Chapter 6
INTRODUCTION:楽しい楽しいミッション開始♪
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START UP.
<オペレーター:カモメ>
『───情報封鎖並びに無線封鎖解除。
傭兵各位へ、オペレーター、カモメよるミッションの概要を説明いたします。
機体は通常モード状態でお聞きください』
────機体の私達が乗っている、コックピットの画面に映像が映し出される。
いつもの頼れる私のオペレーターアンドロイドさんことカモメちゃんのブリーフィングの始まりだー!
<カモメ>
『今回の依頼内容は、長期ミッション最初の段階。
すでに、我々、依頼主のインペリアルをはじめとした『人類生存圏』の外縁部は、その大半が敵である『火星統一政府軍』の占領下に置かれております』
映し出された地図。
そこに書かれた、火星の南半球側の大地の大半が赤く塗られて占領下に置かれているとか前線を意味する線やかろうじて残っているこっちの陣地の青い部分を見る。
ひでぇや、明らかに劣勢。
<カモメ>
『3大陣営はインペリアル軍を正規中心に軍事同盟軍を展開し、現在これらの戦線を3つに分割して対処をしております。
今回、我々の企業連合体『トラスト』所属の
この中央戦線、その最先端に位置するインペリアル『辺境伯領』、『ハンナヴァルト領』へと向かっていただきます』
地図に現れた赤い丸、そこは真っ赤な敵に囲まれているちょっと尖った形になった青い領土。
これ、確か今は静かな相棒AIのコトリちゃんが言ってた、「3方向囲まれててやばい場所」じゃね?
<カモメ>
『現在、ハンナヴァルト領は3方向から敵に囲まれておりますが、ハンナヴァルト領主を筆頭に駐留のインペリアル正規軍が奮戦し、戦況は硬直。
現在、両軍とも大打撃を受けた影響で睨み合いもできずにお互いが動いていない状況です。
そこで、トラストは傭兵の皆様に、次の攻勢を早めるため、そして敵への威嚇行為のためにハンナヴァルト領へと向かってもらうこととなりました』
「カモメちゃん、内容は分かったけど、
威嚇にしたって、私とエーネちゃん以外ほぼ『新人ちゃん』だけなのは大丈夫なの?」
そう、それが問題。
私こと、傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんは、今説明のあった任務へ向かう途中なのだけど、
今回、私の機体は最近出番が多い4脚狙撃機『オルニメガロニクス』、
<エーネ>
『しかも、大半の機体が軽装甲型が多いし、一番装甲が厚そうなのが新人ちゃん達の1001Bフレームばっかりだ。
正直言って、新人ちゃんに盾になれって言ってるような物で気分悪いよ?』
そして、同行する
他全部で8機が今移動中なんだよ。
<ルキ>
『新人ちゃんで悪かったわね!
……お情けで、ランク49を貰ったって自覚はあるわよ、私にも』
さて、新人ちゃんと言ってむくれてるのは、色々あって義理の妹ってことになってるスタイル抜群で私より背の高い美人さんの9歳児、ルキちゃんだ。
シンギュラ・デザインドっていう、簡単に言えば遺伝子いじって生まれたすごい子の一人だよ。
機体は、高速狙撃型4脚機『バード・オブ・プレイ』。最近作った0の中に目力強いフクロウのエンブレム入りの黒と赤の機体。ちょっと隠し球付き。
この度、『
<ケルヴィ>
『おめでとうルキ。強くなったな。
冗談も言えるだなんて、肩の力が抜けたようだ……良かったよ、本当に』
で、今のは、ルキちゃんと同じシンギュラちゃんの……たしか、ケルヴィちゃん、だよね?無線ログの名前は……合ってた。
たしか、すんごい凛々しくて切れ長な目の美人さんで背もかなり高かった子だね。
9歳??人間ではないとは言えねぇ……
機体は、やや機動重視の中量2脚型、『⑧』。まるはち、でもエイトでも良いって読み方。
<ルキ>
『……私も年相応に背伸びしたい子なのよ。
あ、だからと言って子供扱いはアンタらしないでね。同い年なんだから』
<ドミニオ>
『にゃはは〜、こりゃ変わらない所もあるみたいで、ニオちゃん安心だなぁ〜♪』
確かこっちのドミニオちゃんは、同じシンギュラちゃんでなんかのんびりした雰囲気のボブカットの子だっけか。
機体は、『⑥』。重量逆関節型で、ちょっと物騒な武器を右腕に付けてる。
「……ま、この3人は問題ないよ。
多分私より強くなれる子でしょ」
<エーネ>
『無茶を言うよね、ランク9のホノカちゃんは』
「ランク15だっけ今エーネちゃんは。ずいぶん進んだもんだね」
<ルキ>
『私みたいな初めて少し生き残ってるメンツがランカー入りするなんて、
相当死んでるわね、今回の戦争は』
<ケルヴィ>
『我々、シンギュラも皆Aランクか。早い物だな、自由の為に戦っているとは言え』
<ドミニオ>
『……いっぱい殺しちゃったけどね〜……ふい〜』
「おっと、これは怖すぎる話題かもね。
あ、気にしないでね『醜いアヒルの子』達や〜」
さて、私とエーネちゃんの一応ベテランコンビ、そしてシンギュラちゃん達まだ慣れてる新人、とは別にね?話題にも上がってた機体達……
ザ・最初の機体。
名前もないだろうし、まぁ青に白黒に、赤にと色だけ変えたのは褒めたげるけど、それ以外は与えられたばかりの、バーンズアーマメンツ社製の実防重視中量2脚型の1001Bフレームセット達がそこのヘリ達に吊り下げられているのだ。
みんな静かだ。不気味なぐらい……ん?
「あ、そういや無線って、相手に話す時はヘッドセットの脳波コントロールスイッチか、神経接続だけ入れてる子はそっちで意識してないとしゃべれないよ?」
<新人傭兵1>
『───え、聞こえてなかった!?』
<新人傭兵2>
『あ、これなの……!?』
<新人傭兵3>
『あーし、さっきから喋ってたんですけど!?』
<新人傭兵4>
『マニュアル分かりづらい……分かりづらくない?』
<新人傭兵5>
『最初に教えやがれってんだこのヤロー!!』
ですよねー。
無線、自動でやるにもねー。
<新人傭兵5>
『あ!そうだ!!
アタイ、
先輩方に質問なんスけど!!』
え、歳上じゃん、あの白黒機体の子。まいっか。
「おk、サクラちゃんね、何か?」
<新人傭兵5>→<サクラ>
『アタシら、昨日訓練簡単にやったばかりなんだけど、マジで実戦なんですか……?
簡単な相手っすよね……?死ぬわけがないレベルの雑魚というか……?』
「あー……それはみんな次第じゃないかな。
実弾飛ぶし、死ぬ時は死ぬから」
確かにここ気になるよねぇ……私も酷い目にあったし。
……やっぱみんな絶句しているし。
<新人傭兵2>
『…………あの、私は
その、そちらの日向さんと同じく、昨日初歩訓練を終えたばかりで、実戦は不可能では……?』
<新人傭兵3>
『はいはい!!あーしも!!あーし、
あーしも昨日なんか軽く操作終えたばっかりなんだけど、実戦無理くね!?』
おー、いっぺんに二人が。まぁ言いたいことは、そらそうね。
<新人傭兵4>
『……こちら、同じく新人
普通、ミリタリー系ゲームでも聞くけど、完熟訓練とかするはずだよね?これ何かの間違いじゃないのかな?』
<新人傭兵1>
『え、何かの間違い……なんですか?』
<新人傭兵4>→<ミコト>
『名前いいなよ、一応』
<新人傭兵1>
『ふぁ!ごめんなさい、私
とまぁ、残りの子も、当然の反応をする。
名前もわかって良かった。
<ルキ>
『あのねぇ、傭兵試験は……』
「まったルキちゃん。
……カモメちゃん、今回のオペレーターは確かカモメちゃんが彼女ら兼任だよね?
確認するけど……アレは、私が言っても良いの?」
そうそう、これをいうべきは本来オペレーターさん達のお仕事なのだ。
<カモメ>
『…………良い機会です。
先に戦場で戦う人間に、最初に
ホノカさん達、お願いできますか?』
「……良い性格してるねぇ」
どうやら、この子らにはあまりに過酷な試験内容を言うのは私らしい。
……まぁ仕方ないね。
「おっけー、
まず、訓練は昨日か一昨日ので終わり。
今日から実戦で、これから向かう戦場が試験の地だよー」
え、と当然の疑問の声が上がる。
「試験は簡単。その機体使って依頼をこなして生き残れば、その瞬間から君らは
じゃ、頑張っていこうか」
<新人傭兵1>→<ノドカ>
『ちょ、ちょっと待ってください!!!!
それって……!?』
<新人傭兵2>→<フミカ>
『い……今から、じ、実戦……!?』
「そういうこと♡」
絶句。それはそう。
私も最初はもう泣きそうだったよ。
<サクラ>
『……じょ、冗談だよな……!?
実戦って……じゃあなんだよ!?!アタイら普通にタマがバンバン飛んでく中に、今の今から行くのかよ!?』
「正解。これから、実弾かレーザーかHEATかその他諸々が飛んでくる場所にみんなで向かいまーす♪」
<ミコト>
『おかしいでしょ!?
普通、もっと訓練を積んで、それで……!!』
「私たちは正規軍じゃ無い。白鳥の名前を付けた、傭兵、スワン。
ま、つまりは安い戦力って事。
訓練とかは自分でやれってやつ」
<ミコト>
『なんだよそれ!?常識がないのかよ!?』
<ノドカ>
『……う、嘘だ……そんな、新人を怖がらせようっていう冗談ですよね……?ね……!?』
「懐かしい反応だけど、マジでそう。
ああ、そうそう、これを一番に伝えないとね?
今回の依頼を、つまり実戦を一個こなして初めて、
君達は
試験内容が実戦ということ。これも言っとかないとね?」
<フミカ>
『そんなの!!
そんなの試験なんかじゃない!!!
ただ私たちに死ねって言ってるだけじゃない!!!』
正論である。
いやそりゃそうよ、なんだよこの試験。
殺されそうになって死ななかったらOK、ってまともじゃないよねー。
「そりゃそうだよねぇ……
まぁ、理不尽だけどこれで生き残れないなら
だったら今死んでしまった方が幸せかもしれない。
それも紛れもない事実なんだよ」
<ミコト>
『イカれてる……!』
「イカれてるさ、人殺ししてんだし」
正論が割と傷つくけど、実際おかしいのはこっちなんだよね。
<新人傭兵3>→<ハルナ>
『あ、でもキャンセルとか出来る系じゃないんすかー?』
「あー、ごめん!
確かこの試験に二度目も変更も無し!
理不尽だけど、傭兵に死に場所選ぶ権利ないんだ」
<ハルナ>
『えぇ……やばたにえん……』
<サクラ>
『てかまだ傭兵じゃねぇよ!?
それでそんなクソ試験受けさせんのかよ!?」
「そうなるしかないんだよねぇ……
うーん、こりゃ今回の依頼、依頼内容通りなら初心者でもまだなんとか出来るもので良かったなぁ」
確かに、とうーうー唸っているしかない新人ちゃんだけど、まぁ状況は悪くはないよ。
<エーネ>
『この様子だと、依頼内容も『文』としてしか読んでない感じか。
まぁ、要約すれば、戦闘はないはずだから、先に言って次の戦いの準備しろってだけだもんね』
<ルキ>
『最前線、じゃなかったの?
呑気な話ね……』
<ケルヴィ>
『ルキ。考えてもみてくれ……普通戦いであっても小休止や立て直しの期間はお互いあるはずだ。
その間に送れる戦力を送るというのが今回の任務だろう……』
<ドミニオ>
『だから軽い機体とかしかいないわけなんだ?
じゃあ本当の救援が来るまではお昼寝出来たりしてね〜?』
まぁ、依頼内容上はそうだよね。
新人ちゃんも、心なしかホッとしているみたいだ。
<ドミニオ>
『────ん?』
<ケルヴィ>
『この感じは……!?』
<ルキ>
『…………おねーちゃん』
……って思ってたんだけどねぇ。
「出番だぜ、今日の相棒ちゃん?」
<セヤナ>
《相変わらず怖いでネオ……やなくってシンギュラちゃんか。
じゃ、メインシステム、戦闘モード起動やで》
オルニメガロニクス担当で、今日の相棒であるAIのセヤナちゃんの言葉と一緒に、神経接続越しに色々なデータが視界に映って、機体の戦闘モードが起動する。
<ノドカ>
『え、え?みなさんどうしたんです?』
「ごめん。時間ないから簡単にね。
まず、そこの3人の君らの年下の先輩
で、今の反応は多分だけど……
もう戦闘が始まってる」
へぁ!?
ってすごい声が無線に響く。
「てなわけで、新人ちゃんはさっさと機体を戦闘モード切り替えて?
悪いけど、着地がまともに出来るか怪しい」
すでに、私を吊り下げているカモメちゃん入りのいつものヘリコプターをはじめ、慣れてる仲間の4機は散開を始めている。
<サクラ>
『ちょ、待てよテメェ!!!
何がどうなってるのか説明し、』
<カモメ>
『ホノカさん、パージします!!』
ボン、という音と共に、ガクンとオルニメガロニクスが落ち始める。
普段はやらない荒い動きでカモメちゃんがヘリを傾けて避ける中、ヒュンって音と高速で飛んできた何かをオルニメガロニクスの高性能カメラ5つが捉えた。
砲弾じゃん。
ズドン!!
そして、後ろにいたあのサクラちゃんのヘリが爆破した。
<サクラ>
『は────!?』
「新人ちゃん!!!全員機体を動かす用意をして!!!」
直後、固まっていた新人ちゃん達のヘリに狙撃が命中していく。
だけど、人かAIかはともかく、5機とも機体の切り離しを終えたみたいだ。
<ノドカ>
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?』
<ハルナ>
『落ちる、落ちるぅ!!!』
<フミカ>
『どうすればいいの!?』
<ミコト>
『どうしようもない!!
地面にぶつかって終わりだ!!』
<サクラ>
『死ぬじゃねーかよこんなのぉ!?!』
「はいはい、元気元気。
みんな生きてて良かったじゃん?
さてと、下はもう始まっちゃってるみたいだ。
楽しく降下しようぜ?稼ぎの時間だ!!」
新人ちゃんの悲鳴を聞きながら、5機とも健在なのはいい兆候だ。
下では早速砲弾飛び交いレーザーが撒き散らされる戦場が出来てる。
いよいよ戦いの時間だ!
***
火星のテラフォーミング完了より300年の未来、
ユニオン、インペリアル、オーダーの三勢力に統治されたバリアで覆われた土地を中心とした大地『人類生存圏』をはじめとした連合軍と、
火星の南半球に位置する内海に存在する、自称『火星統一政府』との戦いが始まった。
そして、人類生存圏に存在する大企業連合『トラスト』傘下に存在する、機動兵器『EXCEED -WARRIOR』、略称『
その最前線で、今活躍している。
***
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