[変更済]MISSION 18 :かつて恐鳥を狩っていた翼
「ヤバッ!?」
───地上を見下ろす、傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんこと私です。
自分の住んでいる街をテロリスト『赤サブレ』から守る依頼のため、壊れたいつもの機体からその場にあったパーツで組んだ新機体『ハーストイーグル』、
ジャンプ力ぅ、すぅんごぉい、高ぁぁい……♪
フロート脚とは違うかんじ。
反重力とかそういう感覚じゃなくて、
「飛んでる……!
飛んでるよコトリちゃん!!」
<コトリ>
《うん飛んでるね。意識まで天狗に攫われたい?
下から攻撃!!アサルトブースト!!》
やべっ!?急いで左に
うぉ!?すごい流される!!
さっきまでいた位置にきた機関砲の線が、出鱈目に撃ったみたいな位置にきちゃった!!
「軽い!!しかも何このエネルギーゲージ!?
減った先から回復してる!!」
ここまでのアサルトブーストだったら、今までティタニスとかだったら回復し切るまで少しだけ時間かかったはず。
コンデンサ満タンになるまで、0.02秒ぐらい!?
<コトリ>
《ペラゴルニスとは違う意味で空が飛べる機体だ!!
今までのどの機体よりエネルギー効率の良いフレームと軽量さで長く早く飛べる!!》
「なるほど、言葉の意味が身体で分かったかも!」
敵ロックオン───え、ロックオンカーソルの色が1次ロック!?
いつもなら、予測射撃可能な2次ロック距離。
交戦距離の短さも今理解したかも!
だったら、と背中のパルスレーザースラッグをぶっ放す。
散らばる無数のパルスレーザーが、爆撃みたいにいつもの逆脚
けど、撃ち漏らしも多い!!
<コトリ>
《まずはそれで良い!!
もっと近づいて上から弾を降らせるんだ!!》
「オッケー!!」
前方にアサルトブースト。
爆発するみたいな推進力で、いつもはこんな距離じゃない場所まで来た。
────2次ロック。近づいて速攻ってずいぶん早いな!?
ズダダダダダダダダダッッ!!
右腕の重アサルトライフルと左腕のガトマシを乱射。
いつもの弾薬費に優しい撃ち方じゃない、殺せたら撃ちっぱなしで次の目標をなぞるように!!
でも、この二つの火力が高い!
すぐにMWが沈む!
このハーストイーグル相手に密集は危険だぞ!?
<コトリ>
《左からロックオン!!》
言われて後ろへアサルトブースト!
見えた赤いロックオンレーザーマーカーの線に沿って、砲弾が飛んでくる。
「カブトムシキャノン!?」
<コトリ>
《だね!
ビルの上多数!レーザーマーカー気をつけて!!》
本体は見えないけどあの赤いレーザーマーカーが無数にこっちに向かって放たれてる!!
「この距離じゃロックオンできないか」
<コトリ>
《ハーストイーグルは今までと違う!
近づけ!ビルを蹴って!!》
今いる位置に、私の乗るコアに赤いレーザーの照準が交差する。
瞬間、後ろのビルを蹴る。
バン、とビルの壁を撃ち抜いた弾丸を尻目に、斜め上、左のビルに跳躍して、そのまま左のビルも蹴って壁伝いに進む。
蹴って、跳んで、蹴って、たまにアサルトブースト。
縦横無尽とはこう言うことって感じ。
軽量逆関節脚機の、ハーストイーグルの動きが分かってきた!
何度目かの狙撃回避、一体のカブトムシキャノンMWのカブトムシのツノみたいな大砲が見える位置にくる。
この距離なら、2次ロック抜きでも!!
<コトリ>
《ミサイルなら届く!》
おっとたしかにコトリちゃんナイス!!
ミサイルロック────速い!?
両肩のハッチが開いて発射されたミサイルは、いっぱい分裂してそのまま散弾みたいな形で向かって行く!
命中!あんないっぱい相手に当たるの!?
「弾薬費大丈夫かな!?」
<コトリ>
《プラズマVTFよりは安いよ!》
あんま使いたくないな、って言おうとしたら!
ズドン!!
「ドワッ!?」
警告音。かなり減る仮定装甲値、同じく減ってるEシールド出力のバーはつまり直撃!!
拾ったコアとはいえ傷ついたかな!?
<コトリ>
《油断しないで!!次のカブトムシキャノンの攻撃は抜ける!!》
「じゃあ倒さないと!どこだ!?」
反動で飛ばされた後ろのビルを蹴って、上空を飛ぶ。
レーダー範囲、いた!!右斜め下!!
<コトリ>
《近づけ!!上は斜角外だ!!》
言われて、即アサルトブースト!
背中のブースターが瞬間生み出す爆発みたいなパワーで相手の真上へ。
ロック距離短め
バババババババババババッ!!
両腕の武器を乱射して蜂の巣。1機落とした!
「次は!?」
────真横から見える赤い線。
レーザー照準と共にキャノンをむけて行く、今同じ高さのビルであるすぐ真横の屋上にいるカブトムシキャノンMW……!
旋回───間に合わないなら!!
ドヒャアッ!!
真横へアサルトブースト。
右肩のアサルトブースト専用のブースターの勢いと、左へ蹴り出した逆関節で!
ガキャァァンッ!!
足りない重さは、運動エネルギーで。
カブトムシみたいな多脚の身体を吹き飛ばす蹴りを叩き込む!!
その脚で、ビルの上を掴んで摩擦で止まるハーストイーグル。
代わりに落ちたカブトムシキャノンが地上へ落ちていって、すぐ爆発の光と煙を見せた。
「次は!?」
ドォン!!
と、次の標的へ向かおうとした瞬間、カブトムシキャノン初め敵が全部別の方向からの攻撃で撃ち抜かれた。
<ルキ>
『先行しすぎじゃない、おねーちゃん?』
カメラ性能だと若干ぼやけるぐらいの位置のビルの上に、スナイパーキャノンをたたむルキちゃんの4脚の姿があった。
「ごめん!つい……この機体も早くてさ!!」
<テレサ>
『ちょいちょいさー!!楽なのはいいし、実際私も最近お仕事ばっかで腕鈍ってるけど、
脚遅い機体もいるんだよー?!』
そして、真下の片側3車線の道路をやってくる、デカい背負い物のテレサ社長の4脚と、ありすちゃんのハピ☆タンのピンクの姿!
「社長もごめんね!
ありすちゃんは本当ごめん!調子乗っちゃった!」
<ありす>
『………………』
…………あれ、お返事なし?怒らせちゃった?
「…………あー、私完全に怒らせちゃったかなありすちゃん?」
<ありす>
『…………ホノカちゃんにすごい嫉妬しちゃった』
へ?
<ありす>
『…………私ね、傭兵始めた頃は、私の家のプロダクション会社の為だけじゃなくってね?
…………テレビのアリーナで見たすっごい動きのカッコいいロボットに、eX-Wに乗りたいって思って始めたの。
…………私に、2脚の才能はなかった』
「ありすちゃん……?」
<ありす>
『……最初はタンクなんて乗りたくなかった。
太くてダサいし、なんかゴツゴツして女の子っぽくなくて。
でも、私にはこれしかなかった。
避けられないから、全部当たる。
動くと当たらないから、動かないで撃つ。
それでも生き残れるように、どんどん無骨なパーツばっかりになる。
華麗にって言葉はない、泥臭くて、地べた這いずり回って、それでも可愛くを演じなきゃいけなかった。
ホノカちゃんが、今すごく羨ましい。
どうして、慣れない機体でそんな可憐に、
あの時見た、あの機体に似たアセンで、
あの時の人以上に戦えるの?
ずるいよ。
それでいて私と同じに、ガチタンでも戦えるんだもん。
ずるいぞ?』
「…………」
…………普段の、明るいありすちゃんじゃない、そんな感じの雰囲気の声。
本音なのはわかった。
わかったけど…………何も、言えない。
何も…………?
いや、違うでしょ。
「…………でも、ガチタン乗って戦ってる時のありすちゃんはカッコいいじゃん。
私、ファンだよ?」
<ありす>
『………………、知ってる!』
と、力強い言葉と一緒に、ハピ☆タンは先に動き出す。
<ありす>
『そんな私にファンがいる。ファンのおかげで、本当にガチタンが好きになったんだ。
だから、私が、ガチタン系アイドル
ここが!この戦場が、私のライブ会場!!
主役は私だ!!
負けないからね、ホノカちゃん!!
私は、最強のガチタン系アイドル!ありすちゃんなんだから!!』
ピンクの装甲の巨体をブーストで進ませて、また現れた雑魚メカMW達を、剛腕で握るマシンキャノンの斉射で破壊して、ぶち当たった残骸を踏み越えて進むハピ☆タン。
堂々とした足取りは、最高に格好いいよ。
「…………勝つ気はないよ。
ただ……ファンとして一番近くで見たくなった!!」
ハピ☆タンの真上のビル達を蹴りながら跳躍して進んで、ガトリングと重アサルトライフルの連射で雑魚達を排除して行く。
<ありす>
『それわたしの!!』
「ごめんね!!」
<テレサ>
『こんな戦場で青春ってわけ!?若いねぇ……
まぁいいけど全員レーダー見て!!
もう『大使館』もすぐそこだけど、随分隠し玉な機体が多い理由気づいてる?』
レーダー?
あれ……何も映ってない……敵こんないるのに。
ん?何、下の数字?
『ECM:5.6』?
あれ、ECNって……??
<コトリ>
《
濃度Lv.5.6とか、そんな装備テロリストが!?》
<ありす>
『なに、それ??』
「ワカンネ」
<テレサ>
『あのねぇ!!ECMなんて張れてもねぇ??
テロリスト風情は2.6か3ぐらいの濃度なの!!
手に入る機材がその程度!!
5.6なんて機材、それも『大使館』周辺とはいえこの広さは、正規軍レベルの装備がないと無理!!
お分かり?』
なるほどー!
<ありす>
『テロリストだけど頑張ってるんだねぇ?』
<テレサ>
『ウソぉーん……!』
え、何その信じられないアホを見たような声??
私そんなアホ???
<ルキ>
『…………それだけじゃない。
相手は……eX-Wを10数機も出して、その『大使館』とかいう建物を包囲している……!』
お!ルキちゃんナイス!!
シンギュラ・デザインドの超感覚テレパシーパワーだ!!!
<テレサ>
『生き残りは!?』
<ルキ>
『人がたくさん。建物の中。
建物の守りに3機だけ
それとは別に、さっきの貴族の人と、あの人の言ってた要人さん、後なんだか変な感じの人、3機で戦ってる!』
「事実上3機で10数機を!?
私でも1対4は死にかけたのに!!」
<ありす>
『自慢乙!じゃあ、天才さん含めてわたしたち早く行かないとね!』
もうすぐビルの森が終わる。
あの砂浜の近く……目的地の『大使館』だ!!
いそげ……今こそ、ストライクブーストを起動!!
「間に合え……!!」
***
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