MISSION 2 : ババアと嬢ちゃん達と領主様
さて、おそらく味方の自称『
「ありがとうおばあさん達!
それで、なんか作戦指示とか良いお知恵はある?」
<ティア>
『まずこのおいぼれ一番機の私はティアとでも呼んでくれるかい?
副隊長の二番機がマリー、三番機がマシュだよ。
ま、全員墓場に行きそびれたババアさ』
<マリー>
『あなたが大鳥ホノカ、今のランク9なんですねぇ……!
アンネリーゼお嬢様……じゃなかった、
アンネリーゼさんを知ってる!?
そういえば住んでるヨークタウンってアンネリーゼさんの領なんだっけ?
<マシュ>
『カカカカッ!しっかし、新米どもはあんだけ守られてて一人死ぬとは情けねぇなぁ!
アタシだって初めての戦場はもっと動けたもんだぞぉ?』
<ティア>
『お漏らしマシュが偉そうに』
<マシュ>
『げぇ!まだ覚えてたんかい隊長!
お互い都合の悪い記憶は忘れてしまいましょうよぉ、誤射隊長』
ははは、とこんな戦場のど真ん中で笑うあたり、大物だな。
<ミコト>
『いや笑ってる場合かよ!?
周り囲まれてる!!』
知ってる。
のでスナキャ構えて、逆脚MWを撃破。
なんと、おばあさん方の逆脚達も一瞬でスナイパーライフルやらライフルで撃ち抜く。
<ティア>
『ハン。この程度の雑談もできないようなケツの青いガキでも無いんだよ。こちとら御歳いくつか数えたくもないんだからね!』
<マリー>
『しかし衰えましたねぇ、私は。
昔はスナイパーライフル程度なら、3体目も余裕だったんですけどねぇ……これなら、私も今回の戦いであの世に行ってしまいますかねぇ』
<マシュ>
『何言ってんだ、未だ恐ろしい副隊長だよアンタは!
そんなことより、ホノカとか言ったか?
アンタ、若いのに随分できるヤツだ……スナイパーキャノンで早撃ちなんざ、若い頃のアタシでもできんぜ?カッカッカ!』
「いやいや凄腕だよおばあちゃん方!
傭兵でもこんな早撃ちできるの少ないって」
マジで感心しちゃった……!
<ティア>
『素直な子だねぇ、じゃあ早速この婆さん達についてきな。
特にボケッとしてる新兵共にくれてやるものがあるんだよ』
「……だってさ、新人ちゃん達?
とりあえず行こうか」
<フミカ>
『そ、そんな即決で……?』
「罠なら罠ごと叩き潰せばいいのさ」
<ティア>
『そういうことだよ!
ま、罠じゃないから安心して来な!』
というわけで、逆脚らしい3次元機動で向かうおばあさんを追って、この街の建物の上を飛び跳ねて進むのだ!!
<ノドカ>
『待って、待ってぇ!!』
<フミカ>
『早すぎます!というか、建物の上をそんなウサギみたいにぴょんぴょん飛び跳ねるだなって……!』
<ミコト>
『てか、その重そうな4つ脚の機体で、アンタなんでついていけるんだ……!』
「いや実はこれ、
脚部の特性と、何よりジェネレーターとブースターの出力が原因なんだよ。
君らの機体は、フレームは良いんだけどジェネレーターとかの内装はカスでね……いやFCSは結構いい感じだけどね。
で、おばあちゃん達!?
なんで敵が少ないルート突っ切って向かってるのかそろそろ話しなよ!」
<マリー>
『まぁ、実はそれに関する事でしてねぇ……おっと!』
その声の意味私もわかった!
レーダー感!位置は空、高速、3機!!
<マシュ>
『面倒な天使様が来やがったよ、若いの達!!』
ちょっと屋上借りて、4脚のアンカーを下ろして撃ち込んで固定!
スナイパーモード……スコープ型センサーと連動して倍率を上げた向こうには、
全身の白い装甲と、イケメンなメカ頭部虹色に輝く光輪と背中の翼見たいなブースターの人型!
「来たか!アレって確か名前ハルト君だっけ!?」
<セヤナ>
《惜しい!ハールートや!!》
<ミコト>
『名前なんてどうでも良い!!
強そうじゃないのアレ!?』
そ、名前なんてどうでも良い。
重要なのは、スナイパーキャノン3発撃たないと抜けないって事だ!
だからインチキを使う。
「聞いて新人ちゃん達!!まずは一番最初に到達する先頭の個体に私が撃つ!!
FCSをデータリンクするから、その機体にミサイルを撃って!!」
『『『『えっ!?』』』』
「良いからミサイル撃って!!」
ズドォン!!
そろそろヤバい距離なんで、撃ち込む!!
さて、相手もMWだとすれば、いわゆるオートバランスシステムとかいう機体を安定させるシステムは見た目こそ超技術で作りましたって感じだけど、
前回の戦いで、こっちの基礎システムと同じで高性能だけど弱点がそのままだった事が分かった。
私が乗ってるeX-Wもそうだけど、Eシールドで大抵の運動エネルギー弾を弾いたり無効化できても、
そして本体装甲で爆発物のモンなんとか効果とかレーザーとかプラズマの熱を防げても、最後の最後まで防げない物がある。
それは、衝撃。
空中で制動する力が強いeX-Wをはじめとした機動兵器達でも、強烈な衝撃を喰らうとわざと吹き飛んで逃すなんてどんな達人技?って動きが出来ないと、
機体は衝撃に対して踏ん張って、その場から離れないようにオートでバランスを取る。オートバランスって名前だし。
この一瞬の硬直が隙になる。
『
脚止まった相手なんて的さ!
ズドドドッ!!!
<ノドカ>
『当たった……!』
<ハルナ>
『当たっちゃったし……!』
そんな状態で、敵の防御の弱点の
「油断はダメ!!2機散開してる!!」
レーダーには左右に分かれた相手が映る。
高度計低めなのは、天使っぽい見た目通り人型と思えない飛行性能でこの街中の大通りを飛んでるってことか……スナキャに耐えても衝撃のせいでスタッガーが怖いかな?
「よし、突っ切ろうか!!
移動開始!!」
<フミカ>
『もう!?来るなら迎撃したほうが……!』
<ミコト>
『いやこの人の言うとおりにしよう!
凄く冷静だもん、こんな状況でもさ!』
<ティア>
『良い判断さ。
大抵の攻撃は動いてりゃ当たらないもんさ、50年前からね!!』
再び移動開始!
目的地はどこか知らないけど、とにかく急いで!!
と、斜め右後ろ、一機がが飛び出してこっちにパルスマシンガンを向けてくる!
なんで分かるのかって?
レーダーの高度がこっちと同じ瞬間になった時に後ろ向きになってた!!
「ロケット当たってくれよ!!」
ボン、ボシュゥゥゥゥ!!
当たってくれなくても、HEATロケットで邪魔ができる!
まぁ、当てたけど!1機撃破!!HEATには本当に弱いな……
<マリー>
『偏差でロケットを当てるとは……!』
<ミコト>
『それ難しいんじゃないの?』
「難しいけど、覚えておけば生きていられる。
私、君ら以上のハードな最初の任務でさ、こうして生きてるのは運が良かったからだよ」
…………考えても見たら、最初の任務、
そう、訳もわからないで依頼を受けたかも怪しい……まぁその後知った事情というか、裏を考えれば当然なあり得ない高難易度任務……
よく、生きて達成できたな、我ながら。
生きてて良かったって今も思う。
<ノドカ>
『……私達って、運が悪いのかな……』
と、新人ちゃんが進みながらそう不安げに呟く。
ま、そう思うよね〜〜……ふふ。
「まぁ、今生きてりゃ幸運さ。
ま、本当に幸運なことに、私の時と違ってちょっとだけ頼りになる先輩が一緒なんだし。
人殺し初めてだろうし、怖いだろうけどさ、
君らには、
レーダー……相手は中々不規則な動きでこっちを狙ってる。逃げてはくれないか……
「せいぜい、私を利用して生き延びて欲しい。
囮とかしんがり、っていうのになるのは私のほうさ。ま、要は私の事も気にしないで、せいぜい利用して欲しいってこと」
<ノドカ>
『え……!?』
<フミカ>
『何を……?』
「その反応、まともな人間なんだねみんな。
私はさぁ、最初の任務で名前も顔も知らないとはいえ、似たような傭兵仲間を二人共見殺しにしてる。
しかも、初めて人殺して感想は、『案外大したことがない』って言うようなクズさ。
生き延びることだけ考えてりゃ、そのうち勝てるし報酬も貰える。
だから、ここは任せて!」
一人、足を止める私。
<ミコト>
『アンタ……イかれてると思ってたけど、自殺志願者かよ!?』
「あ、こんなこと言ってるけど死ぬ気はサラサラなくてさ。
その方が戦いやすいってだけ。
悪いね。
守るより殺す方が得意なんだ」
そうそう、正直本音はこっち。
努力したけど一人死なせちゃったしさ。
私が孤軍奮闘した方が……ってちょいちょい新人ちゃんの機体が一機反転してきたんだけどぉ!?
「うぉ!?話聞いてた!?」
<フミカ>
『無理です!!離れるのは無理!!
その守るのが下手なあなたがいないと!!!
私達死んじゃうじゃない!?!
少なくとも死ぬ確率が上がる!!!
私は死にたくない!!!
さっきのあの誰か名前も咄嗟に出てこない子みたいに気がついたら死んでいたくないの!!』
「…………!」
そ、それもそうか〜〜……!!
でもまさか、マジでこっちに来ると思わなかったなこの……青い塗装の1001Bの子?
<マリー>
『その新米ちゃんの言うとおりですよ。
何より、あなたが離れたら狙われるのはこの子らの方でしょうねぇ……私も若い頃からそうして来ましたのでよく分かりますよ』
そして、おばあさん逆脚機の一人もこっちに残る。
「……こうなってくると賭けだな。
どっちを狙ってくるかって話の」
<マリー>
『やはり狙いはそうでしたかね。
さて、隊長達はお先に言ってくださいな。
私たちは、準備をしますかね?』
てなわけで、まずは手頃な高いビルの上へ壁蹴りで登る!
<フミカ>
『なにを!?』
「そこにいて。
身を守ることだけ考えて」
────私に向かって来たなら、近くで撃ち落とす。
離れたら子達のどれかに向かっても、オルニメガロニクスは狙撃ができる。
そう、離れた方が戦いやすいとはそう言うこと。
(問題は、どっちを狙うにしろ直前まで分からないってことか)
さて、分かりやすくしたぞハルト君や。機体名忘れたけどこんなんだよね?
ともかく、コレほど分かりやすい状況を作った。
こっちのお婆さんの機体も含めてあからさまな罠に飛び込むか、
それとも、殺せる可能性が高い相手を狙うか。
─────飛び上がった天使が選んだのは新人ちゃんの塊!
ズドドドンッ!!
「!?」
あの天使型機動兵器のハルト君が空へ上がって、パルスマシンガンを構えた瞬間には私は狙いをつけていた。
けど、撃ち抜いたのは別の誰かだ。
「誰が……?」
<ハンナヴァルト領主>
『流石、私相手に値上げ交渉をしただけはあると言いますか……良い判断ですね、
この通信ログ表記は!?
急いで、スナイパーキャノンのスコープを発射地点に合わせる。
<ハンナヴァルト領主>
『ただ、勝手な損害は許しません。
あなた方にはもっと酷い地獄の戦いに出てもらう必要がありますから』
いた!重量逆関節型……しかも腕と頭は私のオルニメガロニクスと同じ、薄紫というか青紫な機体!!
「アンタが雇い主の……!」
<ハンナヴァルト領主>
『そうです、雇い主です。
援護してるのだから、さっさと指定ポイントまで来なさい!』
再び構えるスナイパーキャノン。
インペリアルの人って、偉い貴族とかの人もみんな戦えるんだなぁ。
「ならお言葉に甘えて!」
早速、新人ちゃんみんなと共に、指定ポイントへ行こう!!
────なんせレーダーの端にチラチラ新しい敵影も見えてるし……!!
***
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