[変更済]MISSION 13 :別の国まで来て傭兵家業







<カモメ>

『作戦の概要を説明します』





 傭兵系美少女、大鳥ホノカちゃんはお仕事の時間です!


 さて、蒼鉄王国のために、何より私たちの目的のために何をすればいいのかな?



<カモメ>

『我々と蒼鉄王国による203平原の占領作戦が開始されます。


 インペリアル正規軍MW、eX-W両部隊並びに、空中戦可能なeX-W持ちの傭兵スワンの一団は、蒼鉄王国陸軍部隊と共に、作戦領域の南西、左翼側に対して一大攻勢を仕掛けます。



 ホノカさん、あなたを始めとした傭兵スワンやその他戦力の皆様とこの手薄な右翼に残っていただいた蒼鉄王国の正規軍との協働で、無防備となった右翼側に現れる敵予備兵力並びに全ての敵を排除。


 平原全体の戦線を10km押し上げ、宇宙から飛来する『ギフト2』回収のための場所を確保します』




<コトリ>

《簡単に言ってくれちゃってアレだけどさ、

 10kmって正気じゃないよ。

 たった2kmでも『クリスマスまでには』ですら怪しいじゃないか》


 わーお、コトリちゃん広域無線で辛辣な事言うー。

 まぁ私なんでそうなのか知らんけど。



<グウィンドリン>

『今のは大鳥ホノカの機体のPL用AIか?

 よく分かっているようだ、元の人間は相当教養があったらしいな』



 今乗ってる機体の横────まさか、通常兵器MWのちょっと高級な奴に乗り込む一応私達のお偉いさんのグウィンドリン公爵が、そう無線に答えるのであった。



<コトリ>

《褒めてもなんも出ないよ。

 というか、お偉いさんが前に出るわけ?

 死ぬかもしれないじゃん》


<グウィンドリン>

『人手が足りないというのなら、男児が出ずしてどうする?

 eX-Wが女にしか使えない兵器だからと、お嬢様方に全て任せて自分は後ろでのんびりというわけにはいくまい?』


<コトリ>

《『漢気取りの務めマッチョイズム・オブ・リージュ』って?

 ご立派ぁ!な精神ですこと》



<グウィンドリン>

『まさにその通りだろうな。

 ‪……‬‪……‬どのみち、このような事態ではないが、私が死んでも、会社も、我が家も回るさ。

 最も死ぬ気はないからこそ、我が社最高級MWなんぞに乗っている』



 確かに、なんか強そう。

 がっしりした体型に、肩からミサイルランチャーのハッチ覗いててるし、その殴ったら痛そうな腕に二つ銃口が付いてるし。



<コトリ>

《『HiMW-04K“ベルセルク”』か。

 K型って事はEシールド搭載型‪……‬時代も進んだね。

 でも、強いだけの機体で勝てるわけじゃない》


<グウィンドリン>

『痛いほど理解している。

 この作戦の要は、我々がいかに相手の攻撃を受け止めきるか、

 そして、攻撃の要の御二方がいかに速く浸透戦術をしてくれるかだ』




 御二方。

 というのは、今は前方に鎮座している二つの4脚、

 赤と緑の2機のこと。




<アンネリーゼ>

『ブラッドハントレスが相手にするには少し詰まらない獲物だけど、公爵閣下の頼みとなると真面目にやらざるをえないのよね?』



<テレサ>

メソゾイック・キマイラ中生代ごちゃ混ぜで来てよかったっていうかぁ?

 まー、せいぜい破壊活動頑張りまーす♪』



 二人とも、片方はランク2だしクッソ強いのは体感済みのアンネリーゼさんだし、片方のギャル社長さんは実際どうなんだろ‪……‬まぁなんとかなるか。




<グウィンドリン>

『期待しよう。

 後は我々が壁となって大まかな相手を轢き殺すのみだ。


 そのためには必要な機体を持つ残り3機の君らに、少々割高なコチラに出張ってもらったのだ』






 私は、久々にティタニスに乗っていたのであった。


 ティタニス。ガチガチの重装型タンク脚eX-W。

 ヒナちゃん命名の『恐鳥』っていうダチョウLv.100という感じの大昔の地球の鳥から名前がついた、

 多分火力だけならアルゲンタヴィス時代も、

 まして腕が武器腕に変わったペラゴルニスなんか目じゃない火力と装甲の機体。そろそろ脚があった機体が恋しいなぁ‪……‬



「‪……‬まぁ、ヒナちゃんが選んだおニューの武器代ぐらいは稼がないとね」


 そして、いつもの武装、右腕には馬鹿でかいプラズマキャノン、左腕にはスナイパーキャノンのティタニスの新武器!!


 それは、背中に贅沢に同じ者二つつなげた、デカくて長ーい‪……‬ガトリング砲!



<コトリ>

《改めて、バーンズアーマメンツ製重ガトリングキャノン、

 『GGM-600D』だ!

 弾代分も考えないと、マッハで報酬も蜂の巣だぞ?》



 確かに!!

 1発3cn (※ユニオン円で1万円=1cnというレート)で、1200発片方入ってまーす。


 計算結果は考えたくなーい!!!

 1万cn稼いでも絶対吹き飛ぶヤヴェーイ金額!!



「マッハで蜂の巣にするのは敵だけにしてよぉ!」


<コトリ>

《そりゃ無理だ。だって、37mm砲弾吐き出す物だし、蜂の巣通り越して霧になっちゃう物だよこれ?》


「は?怖‪……‬」


 なにそれぇ‪……‬怖‪……‬

 こんな物、人に向けて撃つのぉ?嫌なお仕事だなぁ‪……‬



<ありす>

『ホノカちゃん、ホノカちゃん』


 と、そんな私の少し離れた隣から、あの傭兵アイドルのありすちゃんから無線が入るわけです。


「なんですかいなありすちゃんや?」


<ありす>

『ナイス、ガチタン☆

 いやー、分かってるよー、君の機体すっごく分かってるよー??

 コア1001Bだったりとか!!腕がエクレールのMGMだったりとか!!

 頭が、あのリバティー社のちょっと高性能ヘッドな辺りとか!!!


 あまりにもナイスガチタン!!

 ガチタンポイント、200獲得だねっ☆!』


「ほへー、そのポイント、何と交換できるの?」


<ありす>

『ありすちゃんとのツーショット自撮りの権利をあげちゃう!!』


「マジか!転売して友達に売りつけよう!」


<ありす>

『ってコラー!!転売ダメ絶対!!ポイント失効ー!!プンプン!!』


 ちぇー‪……‬傭兵業解約するお金に使おうと思ったのに!


<シルヴィア>

『はは!君ら元気だよねぇ!!

 ボク達これから虐殺するかもしれないって自覚ある?』



 と、一歩前辺りにいる灰色っていうか銀色の太ましいシルエット重量2脚の機体の中から、あの天才チビっ子のシルヴィアちゃんのちょっと小馬鹿にしてるーな感じの声が聞こえる。


「まだ10歳かそこらの子に言われなくても、いい気分じゃ無いとは感じてますー」


<シルヴィア>

『あらら、その程度なんだ。

 分かってないのか、結局レプリケイターの皆を知的生物と思っていない、別の生物だから狩れるというのか、


 いや、大鳥ホノカ?

 案外君相手が人間でもそのぐらいしか人を殺す行為に忌避感を感じないのかもね。

 楽しんで殺すとはまた違うタイプのサイコパス的資質か‪……‬‪……‬よく分かってないで撃ってるおバカか?』





 なにそれ。私のことやっぱバカにしてるー?

 私バカなのは事実だけどさー。


 ‪……‬‪……‬それに酷い人間っていうのならそれも事実だしさ。

 実際、心は痛むけど‪……‬仕事なんだし大したことじゃ無い。





<シルヴィア>

『まぁ、気を悪くしないでくれよ?ここで怖気付くようなら、ボクの完璧な戦闘予定も狂っちゃうしね。


 ああ、そうそう。この場のメンツに二つ注意がある。


 まず、4脚機の二人は仕方ないけど、他の機体も後ろの兵の皆も、くれぐれもボクの『キャッスル・ブラボー』より前には出ないことだ。


 ボクの機体は、傑作プラズマキャノンにハイレーザー、

 そして『ブラストキャノン』を使う。


 君らだって巻き込まれたら相手ごと死ぬ火力だ。

 NGウェポン使わないだけマシだと思って、間違ってもボクの前に出ちゃダメだからね?』



 おっと、思ったより真面目なトーンの声で注意が来ちゃった。

 なんて分かりやすい注意だ。おバカな私でも要点がよく分かる。



<ありす>

『わー怖ーい!

 でもどうしよー、ありすちゃんあんまり頭はよろしくないから、正面から撃ち合う意外は能がないんだぞっ☆

 ありすちゃん自慢のハピ☆タンの守りを削っちゃうような攻撃だしなぁ‪……‬E武器はマズいぞ?』



<シルヴィア>

『だから言っただろう、ありすちゃん?

 もう一度言おう。


 ボクのキャッスル・ブラボー正面には立つな。無事じゃ済まない』



「ブラボーなお城ってだけあって怖いなー」



<コトリ>

《キャッスル・ブラボーって旧時代地球の核兵器の実験の名前だぞ》


「なにそれ!?知りたくなかった!!」


 前どころか後ろもやばく無い!?



<シルヴィア>

『驚いたところで、みんなには後もう一つ注意が残ってるよ。


 いいかい?今日は全機がEシールド持ちだ。


 Eシールドは言わば高エネルギーの膜で出来た増加装甲。

 120mmクラスの砲の最強の貫通弾APFSDSでも防ぐけど、そんな防御力だからこそ人間とかそう言うのが接触しても焼き殺す心配がある。


 背後にいる蒼鉄王国軍の歩兵との距離には気をつけるように。

 特にガチタンアセン組とMWは、自分達が戦車では無く『機動兵器』でしか無いって事、理解してやってくれるよね?』



 あ、なるほど。


 流石にねぇ‪……‬敵を殺すなら心はちょっとしか痛まない酷い人間の私でも‪……‬後ろの味方事故死はちょっとこう‪……‬心にきそうだよなぁ‪……‬


<シルヴィア>

『これに関しては、後方にいる蒼鉄王国軍の皆にも徹底してもらおうか。

 そもそもeX-Wの中でも大口径な武器ばかりの面々だ。

 下手に密着すれば、衝撃波で鼓膜ぐらい破れるよ。


 良いかな?ク・レリック少尉?』




 ‪……‬‪……‬?




<シルヴィア>

『もしもーし!?無線装置の使い方が分からなかったかなー?

 脇にボタン押して通話だぞー?』



<ク・レリック>

『───あは、あは‪……‬聞こえてまーす、大丈夫‪……‬じゃないです‪……‬あはは‪……‬こんなんなっちゃった‪……‬こんな小さくなっちゃった‪……‬』



 いや、どうしたのその乾いた笑い声は??

 なんかあった??






          ***


 蒼鉄王国軍塹壕内部、



「あは、あはは‪……‬これが、これが通信装置??

 おかしいな、本体どこ?いや、本体以外に、電源装置が見当たらない‪……‬いや、このサイズで内蔵されている???」



 ただでさえ青い肌のク・レリックは、受け取ったごく普通の傾向無線機───サイズ的には携帯電話程度の物を見て、3つの目から涙を流して引き攣った笑いを出していた。


『‪……‬あのー、大丈夫ですかねー?』


「は?大丈夫なわけないですが??


 本体重量30kgかつ、ケーブルが1km分の通信機を背負っていた今までがアホらしいんですが!?!?

 無線通信技術は、まだ簡易なツートンの音だけしか送れてないのですが!?!?


 というかコレェ‪……‬一体何がどうなってこれどうなってるんですか??電池どこですか??液漏れしないんですか??」


 内心、今まで見てきた人間の技術の中でも圧倒的に恐ろしく、何より欲しかった物を片手に心穏やかではない。

 この小さな物でどうして通信ができるのか?

 理屈でわかっていても、心が理解より以前に釈然としないク・レリックだった‪……‬



『ヒナちゃんやー、電池って液漏れ大丈夫だっけ?』


《あー‪……‬そもそも、リチウムイオン電池だし液体は使ってないはず‪……‬忘れちゃったけど》


「‪……‬全固体電池とでも‪……‬言うんですよねー、そうですよねー‪……‬


 はぁ?はぁー??はぁ??」




 説明しよう。

 電池はその始まりは、液体の電解質を使うものであり、『電気の溜まった池』だから電池なのである。


 しかし、人間側はまだ地球にいた頃から既に全固体電池───電極も触媒も全てが固体で出来た液漏れしない電池はすっかり『枯れた技術』であった。



「基礎の技術の差ぁーッ!!!んもぉぉぉ!!!

 見せつけられるこちらの身にもなってくださいよぉぉぉぉぉ!!!!」



 そもそもリチウムにそんな利用法があること自体まず知らなかったのだ。

 ク・レリックは、技術屋としても大変に地団駄を踏まざるを得ない差を何よりも感じていた。



「ぐぞう‪……‬どーせ、2、3時間は使えるとか言うんでしょ?」



《12時間だったはず》



「はい解散!!作戦始めましょう!!!

 ‪……‬‪……‬コレ、これが一番今欲しい物だったなぁ‪……‬」



 半泣きのまま、近くに座る大型肉食獣に似た、全身が装甲化された生物に乗る。


「真面目にいえば、これがあれば恐らく行おうとしている作戦は簡単、とまでは行きませんが現実的なラインに立つでしょう。

 実際やりたかった事ですし。技術部だけじゃ無く参謀本部が3つ拝借するわけだ」


『電波強度で言えば、この戦場全体はカバーできる。

 後は何かあるか?』


「一つだけ。

 どう言う手段かは聞いても悶絶するだけですが、我々は誰がどう喋っているか分からない。

 混乱を避けるため、最初に名前なりなんなり言わないと。


 パンテラス偵察部隊隊長、レリック少尉より傭兵諸君、どう思われます??」


 近くの部下、同じく大型肉食獣型生物兵器『パンテラス』に乗る皆が無線機を持ったことを確認して、そう言葉を紡ぐ。




           ***



<グウィンドリン>

『それもそうだな。

 G小隊リーダーより各機、以後は無線で各自名前は最初に言う様に。

 傭兵達おじょうさんがたは各自機体名でお願いする。どうぞ?』



<シルヴィア>

『キャッスル・ブラボー了解』


<アンネリーゼ>

『ブラッドハントレス、了承したわ』


<テレサ>

『メソゾイック・キマイラ、りょ!』


<ありす>

『ハピ☆タン、いつでもオッケー!』


「ティタニス、了解ー。これで良いんすか?」




 よーし、準備はこれで良いかな?




<グウィンドリン>

『Gリーダーより各機、時間だ。

 時計を合わせてくれ、準備砲撃は1分だ。

 我々が渡した世界最高のコンピュータ制御AI照準システムが、正確に砲撃を終わらせてくれるはずだ』



 来たか。

 早速、上空でバラバラと飛んでいる私たちの私物ヘリコプター達が進んでいくのがティタニスのカメラに映った。


 弾道観測と偵察を一気にやる。

 後は、無線機と一緒に渡したあの『世界最高のコンピュータ制御AIシステム』が、蒼鉄王国軍の皆さんが使いこなせるかどうかだ!






           ***



 蒼鉄王国軍第67砲兵小隊のいる位置。



《右ヒトマル0.1、上下角は3度で修正でお願いしまーっす》



「なぁ、これ本当に合ってるのか?

 多少ずれててもそりゃあ修正するが、大丈夫か??」



 コトリとは別のタイプの、タイプ01型ウェザーリポーターが照準器近くで30cmのデフォルトロボボディを身振り手振りしながら、砲兵に指示を出す。



《まぁ、あくまで砲身の口径、口径長、スペック上の砲弾の炸薬の量、大気の温度と湿度、風速、重力加速度とかを計算した上でだから、細かい方針の汚れや歪みまでは出来ないけどね》


「そんな簡単に計算できるのかチビスケ?」


「‪……‬‪……‬本当に合ってる‪……‬!」


 と、隣でメモ帳に計算を書いていた部隊長はそう声をもらした。


教授プロフェッサー殿、マジですか!?」


「あのレリックが寄越すわけだ‪……‬今まで幾何と歯車の相似を利用したデカい計算装置がこのサイズか。

 よし、やるぞ。

 装填急げ!!」


 部隊長の一言で、砲の後部のハッチを開け、重い砲弾を持って来た装填手が砲弾をセットし、ハッチを締める。


 対ショック姿勢。


「こちら67小隊、装填!!」


『こちら作戦司令部!

 砲撃開始!!』


 砲の撃鉄を起動する紐を弾き、撃鉄が叩いた砲弾内部の起爆剤が起爆して、火薬を燃焼させその圧力で砲弾が発射される。



 ズドン!!


 反動で駐待機と言われる砲のスライド部分が後ろへ下がり、反動で砲の位置が動かない様に衝撃を逃す。


 斜め上に放たれた砲弾が、加速しつつ放物線を描き、敵の塹壕へ着弾する。


 一発、二発、何十発。

 敵の隠れる場所を掘り起こすための作業が始まった。




           ***



<カモメ>

『ティタニス・オペレーターより報告。

 生体センサー反応!

 敵、赤鋼王国軍、塹壕内重要拠点判明!

 ティタニス、モニターに映しますのでよろしくお願いします!』


「ティタニス了解!

 エグい役割きちゃったね!」



 ティタニスの左腕にあるスナイパーキャノンを起動!


 私の網膜に浮かぶ放物線、そして上を飛ぶヘリ達のスキャンデータが私に直接神経接続で送られてくる。


 用は、放物線がスナキャちゃんの予想弾道で、目に映るバッテン印が目標。

 うまく重ねて〜‪……‬発射!


 ズドォォンッッッ!!!


 スナイパーキャノンのこの衝撃が、威力を物語ってて怖いよね。

 真っ直ぐ飛びそうなイメージに反して意外と放物線通り動く砲弾が、斜め上から相手のいる位置を吹き飛ばす。


<カモメ>

『効力射。目標の破壊を確認。

 照準誘導、レーザー照射。次弾もお願いします』


「ティタニス、オッケー!!」


 ズドォォンッッッ!!!

 放物線とバッテンを見ながら打ち込むだけの簡単なお仕事。

 というか、ティタニスの頭のカメラ性能いいから、相手の場所がすごい吹き飛び方をするのがよく見える。

 周りの方々の砲撃もあって、だいぶ派手に土が掘り返されて人が吹き飛んでるんじゃない?

 ちょい想像したくないグロさあるね。


<グウィンドリン>

『各部隊、時間だ砲撃を止めろ!!

 G部隊並びに傭兵ども!!進むぞ!!』


「おし来たガッテン!!」


 スナキャは捨てる。ここから入らない。

 代わりに、ちょっと積載量危なかったけど格納してた懐かしいアルゲンタヴィス時代にお世話になったバトルライフルをティタニスの左腕に持つ!


<アンネリーゼ>

『ブラッドハントレス、では先に行かせてもらうわ』


<テレサ>

『メソゾイック・キマイラ、いっきまーす!』


 早速、砲撃が止んだ瞬間、ストライクブーストと共に2機の4脚が発進!

 ライフルを連射しながら、中の方とか奥の方を掻き乱す!



<グウィンドリン>

『Gリーダーよりガチタンども!!

 歩兵支援だ!!塹壕に突っ込む!!』



「了解!!」



 じゃ、私たちも早速行きますか!!







          ***


 203平原、赤鋼帝国側の後方



「なんという事だ!

 圧倒的ではないか、相手の軍は!!」



 双眼鏡‪……‬というべきかは迷う3つのレンズのある望遠鏡を覗きながら、


 赤鋼帝国皇帝、ゼノバシアは素直にそう言い放った。


「陛下声がデカいです!!

 兵の士気が落ちます!!」


「はっはっは!

 バカめ!!兵の士気はとっくに落ちている!!

 なら落とさないことより、今から上げる事を考えたほうがいいだろう?」



 グルルルル‪……‬‪……‬


 その豪快に笑う姿の背後に、巨大で黒い影が落ちる。



「驚け、人間とやら。

 こちらにもお前達を驚かせる戦力がある事を教えてやろう」



 グォォォォン!


 ────その獰猛な唸り声は、まだ砲火に紛れて届かない。




           ***

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