[変更済]MISSION 16 :劣勢上等!……やっぱキツいです
ただいま、住んでいる街を防衛中な傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんですが、大ピンチです。
ポィィィィィィィィィィィィィィィィ……!!
<コトリ>
《『夕立』来るぞッ!!》
回避が苦手なガチタンな愛機、ティタニスで戦う相手がまさかの
しかも、相手の持ってるぶっとい武器は!
パルスレーザーキャノン『夕立1型』はめっちゃ喰らいたくない火力!
バシュゥゥゥゥゥンッ!!
重い身体を
鉄筋コンクリートが蒸発ってなにさ!?
重量級eX-Wが蹴って登れる鉄筋コンクリートなのに!?!
「あー怖い!
ぽいー、って聞こえる音トラウマになりそう!」
早速響いてくるから、後退しながらビルに隠れる。
後ろのカメラを視界になんとなく写しながら、あー強化済みボディで神経接続操縦にした過去が間違いじゃないなって、100回ぐらい思いながら、相手の方向に視線はずらさず下がるのだ!!
<コトリ>
《アヤナミマテリアル、うっすい装甲の空中戦向けフレームとレザブレ作ってるから勘違いされがちだけど、
看板商品のパルスレーザー武器は、メタクソ火力が高い。
レーザーのEシールド貫通性能そのままに、照射時間の短さの中に威力を押し込めたり、照射時間分浮いたエネルギーで速射性能を高めたり、
低燃費でビュンビュン動ける軽量な機体フレームの、バイタルパートすらとっぱらった防御に割くエネルギーリソースを全て攻撃に振ったみたいな感じするよ》
バシュゥゥゥゥゥ!
一瞬、斜め左の高そうな店が赤くなって穴が空いて蒸発する。
見て分かる殺意ってこの事か。
<パープルスモーク>
『こっちはタンクの癖に頭いた戦い方なワケ?
ムカつく。死ねよマジで?』
まー相手もなんとドストレートな殺意を広域無線に乗っけてくるんでしょうね?
あの紫の重量2脚機……ビルの上から車線確保しようと動いてる。
上を取るその動き!手練れじゃんかよ!
<ルキ>
『まだ生きているなら気をつけてねおねーちゃん!
アイツ、パープルスモークは『解体屋』だの『穴あきチーズ職人』だの言われてる破壊魔よ!!
重2の癖に上とってくるなんて!』
ルキちゃんの解説の合間に、悪評通りまたビルに穴が空いた。ごめんね住人の皆様!
「あの重2、脚とコアが見た事ないね」
<コトリ>
《頭と腕は、レーザー使用と対レーザー用にAI社高級フレームのブリザード……オマケに肩の装備は『アンプ』?おかしい……!
何より、
なんで
「そのなんか聞き覚えない感じの名前、絶対O.W.S.製だ!!」
<コトリ>
《正解。そしておかしいんだ。
君は案外優秀だし結構すぐにランク上がってるから気付いてないカモだけど、
主にランクが上がるごとに、良いパーツ、お高いパーツが買えるって奴。
ほら、マッコイ商店でもジェネレーターは段階的に安い順に売ってたじゃん?》
「そうだったのか……」
<コトリ>
《ブリザードフレームはAI社製品の中でも割と強い傭兵にしか卸さない奴だ。
そして、前提としてO.W.S.は当たり前だけど、登録もされてないやつにパーツなんか売らない。
スティラコことF106“ S.albertensis“は真人間向けの低価格重2って言ったって、O.W.S.の中でも傑作の部類な、決して使えないフレームじゃないし……
何よりあの両肩のアンプ、AI社製両肩補助兵装『AIEA-00 スーパーセル』は、一部の人間にしか試作で売ってない奴だ。
エネルギー兵器の威力とエネルギー消費量の低下を同時に行う『
あのランク1のクオン社長もたまに自機に使ってるんだ。
どっから手に入れたんだよ……
ルキちゃんや、君そこらへんの事情聞いてる?》
<ルキ>
『残念だけど、パーツ知識もそこらへんの事情もコトリちゃんが一番詳しいわ。
……言いたかないけど、タマコ生きてたら知ってたかも』
<パープルスモーク>
『つーか、余裕見せて何?
散々逃げ回って援軍でも待ってんの?
じゃないなら、さっさと死ねよブスどもが!!』
うわ、今度は近かったぞレーザー!!
「美少女なんで死にませーん!!」
背中のガトリング二つは意外と射角がないから、まずはハウザーで迎撃!
<パープルスモーク>
『うぜぇ女!!』
ハウザー弾速速いけど、eX-Wなら重2でも避けられる……けど、ここで機体をちょっと傾けて背中のガトリング斉射!!
ガトリングのが弾速速いから、ハウザーの弾に弾が当たる。
ボォン!!
<パープルスモーク>
『は!?』
ハウザーの爆発は、まぁ直撃じゃないとびっくりで終わるね重量2脚じゃ。
びっくりしている間に、右腕のプラズマキャノンを直撃させる。
<パープルスモーク>
『ガッ……!?』
「抜けてない!?」
<コトリ>
《一部とはいえブリザードフレームにエネルギー武器は悪手だ!
<パープルスモーク>
『ムカつく……味な真似してくれてぇッ!!』
いつのまにかチャージをしていた、あの
避けらんない!
「コトリちゃんごめんよ!」
とっさに、斜線上に投げた右腕部のプラズマキャノン、コトリちゃんお気に入りの、名前はサングリーズル、だっけ?
良い武器だったよ。
私達を、橋の下で拾ったあの時から、最後まで頼りになった。
重くて、手持ちの機体じゃティタニスにしか詰めないわがままな武器だったけど、
その重さ分でパルスレーザーキャノンを、1発防いでくれた……!!
<コトリ>
《サングリーズルゥゥゥゥゥッッッ!?!》
「良い武器だったよ。これしかない」
<コトリ>
《あれ撃ちきらず壊れると帳簿上全損扱いで多分7万cnは修理費取られる奴!!》
「ぐぴゅぁぁぁぁぁ!?!?!?!」
命の代金が高すぎる!!!
でも!!くるしいけどまずは格納スロットから!!
いつものライフル、トールだっけ名前忘れたバトルライフル取り出して……!!
<パープルスモーク>
『また防いだ……!!
クソブスは味な真似しかしないワケ!?』
「うるへー!!全損費用の仇だ!!」
ポイポイ甲高いチャージ音も聞き飽きた!!
ハウザーとライフルでオラオラ撃ちまくりだ!!
<パープルスモーク>
『チッ!!』
けど、口が悪い割に相手の動きはいいな!
空中で、ガトリングも混ぜての射撃が無いようこっちの斜角読んでビルも影にしている。
その間、音響センサーのポイーなチャージ音も大きくなってる……流石に相手はやり手だ。
<ルキ>
『上を取られたらやばいんじゃないの!?
こっちも登らないと!!』
「タンクに上下移動しろって?
無理無理、上下じゃなくても移動速度自体足つきより遅いんだ。
登るまでブースターがどんな出力でも無防備になっちゃうよ」
<ルキ>
『だったら私が!』
ルキちゃん、良い子だけどそれはやめた方が……あー登っちゃったよ!
<コトリ>
《やめろルキちゃん!!そのアセンでビルの上はまずい!!》
<ルキ>
『何がまずいって言うのよ!?』
そりゃねぇ……!
ビルを駆け上がった瞬間、パルスレーザーキャノンがルキちゃんの機体を撃ち抜く。
<ルキ>
『な……速い!?落ちる!!』
「落ちて良い!!
着地だけ気をつけて!!」
幸い片腕落とされた程度。
そのままビルの隙間を4脚で降りてくるルキちゃん。
<パープルスモーク>
『チッ……コア狙ったのに』
<ルキ>
『クソッ……思ったより上昇できない!』
「4脚だよ!?脚2本多いんだ!!
タンクほどじゃないけど重いから、立体機動向いてないんだ!!
だよねコトリちゃん!?」
<コトリ>
《流石に覚えているか、えらいえらい。
冗談はさておき、ルキちゃん君さ?4脚の特性ちゃんと把握している?
ここのおバカなホノカちゃんですら出来てるのに》
<ルキ>
『……!!』
「まぁまぁ、コトリちゃん!
生きてりゃそれでよし!!今はね!!」
またあのチャージ音からの極悪パルスレーザーが飛んでくる。
もう穴空いてないビルのが少ない!
厄介だな……重2の癖に上を取れるなんて!!
<パープルスモーク>
『反省会開ける余裕がうらやましいんだけどぉ〜〜??
チッ……そろそろ死ねよ、マジで!!』
「あーら、イラつかせちゃった?
じゃごめんついでで悪いんだけど、そっちもそろそろ撃墜されてよ、下来るだけで良いからさ!」
<パープルスモーク>
『ッ!?
殺すわ、マジで!!』
ポィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!
チャージされる甲高い音と、徐々に増していく両腕のパルスレーザーキャノンの砲口が見える。
<ルキ>
『…………お姉ちゃんさぁ、
────当然の質問が、ルキちゃんからやってくる。
「だとしたら、過小評価しすぎってだけじゃない?」
<パープルスモーク>
『あぁ!?何訳わかんないことを!?』
<ありす>
『訳が分からないの私のセリフだよ?』
ガギャァァンッ!!
敵重量2脚の背後から、突然ピンク色のタンクが激突!!
そう……
<パープルスモーク>
『ガフッ……な!?』
<ありす>
『みんなのガチタン系アイドルっ☆
ありすちゃんのこと、忘れてるとかありえないぞ!?』
────ガチタンで上まで登るには時間がかかる。
だからこそ、ありすちゃんのハピ☆タンが昇り終わるまで、私たちは分かりやすい的をしていたのだ!!
どうだこの頭脳プレー!もうアホっ子とは言わせない!!
そして空中で激突した2機が、その重量のまま相手にのしかかる体勢で落下開始。
<パープルスモーク>
『クソがァッ!?』
相手の重量2脚ちゃん、速攻でアサルトブーストで逃れる。
けど遅い、私のティタニス全武装射角内だ!!
ブォォォォォォッ!!ドンドンドン!!ズドンズドン!!
背中のガトリング2つ、右腕のライフル、左腕のハウザー、全部ぶつける!!
「穴だらけになっちゃえ!!
<パープルスモーク>
『クソが!!テメェみたいなクソブスに!!』
なんと、相手は避けるんじゃなくて反撃に出た!
自分の機体もボロボロなのに!?
バシュゥゥゥゥゥ!!
パルスレーザーキャノンが、右肩に直撃!!
片方のガトリングが落ちるわ、コックピットのあるコアに穴が開くわで大惨事だ!!
「うわ!!
やっぱバーンズ製だしレーザーダメかー!!」
一瞬右目のカメラが不調出したけど、まぁ強化済みボディなんですぐ直った。
一瞬外の光景見えたけど。
<パープルスモーク>
『はははは!!タダでやられてたまるか!!』
<ルキ>
『けど、アンタ周り見なさすぎよ!!』
<パープルスモーク>
『は─────?』
ガキャァァン、と流石読心できるシンギュラ・デザインドなルキちゃんが、ビルを登って上から相手へ落ちて蹴りを入れる。
<パープルスモーク>
『ガッ!?』
あの敵が地面と激しくキスした、その場所は、なんともちょうど良い『真ん中』だった。
私のティタニスと、ありすちゃんのハピ☆タンの。
<ありす>
『ねー、実は弾がもうあんまりないだーありすちゃんのハピ☆タン?
ホノカちゃん、まだ動ける?』
「この位置……やっちゃうか?』
<ありす>
『やっちゃうかー♪』
<パープルスモーク>
『この……ブスども……何する……!?』
ストライクブースト、同時起動。
せーのっ、
「『ダブルブーストチャージ!!!』」
ガッキャァァァンッッ!!!
2体のタンク脚の
え、相手の断末魔?
ごめん聞こえなかった…………だって一瞬でコアぺちゃんこだもん……
<ありす>
『タイミングバッチリ!』
「良い感じに決まったね」
どしん、とスクラップになった相手の機体が崩れ落ちる中、私たちはイェーイと片腕を上げて、武器と武器でハイタッチ♪
<ありす>
『にしても手ひどくやられちゃったねホノカちゃん?
大丈夫?』
「1日で2機ダメにしちゃった!
あー……この
<ありす>
『出る出る!
じゃあ、ホノカちゃんに譲るよ懸賞金!
お金大事でしょ?』
「助かるぅ!!ありすちゃんのファンになる〜!!」
<ありす>
『だからまだファンじゃなかったのもぉ〜!!』
ははは、ごめーんねっ☆
さて……ひと段落ついたところで!!
「……駅の補給、パーツ運んでもらわないとキツいな……うわ、直視でハピ☆タンの色分かるー」
視界を頭部カメラから私のお目々に戻して、穴あきコアの景色を見る。
<カモメ>
『ホノカさん、聞こえますか?
今、先回りして補給物資と一緒にエデン前駅へいます』
と、そんなタイミングで私の頼れるオペレーター兼運び屋のロボちゃんことカモメちゃんより通信が入る。
「カモメちゃん、こっぴどくやられちゃった。
ティタニスの装甲で防げないタイプの敵でさ」
<カモメ>
『まぁ!
…………その、もしかしたらタイミングが良いかもしれません。
位置情報は把握しております、敵も今はこちらまで回ってこないようですし、一旦合流しましょう。
他の皆さんの弾薬その他補給も来ております』
「おっけー……で、タイミングが良いってどういうこと?」
<カモメ>
『……実は、駅に先客がいまして……あ、通信開きます』
先客が?誰??
<テレサ>
『あー、もしもーし?ちーっす、O.W.S.一応社長のテレサ・オーグリスでーす!みんな覚えてるー?』
この声は……いや名前名乗ってくれて思い出せたわ。
いつぞやの、ギャル社長じゃん。すごいおばあちゃんらしい、ってもうこの火星じゃ結構いるか見た目若い人。
「あ、ギャル社長の人!」
<テレサ>
『そうそう、それそれ。
いやさー、別件でウチの社の持ってる列車でeX-Wパーツ運んでたら、この街襲撃とかシャレにならんくてビビったわー。
でなんだけどさ、実は、ウチの社のその列車、ブラックバルダーっていうんだけどね……
今、先頭車両が……壊れちゃって……』
「あらまー。ご愁傷様です」
<テレサ>
『畜生ー、クソテロリストどもめー!!見つけた生存者の奴らは、O.W.S.の伝統の方法で責任取らせてやる!』
「……コトリちゃん、何するのO.W.S.の伝統って?」
<コトリ>
《え、テロリストの身体は人体実験用ではないの?》
<テレサ>
『実験用に決まってんでしょ、そりゃあねぇ』
ヒェ!?な、なんの実験??
<テレサ>
『そんなことはいいんだけど、生きてるスワンちゃんに相談あるんだ。
もう運べないパーツだからさ、パッケージし直すぐらいなら、買わない?ここで?』
「なるほど……!!」
流石は企業。商売魂がすごい!
「もうこうなったら、修理費プラスパーツ購入代含めて相手の命で稼ぐつもりで、なんか買うか!!」
どのみち、ティタニスはもう穴空いちゃってるし……とほほ、経費がかかるなぁ、傭兵!!
<テレサ>
『まいどー♪
O.W.S.パーツ、いいの揃ってるよ!!
なんせ、色々と試作も含めて輸送中だったし!!』
じゃ、早速駅に向かうか!
***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます