MISSION 22 :戦場の空は白鳥のもの
<機体AI音声>
《メインシステム、戦闘モード起動します》
傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃん!
久々に、中量2脚型の愛機『アルゲンタヴィス』に乗っちゃいます!!
<コトリ>
《PL-2、オペレーションを開始。
行くよホノカちゃん、遅れたら地獄のしごきをしてやる!》
そして、相棒のAIのコトリちゃんは、無人機状態で私の持ってるもう一個の逆脚機体『ハーストイーグル』に乗って出撃準備!
ってちょっと待てぇい!?
「ちょっと、コトリちゃん!
一応聞くけど、この武器で大丈夫なんだよね?」
そうそう、今このアルゲンタヴィスの武装はなんと左背部スロットのミサイルが見たことないタイプに変わっている以外は、
いつものO.W.S.製のアサルトライフル、2丁!
まさかの、HEAT武器じゃない!!
<コトリ>
《敵がなんでHEATが苦手か分かる?
Eシールド出力が高くて運動エネルギー弾は弱まるし、本体装甲は対レーザー・プラズマ加工の素材だからだ。
つまり、Eシールド出力さえなんとかすれば、
敵はちょっとE武器に強いってだけで運動エネルギー武器自体にはそこまで耐性は無いはずだ。
だからこそ、バンビラプトル2丁の意味はわかるね?》
「……あ!!」
このアサルトライフルの名前というか、大昔に聞いたコトリちゃんのO.W.S.製ライフルの特徴思い出した!
<コトリ>
《分かったら行く!!》
「オッケー!!
カモメちゃん、出来ればオルニメガロニクス補給しといて!!」
<カモメ>
『了解。
オペレートも同時にやらせていただきます!
思い出したからには、やるしか無い!!
さっきまで乗ってた4脚機オルニメガロニクスをヘリのカモメちゃんに任せて、早速海の上の戦場へ!
急ぎだ、ストライクブーストで一気に目的地へ!!
<コトリ>
《先手はこっちだ!》
下手な軽量機より速く飛べる軽量逆関節機ハーストイーグル。
先行したのもあって、最初に妹分のルキちゃん以下3機の4脚が苦戦してる天使型機体に辿り着いて、
カァオッ!!ドドドドッ!!!
最強プラズマライフル、こっちが使いたかってライウンと、コトリちゃんお気に入りの重アサルトライフルのコンボで、ルキちゃんの機体の目の前にいたヤツを一気に沈める。
やっぱり、コトリちゃんの言うとおり、相手はHEATが弱点っていうのはちょっと違うっぽい!!
<ルキ>
『あっちはコトリちゃん!?
お姉ちゃんどう言うこと!?!』
「いつも通り!!
Eシールドを減衰させれば実弾でも通る!!」
背中のミサイルをロックオン、発射!
ミサイルを追いかけながらライフルに切り替えて……
ミサイルが分裂、急加速して着弾、
敵が構わずEシールド出力で受けながらパルマシ乱射してるのを、アサルトブーストでドヒャアと左に回避して、両腕のライフルをぶっ放す!!
3発で……やっぱり抜けた!!
<アンネリーゼ>
『!
そういうことね!!』
<エカテリーナ>
『ならば倒せますわ!!』
ベテラン組二人も気づいたみたいだ。
お互い得意な武器を起動して、相手の攻略法を試す!
答えは言ってるけど、用はEシールド───実体がないエネルギーの膜で防御する、eX-Wにもある防御方法は、その出力を減衰させれば普段の出力の状態では絶対抜けない実体弾も簡単に貫通するんだ。
相手は、その天使みたいな頭の輪っかに翼っぽいブースターユニット付きの本体装甲を、対エネルギー武器に限定して特化している。
Eシールドで実弾を、本体装甲でE武器を。
それが敵の強力な防御の正体。
けど、Eシールドはその特性上爆発とか散弾とかそう言ったシールドへ広範囲のダメージを与える武器、プラズマみたいなEシールドの持ったエネルギーに干渉する武器には大変弱い。
一度減衰したEシールドは、攻撃を喰らわないように避けて出力を回復させる時間がいる。
HEATを使った武器は、Eシールドを爆発で、本体装甲を
だからHEATが有効だし、
HEAT抜きでも、Eシールドは減衰させれば実弾が通る!
「O.W.S.製ライフル、そういえばEシールド貫通性能が高いんだっけ!!」
そう、O.W.S.製ライフルが、中の3Dプリンターで作り出す弾丸はEシールド貫通性能に特化しているのだ!!
コトリちゃんのチョイスは正解だ。
ライフルの弾速なら、硬い上に意外と速い敵の天使型に確実に、今みたいにパルスマシンガンがパルパルこっちにやって来てるから右に左に、たまに円を描いて避けていても、当てられる!
そもそも今のアルゲンタヴィスの全身を構成している『零式信濃フレーム』、中量2脚の中では『射撃安定性』に特化させた方の機体だし、余計に!
射撃安定性が高いと、動きとかマニピュレーターで握った武器の反動なんかの余計なブレを最小限に抑えられる。
だからこそ、FCSによるブレた分の射撃補正を最小にできるから、連射速度が理論値に近づく。
言ってて意味わかんないけど、要するに安定高けりゃめっちゃ連射が早くて火力が高い!
────先に死ぬのは、撃ち合い仕掛けて来た相手の方だ!
天使型1機を、貫通するライフルの雨霰で蜂の巣にして倒せた!
「やっぱりシールドさえなんとかすれば……!」
<アンネリーゼ>
『あら、ならば私の『狩り』の時間って事かしらね!』
ズバン!と爆音と共に、アルゲンタヴィスの後ろ斜め上にいた天使型が、広範囲に渡って鉄球のようなものに大量にぶち当たって動きを止める。
スラッグ!本当は散弾って意味じゃないけどすごい威力とEシールド減衰性能!!
そこにすかさず、通り過ぎざまに左のライフルと右のショットガンを当てて沈めるアンネリーゼさんの赤い4脚機、ブラッドハントレスが見える!
「さすがランク2!」
<エカテリーナ>
『わたくしも負けていられませんわねッ!!』
と、お姫様の赤い4脚スカーレットスタリオンも突撃!
パルスの雨を掻い潜って、私も援護射撃で相手を邪魔するうちに至近距離!
────実はEシールド持ち同士が近づきすぎると、お互いのEシールドをすり抜けちゃうんだよね。
ガキャァン!!
つまり、なんでロボ同士の格闘戦がまだあるかって言うと、コレが理由。
今前脚で蹴り殺したスカーレットスタリオンのように、Eシールド持ちに格闘戦は出来るのなら有効なんだ!見事上半身と下半身がさよならバイバイ!!
<ルキ>
『強い……私何もできないかも』
「何もできなくてもやるの!!
撃破なんてタイミング次第さ!!!
でしょコトリちゃん!?」
<コトリ>
《喋ってないでタイミング作れデカ乳姉妹!!》
言われちゃったので、横でブー垂れる妹分のルキちゃんと共に、パルスプラズママシンガンの雨を掻い潜って攻撃しまーす。
言うだけあって、コトリちゃんの操るハーストイーグルもかなり的確に武器を当てて最小限の減衰でEシールドを抜いて、天使型の機体を撃ち抜いているのが見えた。
元々コトリちゃん含め
コトリちゃん、やっぱ強い。
通りでいつも、私みたいなアホの子のサポートが的確で、辛辣なわけだ。
「このまま勢い乗ってかないと!!
ルキちゃんやるよ!」
<ルキ>
『わかってる!』
私のアルゲンタヴィスと、ルキちゃんのバード・オブ・プレイが一気に敵の塊の方へストライクブーストを起動。
パルスを避けて────食らえ!
ズギャァァァァァァンッッ!!!!
eX-Wの機体を守るEシールドを攻撃に転化、
光の衝撃波、ブラストアーマーだ!!
こっちのEシールドも、相手も展開不可能になるこの数秒間!
アルゲンタヴィスの両腕のライフルをカッコよく別方向に広げて、防御が効かない相手の中央で乱射だ!!
ブラストアーマー有効距離なんてもはや至近距離で乱射でも当てられない方が難しい!
で、反撃できる機体も、後ろにまわっていたバード・オブ・プレイのスナイパーライフルとバトルライフルのどれかに撃ち抜かれる。
流石ルキちゃんシンギュラ・デザインド!
私の考えを読んでくれて良いアシスト!
<ルキ>
『後でアイス奢ってよねおねーちゃん?』
読まれてしまった。
まぁ良いや!
「しっかし、鳴物入りだったけど、敵さん随分情けないんじゃない!?
もう反撃の糸口は掴めてるぜ、天使様!?」
Eシールド減衰、本体装甲を実弾で抜く。
手っ取り早くミサイルでも良い!
HEATロケットなら完璧だ!!
勝てる……って思っても良いよね!?
<ルキ>
『待って!!急いで回避運動して!!』
ルキちゃんがなんか反応したってことは、なんかやばいのが来る!!
言われた通りの動きを全員がした瞬間、
なんとやってきたのは、全方位小型浮遊砲台───
アタッカーサテライトが、いっぱい!?
<???>
『────図に乗るなよ、下等生物ども!』
囲まれた。
瞬間、パルスプラズマじゃない、ハイレーザーのぶっとい光線が、浮かんだ砲台アタッカーサテライトから放たれる。
昔映画ににこういう即死する罠あったよねぇ、なんて思えるってことはパーフェクト回避出来たわけだねぇ……危ねぇ!!信濃フレームは実防寄りレーザーチョイ強程度の装甲なのに!!
<コトリ>
《生きてる!?》
<エカテリーナ>
『返事をする余裕あるならお声を!!』
<アンネリーゼ>
『この私がなんとか回避だなんて……!!』
<ルキ>
『生きてるだけ儲け物ってやつよ!!
信じられない…………コイツ、さっきまで戦ってた天使型に乗ってたネオと違う……!!
違う生き物よ!!』
どう言うことかは知らないけど、私たちの前に現れたのは、
<???>
『シンギュラ・デザインドか。
所詮は、我々の様な進化系である『ネオツー』とは違う、実験生命体止まりだ』
なんだか、女の子っぽい雰囲気の等身低めのやっぱ頭に輪っかがある機体に、
なんか周りに、アタッカーサテライトっぽいのが浮いてくるくる回ってる新型……!
<ヘイロー上級兵>
『我々ヘイローが誇る量産機、ハールートとマールート相手に戦えた以上は、コレを出さざるを得ない。
ザバーニーヤを出させたことを後悔させてやろう!』
「後悔させてやろう?
とっくに後悔してるってー!!?」
そのザバ……なんとかの周りに浮いているヤツから、びっくりするぐらい大量のアタッカーサテライトが放出されてくる。
それがハイレーザーの雨を、さらに放出したやつがこっちに砲口を向けてやっぱレーザーを。
あああーーーーもうめちゃくちゃなんだけどぉぉぉぉぉぉぉッッ!??!!
とにかくレーザー塗れだこの場所がぁ!!
てかまだ残ってたあの天使型までパルスプラズママシンガンをパルパル連射してくるぅぅぅぅぅ!!!?!?!
「ほびゃぁぁぁぁ!?!?!」
<ルキ>
『間抜けな声出すとか余裕ねおねーちゃん!?!』
<コトリ>
《無線できるだけ偉いって褒めて欲しいな。
というかアタッカーサテライトゴリ押しか!!!
機動兵器って何なんだよって小一時間問い詰めたい!!》
「その小一時間どう捻出する!?!」
反撃って言ったってこのもう景色がレーザー塗れだ!!!
回避できるだけ偉い!!自分を褒めちゃうレベル!!
ドヒャドヒャ右左前後ろ動き続けてなきゃ死ぬ!!
<イオ>
《───あのー、こんな時に、アレなんですけどー》
と、このおずおずした感じの無線は!
もう一機の相方AIと、空にいた機体!!
「あ、イオちゃん忘れてた!?
ねぇ何とか何ない!?!上から爆撃とかで」
<イオ>
《あうーん、そんな時に恐縮なんですけどぉ……
強襲揚陸艦の方の、エーネさん方がピンチで……》
あ。
そら、そうか。
─────ここも地獄だけど、やばいじゃん。
***
<エーネ>
『ぐっ……!』
<イグ>
『もうダメだ……勝てるわけがない……!』
敵、火星統一政府軍強襲揚陸艦の上で、アタッカーサテライトに囲まれるエーネ達の乗るeX-W2機、
<ヘイロー上級兵>
『もう足掻くな
薄汚い死の運命を受け入れろ、下等生物』
今、敵の新型『ザバーニーヤ』の前に、ピンチに陥っていた。
***
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