[変更済]MISSION 15 :ガチタンVS巨大怪獣兵器!!











 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんピンチ!!


 怪獣みたいな兵器に乗り込んだ敵さんがやってきた!!







<コトリ>

《高エネルギー反応だ!!

 死ぬ気で避けろ!!タンクに荷電粒子砲はマズイ!!》



 発光する背鰭の光が強くなる。


 大きく息を吸うように、ティラノサウルスみたいな頭を上げて、

 お口の中の光をドバーッと放ってきた!!



「見て分かるマズイやつじゃん!!!」




 バシュゥゥゥゥゥ‪……‬ッッ!!!



 コトリちゃんの言うことはいつも正しい。

 ガチタンアセンのeX-W、ティタニスの為にアヤナミマテリアル製の両肩のアサルトブースターを交換していたのだ!!

 そのパワーで、瞬時に真横へ避けてなんとか完全回避を達成した!!



<コトリ>

《マズイに決まってる!!

 アレは、あの生物はeX-Wのジェネレーターと同じ器官が体内にある!

 私達の使うジェネレーターが、発電と同時に放出する超重元素『Sp133』はeX-Wのブースターにも使われる荷電粒子の元なんだよ!!


 ティタニスクラスの重さを動かせるエネルギーをもつそんな物を攻撃に変換したら!》



「こうもなるか!?」


 地面に見える抉れた土と、ガラスに変わったり焼け付く跡。



 あーもう、アホな私でも分かる‪……‬!


 この威力!!





「ふはははは!!!

 これが!!帝国の湖に潜んでいた死を呼ぶ魔竜の正体だ!!

 我らが飼い慣らし!!全身を兵器化した!!!



 本来は相鉄王国の首都攻略のための兵器だが、

 貴様らのために出し惜しみせずに出してきたのだ!!



 おかげでだいぶじゃじゃ馬だがな!!

 オイ、バカ!!オレを振り落とすのは後にしろ!!」





 クッソ声のでかいあの敵さん、テシテシ首の後ろを叩かれてだいぶ嫌がられているみたいだった。


 漫才かな?余裕あるねぇ!!

 羨ましい!!強者の余裕だ!



「でもその隙にプラズマキャノンだ!!」


 カァオッ!!


 サングリーズルでその顔吹き飛ばしてやる!!

 光るプラズマが、ティラノサウルスみたいな顔に着弾する瞬間、

 ブゥン、と光った相手の爪が、プラズマの塊を叩き切った!?


「え!?」


 流石の私もビビるよそれは!?




           ***



「フン‪……‬守った訳では無いだろうが、この程度出来るか。

 褒めてやる。貴様の強さをな」


 首の上のゼノバシアの言葉を理解しているのか、一瞬分厚い装甲の下、視界を確保するスリットの中の3つ並んだ目がゼノバシアの方を見る。



「死装魔竜。お前もあの敵が見えるだろう?

 オレはただお前の首の上に乗ってるだけだ、言うことは聞かなくてもまぁいい。

 だがアイツは攻撃したぞ?意味は分かるな?」


 不遜に腕を組み、首の座席にどかっと座るゼノバシアの言葉。

 理解した訳ではないが、死装魔竜は敵を見る。


 そして、

 唐突に、飛びかかった。




           ***



「早い!!」


 大鳥ホノカちゃん大ピンチ!!


 思った以上にすごい脚力で、ジャンプして大きな腕の爪片方二つを振り上げてくる!!


 横に避け────いや!



 私は、ティタニスを『前』へ爆発的に加速アサルトブーストさせた。



 ぶつかれ!!爪を振り下ろすより早く!!


 ティタニスの質量、地味に緋那ちゃんオススメO.W.S.製品のブースターの一瞬の最大推力で、


 ぶち込む!!



突撃ブーストチャージだ!!」



 ズガァンッ!!



 その胴体にティタニスのタンク脚をクリーンヒット!

 相手の怪獣じみた体を吹き飛ばして、地面に叩きつける。



<コトリ>

《上手い!!でも追撃速く!!》


「オッケー!!」


 横たわる身体に、カオカオとひたすらにプラズマキャノンと、バンバン容赦なくバトルライフルをぶち込む!!


 グギャァァァッ!!!


 苦悶の声はするけど、案外プラズマは爪で防ぐし、バトルライフルの75mmの砲弾を装甲化してある身体はキンキン弾く!!


 硬い‪……‬!!しかも、何が食らうとマズイのか理解している!!

 でも、プラズマをあの爪以外にぶち当てられれば多分!!


<コトリ>

《高エネルギー反応!!》


 パパン、と相手の背中が光った次の瞬間、短い荷電粒子を吐き出す怪獣くん!


 直撃はマズイ!!

 アサルトブーストで回避だ!!



「なんてやつだ!!

 ティタニスの火力でも削りきれない!!」


<コトリ>

《スナキャ捨てない方が良かったかも!!

 レイシュトローム製とはいえこのバトルライフルは強い方なのにさ!》





「ふはははは!!

 お前の驚きが、声ではなく動作で伝わってくるぞ!!

 コイツは見ての通りじゃじゃ馬だがな!?!

 貴様らの兵器相手でも十二分に戦える!!」




 こっちにまで響く大声よく出せるなあの人!!

 あの怪獣の背中の上で、ちょっとマントみたいなのが黒焦げに偉そうな人が勝ち誇ったみたいにいうんだもん。



「‪……‬コトリちゃん、ティタニスに拡声器ってあったっけ?」


<コトリ>

《あるよ》


「一発撃ったら起動よろしく!」



 カァオッ!!


 ティタニス右腕のプラズマキャノンを叩き込んで、一回息を吸う。




『オイ!!そこの人!!』



 キィン、と響く音割れの音に、相手が耳を防ぐのが見える。



「なんだ貴様!?!

 声がでかいぞ!?!」



『それあんたがいう訳!?

 まぁ良いけどさー!!随分調子良さそうだよねぇ、良い兵器持ち出してくれちゃって!!』



「何ぃ!?

 はっはっはっは!!褒められるとは恐悦至極!!

 貴様も強いが、オレは勝つ!!」




『じゃあ、私は負けてあげても良いや!!

 代わりに後ろの先輩が倒してくれるから』




「何!?

 グワァァァァァァァ!?!?」




 ズドォォンッッッ!!!




 ────怪獣の土手っ腹へ死角からの攻撃。

 頼れるアイドル、そして傭兵スワンランク5のありすちゃん、その愛機のハピ☆タンのグレネードが直撃だ!!



<ありす>

『削られた分は削り返しちゃう。

 だって、私ぃ、借りはキッチリ返すタイプだもん♪』


 拡声器で同じく相手へありすちゃん本人の声を届けながら、ギュラギュラと履帯を慣らして近づくハピ☆タン。




<ありす>

『何より────削られっぱなしが許せるほど負けてヘラヘラ出来ないからッ!!』




 その背中の大口径グレネードキャノンがもう一発炸裂!!装甲に焼け焦げができてる!!


 おっと、防ぐ気!?

 こっちも火力はある!!


 カァオッ!!


 初めて、直撃したプラズマ弾が装甲を融かす。




 グワァァァァァァァ‪……‬ッ!?!



<コトリ>

『効いてる!!』


<ありす>

『ナイス!私の番‪……‬ガチタン系アイドル名乗るからには!!

 先に削れるのはそっちなんだから!!』


 ハピ☆タンのグレネード!とかした装甲のところに直撃させた!!

 やるねぇ、ありすちゃん!まさに傭兵アイドルの中の傭兵アイドルだ!!


 負けてられない!!こっちも撃ちまくるぞ!!


 カァオッ!!



「どうした死装魔竜!!

 このまま死ぬのがお前の最後かッ!!」



 首の後ろ、爆発の中でもまだ響く大声と共に、あの怪獣のような身体が跳躍する!!

 避けられた‪……‬!?




「まずは貴様だぁ!!桃色の機体ィ!!!」



 ありすちゃんのハピ☆タンに飛びかかり、咄嗟に左腕の武器で防ごうとしたそこに噛み付く怪獣の口。


 4砲身のマシンキャノンを噛み砕き、左腕から引き剥がして放り投げる。

 ハピ☆タンを4つの腕で掴み、爪を食い込ませて動けないようにする!


<コトリ>

『マズイ!?』


「こんにゃろぉぉぉぉッ!!!」


 プラズマキャノンを撃ちまくる。


 けどアイツ‪……‬尻尾を振るって全部叩き落として、まずはハピ☆タンを、ありすちゃんを倒す気だ!!




「後ろから撃った事を後悔するが良い!!

 我が帝国の死装魔竜の力の前に散れぇ!!!」



 背中の背鰭が光る。

 ガパァ、と開いた口が───荷電粒子砲がハピ☆タンを捉えた‪……‬!!


「ありすちゃん!!逃げ、」



<ありす>

『正解♪

 私ってば後ろから撃つなんて、キャラじゃ無いよねっ☆』


 ガシリ、とハピ☆タンの空いた左腕が、怪獣の首元を掴む。



<ありす>

『いつだって、正面から行く系アイドルのありすちゃんだもん!

 それしかできないからね‪……‬


 正面に立ってくれて、ありがとうッ!!!』



 瞬間、右腕の4砲身のマシンキャノンを怪獣の口に突っ込んだ。


 ドドドドドドッッ!!!


 鳴り響く連射音。

 外れるアゴの一部。

 首の後ろ辺りから吹き飛ぶあの赤い人!!



 グワァァァァァァァッッ!!


 けど────怪獣の口から荷電粒子砲は放たれた!!

 至近距離!ハピ☆タンの右側が光の本流に飲まれた!?



「ありすちゃん!!!」



<ありす>

『───ハピ☆タン相手に削り合いを挑むんだねッ!!』


 怪獣の首元を掴むハピ☆タンの名前からは想像できない屈強な左腕部が、かろうじて荷電粒子の渦から左半身を守る。


 残った左の背中のグレネードが砲身を展開させる。

 撃ち切ったのか荷電粒子が消えた瞬間、ぶっとい砲身が欠けた顎の口に突き込まれる。



<ありす>

『なら私の勝ちだッッ!!!!』



 ズドォォンッッッ!!!!!


 怪獣の全身が爆発で輝く。

 装甲は頑丈だけど、中身はそうじゃない。


 やがて、口や目やいろんな部分から黒い煙を出しながら、力無く倒れ、崩れていった。



 ────すごい戦いだった‪……‬!


 あの状況で‪……‬最後まで勝機を掴むために耐え切ったんだ‪……‬!


 ただ硬いだけのガチタンでも、普通の傭兵スワンでもこんなこと出来ないよ‪……‬!!



 ランク4


 50人いる傭兵のトップの、さらにベスト5の一人。


 肩書きは伊達じゃない‪……‬カッコいいよありすちゃん‪……‬!!






「ありすちゃん‪……‬ちょっとごめん見てくる!!」


<コトリ>

《おっけー!》



 でも、あんな状態で生きているのかな!?

 流石に味方が死ぬのはみたくないし、生きてるなら助けないと!


 という訳で、ティタニスから急いで飛び出して、半壊したハピ☆タンの元に急ぐ!



「ぐ‪……‬ここまでしてやられ、ぐえー!?!」


「あ、ごめん!」



 途中ちょっと踏んじゃった人いたけどまぁ良いか!

 そんんなことより、ハピ☆タンの半分蒸発したコアへ!


「ありすちゃん!!無事!?」


「‪……‬へへへ‪……‬!」


 にゅ、と伸びる左腕───白い人工血液とちょっと見える機械式人工筋肉の細腕が、ピースサインを作る。


「整形とか言われるから秘密だけど‪……‬傭兵スワンとしてもプロなありすちゃんは、強化済みなのでした‪……‬!

 簡単にアイドルは死ねないからね‪……‬!」


 ちょっとボロボロで色々傷だらけだけど、笑うありすちゃんは最高にカッコよかった。


「‪ありすちゃんのファンになりそう!」


「まだなってないのぉ?

 ハピ☆タンが削られちゃったよりショックぅ〜‪……‬!」


 そんなこと言って案外平気そうなありすちゃんに手を貸して、半壊したハピ☆タンから外に出す。


 さて、肩を貸したら次は‪……‬






「‪……‬フフ、仕方がないか。

 敗者は足蹴にされるもの‪……‬オレも例外ではないか‪……‬」




「案外元気そうじゃん、敵の人」



 という訳で、例の怪獣に乗ってたあの人がゴロンと仰向けになってる場所までありすちゃんと来ました。



「‪……‬本当に、オリジナル・ワンと同じような姿なのだな‪……‬血まで白か。肌みたいに」


「肌色は、あんた達ほどじゃないけど色々あるよ。

 後、私たちは強化手術ってやつのせいで白いんだ。

 本当は赤」


「‪……‬そうか。賢くなった‪……‬!

 それで?賢いお前らはオレをどうする気だ?

 これでもオレは皇帝だ。人質にでもして戦いを止めるか?」



「悪いけど、私たちは下手こいただけ。

 他のところでもあの怪獣が大暴れしてるみたいだけど、そのぐらい倒せるよ」



 無線で聞く戦況は、まだ私たちが有利。

 という訳で、まぁ割とこっぴどくやられちゃった私たちはそう皇帝さんに言う。



「なら、後生だ。オレを人質にしろ。

 敗北には形というものがある。

 あの兵器は、我が帝国にとって全滅させるには惜しいのだ。


 武力のよる敗北はオレ達赤鋼帝国の心をあまりに深く傷つける‪……‬!

 だが‪……‬バカなオレ一人が人質になったから、交渉による講和であれば、まだマシなのだ‪……‬!」



 赤い人‪……‬そういや皇帝って名乗ってたっけ?

 え、それってつまり‪……‬?


「‪……‪……‬つまりどういうこと?」


「分かんないや。必死なのは分かるけど、アイドルだしつまり何言いたいのかはさっぱり」




 ごめんね。私たち難しいこと分かんないや。




「そうかすまんな!!

 申し訳ないが偉くて頭の回る奴を奴を呼んでくれ!!

 ちょっと、早くしないと負けるのは確定だが酷い負け方になって多分上の人間も頭を悩ませてしまうのだ!」


「おぉ!

 ちょっと待ってて」



 それが一番良いや!!

 無線機を使って─────




『オイオイ、なんやあれ!?

 ちょっと洒落にならんの来たで!?!』



『アレは!?自立兵器か!!』



 は?


 突然、いつものリンちゃんとキリィちゃんの声が響いてくる。

 遠くの戦場のはずだけど、何が!?



「どうした?」


 例の赤い皇帝さんに予備の無線を渡す。



『こちらキャッスル・ブラボー!!

 突然移動要塞が出てきた!!無差別に攻撃している!!

 自立兵器だ!!もう場所に!?』



『冗談キツイっしょ!!

 しかもコイツ‪……‬!!』




「これは通信機か!!

 どういう内容だ今のは!?何が起こっている!?」


「何かはわからないけどマズイかも!!」



 バシュゥゥゥゥゥ!!



 ───答え合わせみたいなタイミングで、すぐ近くで何か光が雷みたいな音を立てて爆ぜる。


「なんだ今のは!?」


「レーザーっぽい!!」


「レーザーはまずい!


 とっさにみんなで伏せて、遠くの多分飛んできた方角を見る。



 この距離から見えるだけでも大きいとわかった。


 四角い胴体に無限軌道‪……‬用はキャタピラ。


 上には多分レーザーぶっ放したんだと思う部分が4箇所。

 一個のレーザーぶっ放す場所だけで、撃てそうな穴8個ぐらい見える!!



「なんだアレは!?!」


「少なくともありすちゃんのお友達じゃない!」


「‪……‬自立兵器‪……‬いや、移動要塞って奴!」




 まずいな。

 遠くにそんなシルエットが、たくさん見える!


 移動要塞が、とにかくいっぱい!



「あんな大きな要塞を移動させるとは、楽しそうな事だな!!」


「そうだね皇帝さん!

 まぁ、私たちは楽しくないけど!!」




 自立兵器の移動要塞が、無差別にレーザー砲をばら撒きながらやってくる。



 なんてこった。

 また面倒臭い上に報酬額の割にあわない事態だ!!




           ***

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る