[変更済]MISSION 16 :第三勢力とか聞いてない!







 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんは大ピンチ!




「どわぁぁぁ!?!」


「人にまで撃ってくるのぉ!?!」


「無差別レーザーはマズイよぉ!!」




 さっきまで戦っていた敵レプリケイター国家の皇帝さんも、傭兵系アイドルも関係なく、


 突然無差別レーザー攻撃を仕掛けてくる巨大な移動要塞が現れたのでした?!



「あ!!我が軍の塹壕があるぞ!!」


「ないよりマシだし飛び込もう!!」


「異議なし!!」


 とりあえず3人でそこに入り込む。

 思ったより深くて、ついでに黄色いレプリケイターさん方の血と、異形の両性具有らしいけど見た目だけは美人なみなさんの死体たちもある穴だ。


 まぁ、今は正直一息つければここも実家みたいな安心感あるよ。


 上ではレーザーの音響きまくってるけど。



「ぜー、はー‪……‬!!

 おぉう、我が軍の勇姿たちよ‪……‬!

 お前たちの墓標、すまんが休憩に使うぞ‪……‬!」


「ふぅ‪……‬ウッ、やっぱ強化済みでもこれから動けるか微妙ー‪……‬」


 隣で、皇帝さんが4つの腕を器用に合わせて‪……‬ここも死者の弔いはそれなんだって感じで祈る中、隣でありすちゃんは流石に前の戦闘のダメージあるからか地面に横になる。強化済みでもキツイだろうねアレは。



 となると動ける私は、まずは無線かな。




『───ホノカさん!

 聞こえますか!?無事ですか!?』


「あ、カモメちゃんか!!

 私は無事!!それとかティタニスは!?」


『よかった!

 すみませんがコトリさんがすぐ無線と『PLシステム起動コード』を寄越せと!!』



「オイ、急に一人でどうした!?」


「私たち頭の中に無線通信機あるの。邪魔しない!」


「便利だな!?ならば今すぐ仲間を呼ばんとマズイぞ!!」



「オッケー、仲間もそうして欲しいって!!

 コトリちゃん!!」




          ***



《ようやくか。こっちはこっちで、最低限の動きしかできなくてどうするか迷ってたよ。


 さて、ついでだけど、私の枷を外してくれない?

 結構やばい》



 バシュゥゥゥゥゥ!


 すぐ近くでレーザー砲が着弾、次は当たる距離で地面に落ちる。


 それでも、本来の乗り手のいないティタニスは動けない。

 ある言葉を言わなければ。


<ホノカ>

『オッケー!

 AIリミッター、レベル5解除。

 コード:46497

 ファンタズマレギオン、コントロールユーハブ!』




 ホノカの言葉の瞬間、コトリの今まで使えなかった機能のロックが解除。

 コトリの操作権限が数段階上がる。



《PL-1 オペレーションを開始。

 悪いんだけど、助けに行けない代わりにアイツを倒すよ!》



 コトリの意志を乗せて、ティタニスの脚部の履帯キャタピラが唸りを上げる。



 ギュララララララララ!


 大地を突き進むティタニスのすぐ横を、無数のレーザーがかすめて地面を抉る。


《大型多連装レーザー砲台か。

 これまた、防ぎにくい兵器を持ってくるもんだなぁ》


 無数のレーザーが直撃コースに放たれた。

 しかし、砲台の映像から予測発射タイミングを割り出していたコトリは、ティタニスを真横へアサルトブーストさせて難なく回避する。



《タンク脚は趣味じゃないけど、まぁ扱い方は心得てるからね。

 そんな図体だけでかいノロマな移動要塞なら、充分戦える》


 遠く見える移動要塞へ向かい、まずは射程距離まで近づくコトリだった。



           ***


「勝手に動いているぞ!?

 いや勝手に戦っている!!」


「ウェザーリポーターかー!

 スワンが要らなくなるようなもの積んでて、微妙な気持ちにならない?」


「無人機があっても稼ぐのは私だしね。

 何より、色々便利なもの使わないのはないでしょ?」



 にしても、いつもの鬼畜難易度のシミュレーターの中でしか戦った事ないけど、コトリちゃん良い動き!

 流石は、右も左も分からない初心者傭兵の頃からお世話になってただけはある!!


「‪……‬だけど、なんか、相手もちょっと不気味な感じだし‪……‬念には念を、こっちも秘密兵器を‪……‬ってね」


「「??」」


 さて、ひょっこり顔だけ塹壕から出して見れば、

 コトリちゃんは今は順調に、射程距離に近づこうとしてるけど‪……‬


 無線をまずカモメちゃんへ繋ぐ。


「カモメちゃん!

 例の子のセッティングは出来てるっけ?」


『はい。いつでも呼び出せます』


「じゃあ、今すぐ呼んで。

 念のために‪……‬え?」



 ───コトリちゃんがあの移動要塞に近づいた時、

 念のため、の事態が起きてしまった。



「な‪……‬!」



 なんと、移動要塞のレーザー砲台が、




「「砲台が分離したぁ!?!」」



 と、隣でいつのまにか顔出してた二人のいう通りに!!


 砲台が分離して、空を飛んだ!!!




          ***



《分離飛行!?

 斜角の確保方法をそれで!??》


 コトリが自らが操るティタニスを近づけたのは、敵レーザー砲台の当たる射撃可能な角度より下にいくためだった。

 用はその巨大な移動要塞の身体自体を盾にするつもりだった。


 しかしまさか、そんな方法で弱点をカバーするとは思わなかった。


 だが、驚きはもう一つ起こった。



 ドヒャアッ!!



 聞き慣れた音と共に、砲台が真横へ向かってブーストを噴射した。



 その動きは、eX-Wならば当然できる動き。



《アサルトブースト!?バカな‪……‬じゃあアレはただの分離飛行じゃない!?》



 4つの砲台が、いつのまにかティタニスを包囲するよう動き、くるりと下を向いてレーザーを放つ。


《クソッ!

 あんなもの浮かべて喜ぶのか、変態どもめ!!》


 ティタニスもアサルトブーストで回避。

 しかし予測射撃がくる。


《チッ‪……‬!

 ネオのやつほどじゃないけどAI予測型の自立型オールレンジ兵器アタッカーサテライト

 面妖で面倒なやつをよくもさぁ!?》


 悪態混じりにコトリはストライクブーストを起動してティタニスを一気に移動要塞本体へ近づけさせる。

 どうせ本体を殺したところで止まらないなら、楽な方を片付けるべし。


 セオリー通り。ただし、


 それは悪手だと、移動要塞本体が変形を始めて教えてきた。



《はァ!?》



 地面を走っていたキャタピラたちが、一斉に細長い脚として地面に突き刺さる。

 4本の脚で持ち上がった本体から、折り畳まれた巨大なマニピュレーター‪……‬‪……‬いや、『ハサミ』が伸び、


 その中央から顔が、ギョロギョロ回る黒い目玉のようなセンサーユニットが伸びるように露出する。



《‪……‬‪……‬》



 巨大なカニ、としか言えない姿へ変えた移動要塞に、流石のコトリも何を言えばいいかわからない程驚き絶句。


 カニ型移動要塞は、そのハサミにレーザーの光をほとばしらせ、ティタニスの到着に合わせてそのハサミを薙ぎ払った。



《コイツ‪……‬ッ!?》



 とっさにアサルトブーストで左に回避。

 した場所を狙って空中の砲台がレーザーを照射。


 コトリは、タンクのセオリー破りの多段アサルトブーストで回避する。


《エネルギー残り30%!

 クソッ、ウゼェ攻げな、は!?》



 瞬間、AIの身で何をと内心思いつつ、不明データと過去の戦闘記録を統合した結果の予測、


 つまりは『勘』で短距離のストライクブースト回避をしたコトリ。


 コトリの操るティタニスのカメラの先で、驚くべきことにあの移動要塞がまるで車輪のように横向きに回転して地面をハサミのレーザー刃で抉りながら側転運動で進んでいるのが見えた。




《曲芸かよ!

 移動要塞で側転やるとか!?》




 しかし、この曲芸を避けた先であのレーザー砲台が浮遊しながらこちらを攻撃してくる。


 見た目の狂気と裏腹に、恐ろしいまでに有効な攻撃だった。



          ***


 そんな訳で、突然変形してカニになった要塞がローリングし出したのであった。


 何言ってるか心で理解するより前に、大回転するレーザーの刃が地面を抉ってこっちに来たのだ。



「避けてぇぇッ!!!」


「「にょわぁぁぁ!?!?」」


 そりゃ変な声出るって!!!

 変形してカニになるだけでも驚きなのに何その攻撃!?


 一瞬左右に避けた私たちの間を、スパンとレーザーの刃が通り過ぎる。


 慌てて向こう側のありすちゃん見たけど、無事だったのかすっごい安堵した顔でセーフってポーズしてた。

 私もしたわ‪……‬


「オイ、誰か説明しろ!?

 なんなのだアレは!?」


「私が知りたいよ皇帝さん!

 あの『ヘンなカニロボ』なんだよって!!」


「分からないけど、あの『ヘンなカニロボ』強いよ!!

 悔しいけどガチタンじゃ不利だ!!レーザーはまずい!!」


「それ以上にあの浮いている砲台だ!!

 あんな四方八方から撃たれてはいずれ回避も追いつかなくなるぞ!!」


「アレほどのガチタンなら余計に回避が不利だよ!!

 一瞬で削られちゃう!!」


 皇帝さんもありすちゃんも、まぁそりゃそうって言う言葉しか出てこないよね!

 私もそう思う!!


「‪……‬‪……‬カモメちゃん聞こえる!?

 『秘密兵器』はまだ!?」


 とりあえず、コトリちゃん必死の頑張りの間に、こっちも手を撃たないと!



『───お待たせしました!

 今そちらに着陸します!!』


 よし、と私は塹壕とかいうこの穴の中から出る!


「何する気だ!」


「───いい援軍が来たみたい!」


 ごぉ、と言う音と一緒に、待ち望んだ『秘密兵器』が真上に影を落とす!




「アレは‪……‬鳥か!?」


「飛行機!?」


「違うね‪……‬」



 ────隣に着陸する、鳥にも飛行機にも見える翼を持つ脚部。

 戦闘機に生えた上半身は、両腕が大砲。


 ここまで言えば分かるでしょ?


 もう一つの私のeX-Wエクスダブル




 武器腕フロートの「ペラゴルニス」だ!!




「それは!?

 報告にあったあのハル・ヴェスタルを落としていった飛行機械!!」


「フロート‪……‬!

 改めて見ると結構ゲテモノー‪……‬っていうか、勝手に飛んできたってことはまさか!」


「そう。実は念の為、もう一機の可愛いウェザーリポーター買ってたのさ!」



 てなわけで、名残惜しいけど即座にペラゴルニスのコアに乗り込む。



<機体AI音声>

《おはようございます!

 メインシステム、戦闘モード起動しますよ!》



 ────新しいウェザーリポーターちゃんは、本当はコトリちゃんと同型で良くね?と言ったんだけど、


《頭では別人って分かってるし、データリンクしてるからある意味私と同じってところもあって、

 なんかこう‪……‬個人的にすっごい混乱する!!》


 とのことで、じゃあオススメで良いよと買った子なのでした。


「じゃあ頼むよ、秘密兵器ちゃん!

 コトリちゃん壊れるの見たくはないから!」


<機体AI>

《もちろんです!!まさかで驚きましたけど、あの『コトリちゃん』は壊させません!!絶対に!!》


 見ての通りすっごい丁寧で素直でちょいかしましい子であった。


「自信たっぷりだね。フロートだけど操れる?」


<機体AI音声>

《え?あ、いや、そんな自信たっぷりって訳じゃないんですけどぉ‪……‬でも、私こと『タイプ10』はその、空中戦・高機動機体対応型でぇ‪……‬そのぉ、まぁまぁ使いやすい機体なだけですぅ、フロートはぁ‪……‬へへへ》


 なんか急にモジモジし始めたな‪……‬恥ずかしがってるの?


「まぁいっか。コトリちゃんのおすすめだし。

 あっ、そうだ!

 ‬じゃ、君のことはタイプ10だし、1と0から『イオ』ちゃんとでも呼ぼうか」



<機体AI音声>

《ふぁっ!?!》



「ん?どうしたん?

 イオちゃん嫌だった?」



<機体AI音声>

《‪……‬‪……‬えぇ‪……‬これマジ‪……‬?》



<機体AI音声>

  ↓

<イオ>

《はい、ではそれで大丈夫でーす‪……‬あうーん‪……‬マジですかぁ‪……‬》


 何々?なんかあるの?

 って、おっとそんなことしてる場合じゃないか。



「じゃあ、流石におふざけはここまでで!」


<イオ>

《あわ!たしかに!!

 今行きますよヒナちゃん!!》



 そんな訳で、新しい相方のイオちゃんとペラゴルニス発進!!


 待ってろコトリちゃん!

 今助ける!!



           ***

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