[変更済]MISSION 20 :地球からの贈り物






 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんは初めての遭遇!


 地球からやってきた宇宙船『ギフト2』から出てきた煤けた顔と繋ぎ姿の金髪美人さんが、70年前この火星に色々送ってきて人類を支援していた人物、新美ソラさんなのであった!



 ‪……‬‪……‬確かに、



「‪……‬あれ、何そんなに顔見つめちゃってー?

 やっぱり、美人だし見惚れちゃう??同性でも??

 いやー、これでももう、86年生きてるおばあちゃんなんだけどさー、結構気を遣ってんだよねー」


 うん、年齢がどうあがいても70歳以上に見えないスタイルと肌のハリとかも含めて、


 そう‪……‬こちらの火星人さんに、そっくり。


 おどけるソラさんから目を離して‪……‬そのこちらの火星人さんを見る。


「ん?

 ‪……‬‪……‬え?まって‪……‬まってもしかして‪……‬!」



 マッコイさんは、今にも泣きそうな顔というか、でもすごく嬉しそうな顔で、やっぱり堪えきれずに涙を流しちゃって、


 そして、ソラさんに抱きついた。



「‪……‬‪……‬そ、そっかぁ‪……‬!

 顔合わせるの、初めてだけど‪……‬そっか、だからなんだ‪……‬!」


 ソラさんも、くしゃっと泣きはじめてしまう。


 ‪……‬そりゃ、そうだよね。



「ええ、ええ‪……‬素顔でははじめまして‪……‬!

 私が‪……‬私が新美キツネです。

 昔はゼロワン、通り名はマッコイ。

 でも‪……‬70年前に、あなたがくれた名前が‪……‬!」


「何だって良いや。何だって‪……‬だって多分、『お姉ちゃん』以外に呼ばないもん‪……‬

 ね、おねえちゃん‪……‬!」


「ええ、ソラちゃん‪……‬!」



 ────300年近くぶりらしい。マッコイさんにとってはそれだけ長く会えなかった家族。


 相手も似た様な感じなのか、お互い泣きながら抱きしめあってた。


 そりゃね‪……‬

 いやぁ、あのさ、なんだろう。


 髪の色も目の色も違うのに、泣き方とかそういうのが、すっごい血が繋がってるって分かる。





 ‪……‬‪……‬ようやく、会えたんだね。







「───いや本当、こんな事態じゃなかったら、2時間話し続けたいことだらけだけどさ」


 とりあえず、私たちはあの梯子を登ってギフト2に乗船。

 意外と私たちの乗ってた船みたいな、そこまでおかしいところのない通路を進んでいるのでしたー。


「まぁ、まずはそっちの傭兵スワンちゃんの足直さないとね。

 ちょうど強化人間プラスアルファに詳しいお医者さんがいるんだ」


「それはありがとう!

 でもソラさん、悠長にしてられないかもなんですよ」


「そうなの、ソラちゃん。

 クオンが‪……‬あなたのもう一人の姉様が今は抑えているけど、」


「状況は分かってるよ、傍受しているから」


 トントン指で、自分の頭を叩くソラさん。


「強化済み?」


「あれ、お姉ちゃん言ってないの?

 火星人の脳はいっちゃアレだけど高性能な量子コンピュータな上に、たいていの機械とペアリングできるし無線ぐらいは拾えるよ」


「マジで?」


「マジですけれども、あいにくひっそり暮らしていた時が長いもの。

 そうそう無線を拾って頭の中で響かせる様な処理はしませんから」


「ま、確かにうるさいねー。

 とりあえず、私達もなるはやでこのギフト2ちゃんを修理しておかないと‪……‬あ、ちょっと医務室までの近道で倉庫通るよー」


 と、言ってドアを開けるソラさん。


 進んだら‪……‬なんとまぁ、大量の箱というか、ロープやら何やらで固定された物資がたくさん!


「ここは?」


「こちら細々した武器とか、その他の地球の技術のコーナーとなっておりまーす」


 へー‪……‬ちょっと気になって近くの、箱を見るちゃうー‪……‬ん?



「‪……‬ねぇ、なんかこの中、女の子入ってない?」


 よく見たら、この箱の中に女の子の顔がある。

 なんか見たことあるし、この顔!


「あ、それぇ?それは‪……‬」


《あらまー、LCUじゃん。しかもここ全部か、随分もってきたね》


「えるしーゆー?なにそれヒナちゃん?」


生体コンピュータユニットLife Computer Unit、でLCU。まぁ言ってしまえば、人間の身体を専用ナノマシン漬けにして金属みたいなコンピュータ素材にしちゃった物。

 元から脳みそは生体コンピュータとしては優秀だしね‪……‬まぁ、下手なスパコン裸足で逃げ出す程度にはちょいと過剰性能だけど》


「え、じゃあこれ人間なのかいコトリちゃん?」


 なにそれこわいー!?


《というか、私の生前のクローンだねこれ》


 そして、なんだってぇっ!?


「え!?通りで見たことがある気がした!》


《私も無茶して寿命を縮めたり周りに迷惑かけたしね。

 ま、体も人格も後の世に役立てられればいいって遺書に書いた結果が今だよ》


 はえー、随分死後のが体張ってるんだねぇ‪……‬!!




「まぁ、この生体ユニット自体は、」




「割と倫理的に引っかかっているせいで、使っている地域も地球じゃ少ないでありますがな〜?」




 と、ソラさんを遮って、真上から響く声。


 見上げてびっくり、天井にぶら下がる美人さんがいる!

 しかも背中から蜘蛛みたいに伸びる機械のアームが4本!!

 ユナさんと似たタイプの、強化人間プラスアルファ


「あ、エキドナ先生!」


《やはりその声、我が友エキドナではないか?》


「いかにも私がエキドナでござるー。

 まさか、おチビのトリキチちゃんが現れるとは思っても見なかったでごぜぇますけどー」



 ぶっちゃけすっごいモデルみたいな赤毛の美人さんから出てくると思えない変な口調で、そのエキドナという強化人間は床にスタッと降りてくる。


「えっと、傭兵ちゃんや。この人がこの船のお医者さん。腕は良いよ。数も多いし」


「なるほど‪……‬!」


「それはそうとソラちゃん船長、大変な自体なのでありますよ。

 宇宙人が、船の中に侵入しているのでござる!」



 え、宇宙人が??







 てなわけで、医務室。


「宇宙人ですって?

 私たちレプリケイターからしたら、地球出身のあなた方が宇宙人ですが??」


 青肌で、一部金属っぽい体表、黒い白目に金色の瞳の目が3つ、腕は背中から生えてる二つも含めて4つ‪……‬


 どう見ても宇宙人です。


 そんな火星の隣人レプリケイター、というかめっちゃ見たことあるク・レリックさんやんけ。



「はー??そういう理屈は聞いてませんけどぉー??

 てかこの宇宙船は今事実上地球のルールで動いてますので、つまりは事実上地球ですー。

 つまりあなたが宇宙人ってことですー」



 で、なんだか生意気そうな美少女ちゃんがそんな事を言っている。

 そしてソラさんに頬をつねられるのであった。


「コラコラ!口が悪いぞフォルナちゃん!」


「いででで!?ちょ、なにしやがるんですかこの姉を名乗る不審者は!!」


「は?おねーちゃんですがー??血液検査でもはっきり血縁ありますが??」


「70年前正体知らなかった頃はそんなアホなこと言わなかったくせに、この年下のおねーさまは!!」


「まさか、この子がゼロファイブ?」


「あ、そうだよお姉ちゃん。こっちがフォルナ。新美フォルナ」


「フォルナ・ミグラントですが??

 勝手に苗字変えないで欲しいのですが??」


「アレはスワン名扱いでしょー?

 ごめんねキツネお姉ちゃん、この子私より運悪く先に地球に降りたらしくって、最悪な環境でグレちゃったんだよ。

 おまけにまだ背がひ」




「私は背が低くないって言ってんでしょうがぁーッ!!

 肉体年齢的には適正!!154あるでしょうがこの170越えのモデル体型がぁ────ッ!!」




 うわー!?この人背が低いって言われる前に反応したー!?


 そしてよく見たら、ウチのコトリちゃんゲラゲラ笑っておられる。


《くくく‪……‬あのフォルナ・ミグラントの本来の姿はいつ見ても笑える‪……‬!》


「ゲ!?よりにもよって‪……‬あなたまで登場とか嫌なこと思い出すばかりなんですが??」


《は?私の先輩殺したお前見ている私の方が嫌なんだけど??

 まだ許してないんだけど、おチビ》


「フン!本物の方が、私より小さかったくせに!!」


「コトリちゃんの知り合い?」


《死んでも許してない相手だよ。

 このフォルナ・ミグラントは年齢不詳の傭兵として、そして企業に属さない独立傭兵達を束ねてボランタリーチェーンを作ったやり手ではあるよ。


 で、生前の私の先輩を殺したいけすかないクソ女で、そこのソラちゃんみたいな遠隔操作出来るモデル体型の背が高いアバターで活動していたチビちゃん》


「生前のあなたと対して変わりませんが〜〜????

 だーれがチビちゃんかこのクソAI!!」


《ぐえー!昔より小さいせいか沸点低いー!?》


 あー、困りますー!コトリちゃんそんなゆすったら壊れますー!!?

 コトリちゃんも煽らないで!


「はいはい!そこまでね、そこまでねー!!

 てかこの見た感じ宇宙人の方誰さまよ?」


「この人、ク・レリックさん。見た目はあれだけど、火星の別の生態系の知的生命体の良い人だよ」


「あ、どうも初めまして‪……‬」


「火星も火星で魔境なんだな色々とぉ‪!

 あ、ご丁寧にどうも、新美ソラと申しますー。

 妹がお騒がせをー」


「チッ!」


「‪まぁ、敵でないなら良いでしょ、宇宙人ぐらい」


「宇宙人はそっちですが〜」


「じゃあみんな宇宙人ということで、とりあえずそこの傭兵スワンちゃんの治療はじめまするー」



 おっと、そうだそうだ!

 そっちが重要!







 ───てなわけで、私はカプセルに入れられて早速あられもない姿に!


 というか、脳と脊髄と乳腺のあたりと女の子の臓器周辺だけってかなり猟奇的じゃ無い!?



『お目々取られちゃったけどカメラに繋げられるから見えるんだよな‪……‬』


「おぉう‪……‬なんと、なんというか‪……‬すごい光景!!」


「宇宙人っぽいのに倫理観が我々よりしっかりしておられる」


《なんというか、今この場は人間を考えてしまうね‪……‬》


 それなー、多腕のお医者様とコトリちゃん。


「まぁ、人間と言える存在は、この場少ないけどね。

 火星人3、レプリなんとかさん1、|強化人間《プラスアルファ2、AIが一機」


 考えても見たらまともな人間がいなーい!



「‪……‬にしても、我々も我々の大陸の生物を兵器に転用しますが、これはそれ以上ですね‪……‬!

 肝心な部分以外は、機械‪……‬とにかく、衝撃的な‪……‬!良くウダウダ倫理だの言われないな‪……‬私もちょっと怖いです」


「まぁ、この方が何かと便利なもんでー。

 じゃ、早速手術を始めまするー」


 と、カメラを切り変えたら、あられも無い私にアームとパーツが伸びて、色々付け加え始める。


『やめろー、悪の組織ー!ぶっとばすぞー!』


《ホノカちゃん、ノリノリかよ》


「ふっふっふ!お前は今日より、強化人間Lv.5となり!我が世界征服を企んでそうなちゃんとした組織、オーグリス機関のために働くのだ!」


《エキドナもノリノリか》


 まさに、顔を隠すバイク乗りヒーローのテンプレ!

 でもまって?


強化人間プラスアルファLv.レベル5?』


「その通り。

 つい数年前出来上がった物でござるよ。

 ヒナちゃんも、君も気にいる優れもの!」


 言っている間に、爆速で私の身体が出来上がる!

 最後にお目々をはめて‪……‬はい元の視界に!


 カプセルの中の液体が引いて、私は一瞬でレーザーで乾燥させられて、カプセルが開く。


 大体いつもの、背中に神経接続端子があったりする傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんアゲイン!!


「‪……‬前と特に変わらない?」


「見た目を変えてもあれですし?

 まぁ、ちょっと痛いけど、試してみましょ」


 サク、と唐突に肩にナイフが突き刺さる。


「え!?痛い!!」


 当然プシュウって白い人工血液出るよね!?

 そしてナイフが引き抜かれたら余計白い血がそこらじゅうに!!


「一体何してるんですかあなたぁ!?」


「なんで治して刺すんです‪……‬って、え?」


 慌てて肩を押さえたら、肩が‪……‬銀色のカサブタができると思ったら、ピキピキ音がして‪……‬傷が塞がった!?

 いや痛いけど‪……‬痛いのはすぐ治った。


《治った‪……‬これって!》


「そそ、火星人マージアンさんと同じでありんす〜♪」


 ザシュ、とそのナイフが今度はソラさんの胸の辺りに刺さる。


「痛てぇぇぇ!?!?

 ちょ、何してんのぉ!?!」


 当然赤い血ブシャー!スプラッター!!


 と思ったら‪……‬痛がるソラさんの押さえた胸の傷に、吹き出た血がなんかアメーバみたいに動いて戻って行って、全部戻って傷が塞がった。


「と、この通りとうとう火星人さんの体内のナノマシンの機能の一部を再現できたのでござるよ!

 強化人間Lv.5は。これまでの通りの戦闘性能と頑丈さだけでなく、再生能力も新たに付与!

 まさに最高傑作!!」


「だからってもうちょっと、性能試験の方法ない??」


「そうだよエキドナ先生よぉ!?

 死ななくても痛いものは痛いんだよ!?!」


「ちょっとぉ!!ワタクシの妹に何してくれてやがりますのヤブ医者ぁ!??」


「‪……‬戦場で見慣れててよかった‪……‬結構夢に出そうな‪……‬」


「あなたも大変ですねぇ?」


《はいはい、落ち着け落ち着け。

 エキドナ、謝ろうね。

 ホノカちゃんは着替えて》


「いやー、ごめーんねっ?」


 畜生、この美人のお医者様先生ヘラヘラしちゃって!!

 覚えとけよー!!コトリちゃんが諌めなかったら、私何するかわかんないよ!!


 ドォン!


 と、インナーをき始めたところで、外からいよいよというか攻撃の音が近くなる。


「すぐそこで着弾か。もう一人の私のお姉ちゃん、無事かな?」


「‪……‬逆にいえば、ここまでよくクオンは耐えてくれましたわね」


「イオちゃんいるけど、4体相手だもんな‪……‬!」


 無事かな、クオンさん!

 イオちゃん、壊れてないかな‪……‬!?





           ***






<クオン>

『────勝ちは、勝ちだろう?』



 ズドン、と倒れる白い機体ホワイトゴーストと、膝をつく片腕のない白と青の機体フォックスファイア


<ジェーン・ドゥ>

『‪……‬ランク、1は‪……‬伊達じゃない、か』


 フォックスファイアの下のホワイトスペクターの残骸から、声が漏れる。



<イオ>

《うぅ‪……‬機体は‪……‬でも‪……‬!》


 下半身の飛行機に似たフロート脚の翼が左側が完全に折れ、右腕も完全に失ったペラゴルニス。



<ウィル・オ・ウィスプ>

『畜生が‪……‬!』


<フランシィ>

『うぅ‪……‬痛いの嫌なのにぃ‪……‬!!』


 コアの上半分が吹き飛んだ重量2脚フリッケライモンスターと、前足と両腕を失っている4脚狙撃機ジャック・オー・ランタン



<エリザ・B>

『どうしてもこう‪……‬悔しいものがありますね‪……‬』


 片腕以外コアについていない中量2脚カーミラ



 それは、戦闘の激しさがひと目見て分かるような有様だった。


 大地は焼け焦げ、あちこちに穴が開いて、草花が燃えている。



<ジェーン・ドゥ>

『だからこそ────備えていてよかったよ』



 ズシン、と上空から落ちる4つの影。

 それは、新たなハロウィンスコードロンの機体達だった。



<ジェーン・ドゥ>

『これで補給も含めて最後の機体だ。

 勝負には負けたが、戦争には勝たせてもらう』



<クオン>

『‪……‬‪……‬フッ、クククク‪……‬!』


 ジェーンの言葉に、クオンは静かに笑い出す。

 それはそれは、楽しそうに。


<ウィル・オ・ウィスプ>

『何‪……‬笑ってんだよ、オイ‪……‬!?』



<クオン>

『私の役目はとっくに終わっている。

 そこのエリザ・Bが気づいたわけではなかった時点で、私は目的を達成している』


<エリザ・B>

『何ですって‪……‬!?』



<クオン>

『ランク1。私はその称号の役割を果たしていたが、案外気にっていた‪……‬お前たち程度に負けてくれてやる気も無い‪……‬


 そして、私はそんな感情でお前たちと戦っていただけだ。

 個人的な理由で。


 大鳥ホノカさえ、あの船に乗せればそれでいい』



 一瞬、何をと疑問が頭を支配し、

 そして、納得をするハロウィンスコードロンの面々。



<クオン>

『ここで死ぬようなら、見込み違いで我々に明日はない。

 だが、きっとヤツなら、

 ギフト2の中身を使いこなせるさ‪……‬』



 クオンの笑いが、無線に響く。



<クオン>

『博士!

 ハロウィンスコードロンを通して見ているか!?

 あなたが否定したもの、イレギュラー。

 その力、私も測りかねているその力が、もうすぐ見れるぞ!!

 はははははは!!勝つのは、我々だ!!』




          ***



 ───相変わらず胸元以外もキツいパイロットスーツを着終わる。


「よし‪……‬ソラさん!

 eX-W、運んできてない?この船!」


 早速、この傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんは、この船の船長でもあるソラさんに聞きたかったことを聞く。


「は?大半がバラして持ってきたものばかりですが?

 組み上げるにも時間かかりますよ、この船の装備じゃ」


「フォルナちゃーん、あるでしょ一個。

 全力でやれば、すぐに出せる機体」


 と、例のちびこい人の嫌な言葉に、ソラさん大変嬉しい反論を言ってくれる。



「来なよ、傭兵スワン

 あんたにおあつらえむきの機体が待ってる!」


 そんなこと言われたら、

 いくしか無いじゃん!?



          ***

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