飛んでくる。


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《なんで!?この雲の厚さじゃレーダーだけじゃあ予測なんて!!》


「───アレか」


 まるで予測してくるようなレーザーの狙いを紙一重で避けていく私のペラゴルニス。


 その頭のカメラが捉えた雲の切れ間に、ガイコツみたいな細いフレームの四脚の姿がある!


 前戦った面倒臭いやつ!!




<火星統一政府軍指揮官>

『この場でジブリールに乗っているのは私だけだ!

 厄介な相手は引き受ける‪……‬!』



 ジブリールって名前だっけ?

 こいつは‪……‬こっちの動きを予測してくる!


 直進するために蛇行する

 何言ってるかって話だけど、要するにジグザグに直進するだけでも結構攻撃は避けられる。


 なるべく曲がるタイミングはランダムで‪……‬っていってもかなりギリギリの場所をレーザーで炙られる!!


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《噂には聞いていたけど、完全に動きを読んでるわね。

 普通は、ジグザグに動く相手にロックオンするだけでもキツいわよ?》


「どうする?フロートの専門AIちゃん?

 私この前は機体の速度と反応でゴリ押ししてたけど、頭悪すぎて参考にはならないかも!」


 今の所、避けるだけで精一杯だ。

 相手は多分だけど、こっちが攻撃するタイミングは私がちょっとでも機体を動かした瞬間より前に予測してベストな感じに当ててくるはず。


 今だってEシールドギリギリで避けてて、ただでさえ薄いペラゴルニスのEシールドが削られてる。


 さて、そこでも私はアホの子なので、

 どうすれば良いのか分かんないんだよねー!!うぇーん!!!



<ウェザーリポーター:タイプ06>

《────速度は上々、ストライクブーストなら上昇しても相手の本人の射撃間隔は越えられそうね》


「何?良い案ある?」


<ウェザーリポータータイプ:06>

《敵の予知システムが昔猛威を振るった奴と同じなら、センサー系統の情報依存のはず》


「どゆこと?」


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《頭を使いなさいな11時方向上、眩しい目印に向かって上昇!》


「眩しい目印‪……‬あ!」


 センサー‪……‬そういうことか!!


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《目的の場所と相手の視線を重ねないといけないわね。

 ギリギリで惹きつけて、一気にストライクブーストであの目印に向かわないと。

 そのためにも、ストライクブーストの瞬間に落とされない必要がある》


「難しそうじゃん、今もオケツがレーザーで焼かれそうなのに。

 それやるのに良い方法ある?」


<ウェザーリポーター:06>

《『ジャパニーズトラディショナルモットー』よ》


「何それ?」


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《気合いで頑張れ!》


「‪……‬‪……‬分かりやすいなー、もー!!!」



 この今も攻撃が飛び交う中、蛇行をやめて一瞬ペラゴルニス大減速させる私。


<火星統一政府軍指揮官>

『!?!』


 相手が驚くような分かりやすい動きだった。


 ペラゴルニス下半身の飛行機みたいなフロート脚の翼をうまく操作して、見えない円柱の中をなぞるように横に宙返りして相手の背後へ。


 バレルロールっていうんだっけ、これって?


 機動兵器、というよりは『戦闘機』じみた特性のフロート脚機らしい動きさ!




<火星統一政府軍指揮官>

『そんな分かりやすい動き!!』


 直後相手もバレルロールで対抗してくる。

 空中戦特化4脚って結構イロモノなのによく出来るなあの動き!!

 お互い視界の上では真上に相手がいる状態で、ぐるぐると何もない場所にあるかのように円柱をなぞるみたいに回転して背中を取り合う。


 空が地面で、地面が空で、計器の表示がなければ今重力がどっちにあるか分からないねコレ!


「もうちょいかな!?」


<ウェザーリポーター:タイプ06>

《もう少しお尻を取って!!!》


 まだ‪……‬後一回転‪……‬ここ!!


 ここまでの動きは、相手が予測するためにこちらの動きをなるべくカメラから外すため。

 ストライクブースト起動の兆候を隠すためにわざと分かりやすく背後を取るように動いたんだ。


 だから、相手のカメラとかセンサーの死角の位置で、


 予測システムが反応できないタイミングでストライクブーストを起動できた。


 置き土産にプラズマフレアを真上の相手へ振りかける。


 キュゥン、ヒィィィィィッ!!



<火星統一政府軍指揮官>

『な、まさか!?!』


 一気に加速、音速突破して上昇。

 狙う場所は‪……‬あの眩しい太陽の方向!!



<火星統一政府軍指揮官>

『しまった、工学カメラが!

 センサーもさっきのフレアで!?』



「ここから‪……‬地獄だな!!」



 ここで、超高負荷急速旋回アサルトターン


 ドヒャァッ!!!


 あれほど眩しかった視界が、真っ暗になるような勢いで機体を後ろ向かせて180度!




「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!!!」




 強化済みの身体じゃなかったら、気絶どころか死んでる勢いだった。

 身体中の白い人工血液がシェイクされてるし、まだ残ってる人の臓器が捩れるような感じ。


<ウェ────>

《──やく照じ────前───!!》



 視界戻ってないから補足のための表示も見えないし、今は耳が耳鳴り以外は聞こえない。


 けど何を言いたいかは、分かるさ!!


 身体の中の血液が全部ドンッ、って壁にぶつかったみたいな衝撃と一緒に、もう薄い視界で相手を真正面へとらえる。



「ぐぇぇ‪……‬ッ!!!」



 美少女にあるまじき酷い鳴き声が口から漏れちゃった。

 でもおかげで相手から見れば太陽を背に、予測も何もできず止まってしまう相手へなんとかロックオン。



「ここまでやらせて、避けんなよ!!」


 でもまずはノーロック武器の肩のロケットを乱射。

 手数で相手の回避を制限する。

 ロックできた瞬間二つのミサイルを弾薬費に構わず発射。

 そしてペラゴルニスの両腕の代わりに生える、武器腕速射砲オートキャノンをぶっ放しながら、進む!


 ボボボボボボボボボッ!!!!!



<火星統一政府軍指揮官>

『しまっ‪……‬キャァァァァァ!?!!』



 ロケットの爆発で片腕が、上からミサイル、続いてしつこいミサイルで脚が吹き飛ぶ。


 南無三。許してくれとは言わない。

 でも生かすわけにもいかないから、速射砲オートキャノンの重くて一粒がデカい砲弾の雨で蜂の巣にした。



<火星統一政府軍指揮官>

『コード:44‪……‬送信‪……‬ごめんなさい、姉さん、お母さん‪……‬!』



 ボン、と爆発する相手を背後に、くるりとペラゴルニスを一回転させて水平飛行に戻る。



「ぷはー‪……‬はー‪……‬はーっ‪……‬すぅ〜、ふぅ‪……‬

 ‪……‬なんか嫌な感じ。殺人感が強いじゃん、最後のセリフ」


 呼吸ができないような戦いの中だったけど、最後の声だけは聞こえてしまった。



<ウェザーリポーター:タイプ06>

《殺し合いでしょ、傭兵スワンの仕事なんて。

 嫌い?》


「嫌いじゃなきゃ、もっと格安で楽しくやってるさ。

 キツい、高収入、殺し合い、で『3K』の仕事なんだしね」


 ‪……‬‪……‬もっと、平気に人殺せてたはずなのにね私‪……‬

 いや実際、情けかけることは出来なかったけど‪……‬


「‪……‬‪……‬ルキちゃん、無事かな?」


 そうだ。

 私には、もう心配する必要がある家族ができたんだっけ‪……‬!



<ルキ>

『おねーちゃん、無事!?』



 と、逆に心配されちゃった声と一緒に、ルキちゃんの新型機体が飛んできた。


「良かった‪……‬一人で平気だった!?」


<ルキ>

『なんとかね。

 ‪……‬心配してくれてありがとう』


「そりゃ、一応おねーちゃんだしね」


<ルキ>

『‪……‬ふふ。

 おっと、ほのぼのともしてられない。

 ねぇ、そっちの機体の最後の無線、何か言ってなかった?』


 え、何?何か?


「‪……‬そういえば、こーどなんちゃらって‪……‬」


<ルキ>

『そうそれ!

 何かおかしくない?ひょっとして、まだ追撃が来るかも!』



 追撃‪……‬!

 まずいな‪……‬とりあえず、輸送機方面には今敵は‪……‬!


「レーダー反応は無し‪……‬いや待って!」


 一機、探していたと思ったら反応!

 しかもすごい早い勢いできてる!



<ルキ>

『何この感覚‪……‬!?

 とにかく速いのが!!』


「輸送機、一番後ろのやつ守らないと!!」



 とりあえずストライクブースト起動!


 少し下にいる輸送機達の後ろへ急いで!!



<カモメ>

『聞こえますかホノカさん!!

 こちらのセンサーにもとてつもない反応が!!!

 高エネルギー反応急速接近!!

 なんですかこのエネルギー出力は!?!


 測定器の予想Eシールド出力推定が、これまでの敵性機体の中でもずば抜けて!!』



「何それカモメちゃん!?

 そんな出力のシールド張りながらこの速さ!?」



 追いつかれそう、もう直ぐ見える!!

 だけど、直後ピカッって光ってやってきた攻撃は予想外だった。


 ビシャァァァァッッ!!!


『!?!』


 雷鳴じみた音と、極太のレーザー照射。

 明らかに最後尾の輸送機を狙った一撃は、かろうじて逸れていた。



「何あの極太のレーザーキャノンは!?」



<シルヴィア>

『───違うぞ君達!!!

 それはレーザーキャノンなんかじゃあないッッ!!』



 あのちびっ子が叫ぶ。

 その次の内容は、信じられない物であったし、


 実際に動いたのが同時に見えて納得する出来事だった。




<シルヴィア>

『全長10kmキロなんだッ!!!』




「は?」



 ごんぶとレーザーが、瞬間こっちに向かってくる。


 本能で、真上へ避けた瞬間見えた。

 3つある内の一つ、大型輸送機が一機、レーザーにスパッと切り裂かれ、その後2回転して3枚下ろしになったのが。



「なに、それ‪……‬!」



 警告音。

 赤いエマージェンシー表示で記された先に視線を移せば、何かが高速でやってきて、私たちの間を通り過ぎる。



<???>

『お前達か‪……‬!

 私の妹を、戦友達を殺したのは‪……‬!!』



 真ん中にいるのは、見たことある機体。

 ハルコだかマルコちゃんだか忘れたけど、天使風の人型兵器。


 その背中には、翼の代わりにSSSBみたいなブースターユニットにも見えるものが背負われて、


 背負いものから前に伸びてる円形のリングで機体の周りを覆っていて、

 両腕は、多分レーザーブレードみたいな発信器。


 中心の人型兵器自体の背中からも別の武装が伸びている‪……‬とにかく強そうな機体。




<火星統一政府軍特殊兵器兵>

『許さんぞ貴様ら!!

 もはや実戦試験などではなく、この『ハールート・ミーティア』の全ての性能で、


 お前達を殺し尽くす!!』




 円形のリングにそって何かの四角い筒達がジャラジャラ前に迫り出して、バコンと上下に開いて、まるでフジツボみたいな姿になる。



<シルヴィア>

『とにかく相手の上か下によけろ!!!

 あれはウチの社の兵器をパクった120門パルスレーザーキャノンだ!!』




「うん。避けなきゃこれダ、


 めうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!?!?」




 それはもはや爆発してるのと変わらないような光の奔流だった。


 私は、避けれたのか、無理だったのか、

 もうわかんね─────





           ***

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