[変更済]MISSION 9 :蒼鉄王国へようこそ





 私こと、傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんは、

 つい、未知の大陸の謎の文明の方々、目が3つあって肌が青とか赤で背中から大きな腕が生えてる様な、それ以外は美人な女の人っぽい方がである『レプリケイター』なる皆さんにご挨拶しちゃいました。


 まさかの日本語、まさかの文明の起源に私達の起源も関わっているっぽい話、


 ついでに2つの国の間で争ってるらしく、私たちは‪……‬





<ヘリ内線番号:1>

『うわぁ‪……‬!!

 我々の飛行機より早いかもしれない‪……‬!!』




 私が操るペラゴルニスの脇、先頭の方の輸送用のヘリコプターの中で、レプリケイターの一人の『ク・レリック』さん‪……‬ようやく名前を覚えた、ちょっと知的な青肌の人が、多分その3つのお目々を輝かせてる様な声をあげていた。

 多分後ろのヘリの中の他のレプリケイターの皆さんも‪……‬あ、窓からカラフルな3つ目の美人さんたちがめっちゃ見えるー。




 そう、ヘリコプターが数機と私の操るペラゴルニスの編隊で、向かう先はレプリケイターの作った国の片方、

 ク・レリックさんの所属する『蒼鉄王国そうてつおうこく』だった!




<ヘリ内線番号:3>

『驚くほどはない、ク・レリック少尉。

 このヘリの技術なんぞ、君らの時代からたった数十年後には基礎が出来上がる。

 枯れた技術だ。なんならば、設計図ごとくれてやったところで痛手にもならない』



<ヘリ内線番号:1>

『ぜひそうさせてもらいたい物ですね公爵殿!

 私の知り合いの工廠勤めのやつなら、泣いて喜ぶ事間違いなしだ!』



<ヘリ内線番号:4>

『皮肉が効いていない様ですわよ公爵さん?

 さて‪……‬見えてきましたわ!』



 一緒に乗ってきたマッコイさんの声と共に、それが見えてくる。



「おぇ‪……‬!?

 あれ、飛行船‪……‬!?」



 飛行船。おっきな風船みたいなものを使って空を飛ぶ船。私たちもたまに見るよね?


 でも、横に倒れたロケットみたいものだった部分が‪……‬バカでかい膨らんだタコみたいなものになった物が空を悠然と浮いていた。


 それは私達の飛行船のように、プロペラでゆっくりを空を漕いで進んでいたけど‪……‬


 問題は膨らんだ目が5つぐらいあるタコは、ペラゴルニスで横切ったらこっちを明らかに見ていた事だった。なんなら目を見開いてたし、短い触手がくるりと驚いたみたいに巻かれていくのも見えた。



<ヘリ内線番号:1>

『ああ‪……‬そうか、生きてないのがそちらでは普通か‪……‬!』



 ク・レリックさん、そう言う事先に言わない??


<コトリ>

《常識的すぎて言うの忘れてた感じするね》




 相棒AIのコトリちゃんの言う通りの光景が、いよいよ大きくなってきた。


 それは、私達の住んでいる様な大都市と変わらない、摩天楼の佇む大きな街だった。

 工事中なのもあれば、少し古そうなレンガの物もある大都市。


 道路には、人々と車‪……‬のような生き物、さらには平原を走っていたあのタコウマに乗っているのかちょっとあれなんか合体してない!?寄生してない??


 でも、相変わらず露出が多い割にそのなんかタコウマと合体しているのか乗っているかなレプリケイターさん、警官なのはなんか分かる格好だ。


 信号はまだ無いのか、誘導員が交差点の車を誘導しようとして、あ事故った。


 なんだろう、所々変な生き物がいる以外は‪……‬私たちと変わらない街並みじゃん。


 変な生き物とか、なんか合体してたり膜の中から出てくる感じがちょっと気になるけど‪……‬



「‪……‬‪……‬これが普通っていうのもすごいな」


<コトリ>

《よそ見してるとぶつかるぞ。

 ほら、見て分かる目的地が見えてきた》



 視線を戻すと、明らかに異様な建物が一個だけあった。



<ヘリ内線番号:1>

『我が蒼鉄王国の『王宮』が見えてきましたよ!』



 ────白い色の、半球形状。


 いわゆる巨大なドーム。まるで‪……‬大昔の火星基地。

 いや、実際そうなんだろうねこれぇ‪……‬!



<ヘリ内線番号:1>

『アレが、我々レプリケイター発祥の地でもあり、我が国の中枢でもある『王宮』です!

 王族の皆様もあそこに住んでいるんですよ‪……‬最も古い建造物であり、今の我々でも再現や内部の構造の把握は進んでいませんが‪……‬‪……‬あれ、皆さん?』




 思わず、みんな黙り込んでしまう。


 これまで、見たことはある様で見たことのない景色から、どうしようもないぐらいどこかで見た事のあるものを見たのだから。



<ヘリパイロット>

『間も無く、着陸地点指定箇所です。

 傭兵スワン、右側から回ってくれ!』



「ペラゴルニス、りょうかーい!」




 着陸の合図が来たのもあって、いう通りに右側に回る。


 着陸地点は、その『王宮』って言う巨大なドームの近くの草むら。


 ご丁寧にというか、何やら砲を背負ってるゾウみたいなイカの化け物と、いわゆる古めかしいかんじのライフルを携えた兵隊さんたちがいっぱい揃っている場所だった。



 ───ふと、その一角にいた一人の青肌なレプリケイターさんがすごく印象的だった。


 レプリケイターさんらの特徴の角が、一本大きく頭の所から生えてる人。その付け根に3つ目の目がある。


 印象的というより、他の人に一番守られているから目立つというのか‪……‬いやいや差し引いてもなんだか雰囲気が違う人。格好もなんだかちょっと豪華な装飾だし。





 なんて思っているうちに、着陸。

 コトリちゃんはいざって時ペラゴルニスを自動操縦するために残して、私だけ降りる。


 ヘリから兵隊さん、レプリケイターの軍人さんたち、公爵さんやらマッコイさんやらのえらめの人が出てきて‪……‬



「うぇ‪……‬紙袋欲しいっす‪……‬」


 とある事情で連れてこられた、私達の頼れる整備士系褐色女子なユナさんが、青い顔で出てきたのだった。


「ユナさーん、無事?」


「うぇぇ‪……‬なんで高い所平気なのに飛行機とか乗ると酔うんすかねオイラ‪……‬??」


 そうなのか。悲しい体質だなぁ‪……‬強化済みなのに。

 とりあえず介抱して、いつも見たいな3、4本目の腕は外しているスッキリした身体の本来の腕を持ってたち上がらせてあげた。


 そんなやりとりの時、ふと視線を感じて横を見たら、あの雰囲気の違う青肌レプリケイターの方が、こっちをじっと細い目で見ていた。


 思わず、二人揃って間抜けな顔をして、どもーって田舎者丸出しな会釈しちゃったよ‪……‬



「‪……‬‪……‬薄いピンクと‪……‬茶褐色‪……‬失礼だが、質問がある‪……‬!」


 と、薄目の二つを少しだけ大きい‪……‬のかな?って感じに開いて、その人はそう私たちに話しかけてきた。


「はぁ‪……‬なんですかね?」


「その‪……‬その肌の色は、元からかね?

 レリックの報告では、君らは身体を機械に変えている‪‪……‬それだけでも脅威的だ‪……‬私たちは、君らオリジナル・ワンに近しい生き物は全て、タンパク質由来で金属と言えるものは、カルシウムベースの内骨格だけだからこそ‪……‬ああその、失礼‪……‬正直すごく興奮している‪……‬!」


 めっちゃ早口だ‪……‬!



「陛下ぁ!!お戯れはおやめ下さい!!」


「ええい下がれ下がれ!!この方をどなたと心得る!?」


 と、何やら上等そうな服と偉い感じの軍服のレプリケイターさん達が慌ててこっちに‪……‬


 まって、いま「へいか」って言った??

 へいか‪……‬陛下!?!


「落ち着いて、大臣、将軍。

 名乗らなかったのは私なのだから」


 と、その雰囲気が違う人は‪……‬改めてこちらを見る。



「どうもはじめまして。

 私が、蒼鉄王国国王、ムルロア・ヘーリクス。

 先程は失礼した‪……‬」



 ペコリ、とご丁寧に頭を下げる‪……‬まさかの王様。

 いやその‪……‬こっちもユナさんともども、失礼ながら田舎者丸出しガチガチのペコリしかできませんでした!


「‪……‬‪……‬こちらこそこの傭兵スワンと整備士が失礼したようですな、国王陛下」


 と、幸いにも、若干笑ってるグウィンドリン公爵さんが、助け舟を出してくれた。


「いや、すまないことをした。

 あなたが、その‪……‬そちら側の人間の、リーダーだったな?」


「ええ。我々の住む場所じゃ、あまり意味をなしえない爵位が役に立っている者です」


「‪……‬‪……‬性差がある知的生物を、初めて見て驚いている。

 ただ、このままだと私の趣味のせいで時間が潰れてしまう。

 場所を変えよう」



 と、例のドーム型のあの王宮へ、王様という彼女‪?はその細い目を向ける。

 まぁつまり、お招きってことだね。




           ***


 王宮の中は、予想通りというか、装飾はあるけど見たことのある作りだった。


 そして、そこには不思議な絵があった。


 なんのことはない、ロングヘアの私と同年代ぐらいの女の子の絵。

 そう、私と同じ、言い方がアレだけど『肌色』であって青でも赤でも緑でもない肌の色の、どこか質素な服の女の子の絵だ。

 目も二つ。そんな女の子の絵が必ずあった。


 ただその女の子だけが書かれている絵、その女の子が黒い平べったい石板みたいな物をバックにした物を、レプリケイターさんたちのカラフルな肌の皆が見て祈ってる絵。


 コトリちゃんを連れてくれば、この絵の意味がわかるのかな?


 私に分かるのはそう‪……‬まるで、女の子は『神様』とか、『天使』みたいな描かれ方って感じたぐらい。


 そんな絵のあった道筋を辿って、ドーム中でもやや広いし意外と私たちから見ても豪華な、ある意味見慣れた装飾の場所に集まって、対面で王様と向き合うように私たちは座っていた。


 あ、私たちっていうのは、グウィンドリン公爵とマッコイさん、ユナさんと私の4人ね。

 兵隊さんはお外。



「しかし、改めて驚きだ。

 私は、君達と最初に出会ったそこのク・レリックとは、王位なんて物を継ぐ前は同じ学び舎で共に論文に追われていた身だった。

 専門が、生物工学‪……‬という言い方で分かるか?」



 へー、王様頭いいんだ‪……‬つまり?



「我々とは、多少意味が違いそうだ。

 ここに来る間に見た、生きた機械と関係が?」


「‪……‬なるほど。その通りだ公爵。

 私達は、君達と起源が違う。恐らく、極めて微細な、金属製の何かが遠い先祖だ。

 それは、タンパク質でできた細菌とは違う、もっと別のもの。

 もっとも、今はお互い共存しているし、我々レプリケイターもタンパク質と言える部分を持っている。

 ああ、だから君らが何を食べるのかはわかるし、私たちも食べられるものは共通のはずだ‪……‬


 水は真水でよかったかな?塩も金属もあまり溶けてない、煮沸消毒しただけの水だ」



 と、メイドさんみたいな紫肌の人たちが、私たちに水をガラスのコップで出してくれた。

 助かるわー、喉乾いてたし‪……‬うん美味い!


「あ、ありがとうございますー‪……‬

 あれ、みんな飲まないの??」


「‪……‬‪……‬フフ、大鳥ホノカ、君は強化レベルが4だったな?

 ちょうどいい。成分表を見てくれ」


 せいぶんひょう??


 私も私の機能わかんないしこういう時は‪……‬


『コトリちゃんや、聞こえるかい?』


《感度良好。なんの用だい?》


『なんか、せいぶんひょうっての見たいって公爵さんが』


《なんか飲まされたのか。

 いいよ‪待ってて‪……‬はい結果は出た。

 ただの水じゃん。ミネラルも薄いしこれ煮沸消毒されてる》


『お、ありがとー』



「あー、なんか成分表はただの水だそうですわ」


 そう言うと、一度公爵さんとマッコイさんは、チラリと後ろの紫肌のメイドさんの水を入れた透明なガラスのポッドを見てから、水を飲んだ。

 なんで?



「‪……‬用心深いようだ」


「失礼とは思いましたがな。わざわざガラス製かつお茶でない辺り、素直に好意を受け取れば良いとも思ったが」


「‪……‬?」


「‪……‬ホノカちゃん、毒味させられたんすよ。強化人間最悪ドブ水でも腹壊さないから」


 え、マジ?ひどーい。



「お互い、初めて会った別の世界の住人といった具合だ。探り探りになるのも当然ですかな、国王陛下?」


「‪……‬では、少し単刀直入で聞こうか。

 君たちの、来訪の目的はなんだ?」


 早速、少し表情を引き締めた国王様がそう問いかけてきた。



「‪……‬信じられないことを承知で、嘘偽りなく言うことをまず誓おう。時間もない」


 公爵さんは、タブレットPCを取り出して、一瞬警戒された周りの中、それを開いて、あるアプリを起動する。


 まぁ、私達にとっては意外と普通の技術だけど、


 3Dホログラム投影は、流石に周りから悲鳴が漏れたりするほど驚いた物らしい。


「これは‪……‬!?!」


「地図だ‪……‬しかもこの場所は!?!」


 周りの将軍っぽい人とかが驚く中、国王陛下はテーブルの上に現れた3D投影地図に恐る恐る青い下の方の細い手を伸ばしていく。


「‪……‬‪……‬触れない。なのに映し出されている‪……‬!

 光の屈折を、空中で変えているのか‪……‬

 いや、にしたとしても、模型が必要な地形の高低差まで‪……‬

 何を、どうやって‪……‬どこから聞けばいい‪……‬!?」


「技術的な話は、長くなるので割愛しましょう。

 この場所に見覚えは?」


「見覚えだと!?

 こ、ここは203平原!!中央戦線の激戦区ではないか!!」



 と、将軍っぽい人が凄まじくテンパって、その映像を指して、触れたホログラムに驚いて指を引っ込めて叫ぶ。


「あまり聞きたくない事だったな‪……‬


 我々の目的は、ここに落ちてくる物だ」


「落ちて‪……‬?」



「信じられないかもしれないが、我々は元々この星である火星と呼ばれる大地に住んでいたわけではない。

 我々の遠い祖先は、この空の向こうの地球と呼ばれる惑星で生まれ、そしてその星を捨ててこの惑星に来た」



 とまぁ、私達にとっては歴史の常識でも、こちらにおわすレプリケイターの皆さんには、絶対信じられない話という顔になるのも当然で。



「信じられないだろうが、事実だ。

 恐らくそこのオリジナル・ワンと呼ぶ君らの文明を教えた者も、地球からやってきたか、あるいは地球出身の者が生み出した存在だ」



 チラリ、と隣でよそ見して鼻歌を歌っているマッコイさんを見て、公爵は言う。



「‪……‬‪……‬ほ、本心では‪……‬信じられないが‪……‬理性でまず事実と飲み込もう‪……‬‪……‬

 そ、それで、それが来訪の目的と関係が‪……‬?」



「‪……‬‪……‬我々は、地球という星は既に先祖の犯した罪のせいで、言わば命のない死の星になったと聞かされてきた。

 ところが、70年前に、地球から宇宙船が送られてきたのだ。

 それは、あなた方レプリケイターにとって我々のような発見と来訪であり、その地球から送られた船の技術で、我々は大きく発展してきた。


 そして、数日以内に、

 2隻目の地球からの贈り物は、この場所に落ちる」


 下のタブレットを押して、赤い線で立体の地図の1箇所に、私たちの目的の宇宙船が落ちるルートと場所を示す。



「‪……‬‪……‬‪……‬‪……‬」



 レプリケイターの皆様、絶句である。

 国王陛下様も、細い目をかなり見開いている。



「‪……‬‪……‬すぅー‪……‬‪……‬ふぅー‪……‬


 よし、まずは、まずは色々言いたいことだけ置いておいて、事実だけ考えよう。


 まず、君たちの目的のものが、この戦場に落ちる。

 それは間違い無いんだな?」



 まさに『それは置いておいて』な動きをして、王様はそう頭良く一番必要なことだけ尋ねる。



「その通りです」


「‪……‬‪……‬ここは‪……‬機関銃陣地の真ん中だ。


 ある意味で最悪の中立地帯だ‪……‬塹壕と、鉄条網の間‪……‬」


「‪……‬‪……‬なんて物を、落としてくれる‪……‬!」


「‪……‬‪……‬まぁ無理ではありましょうが‪……‬それの回収さえできれば我々はさっさと引き上げます。

 できればその間だけでも相手の国と一時停戦は‪……‬いや、それは無いですな。流石に失礼な発言だった」


「‪……‬‪……‬たしかに、あの愚弟は絶対に‪……‬

 いやむしろ、そんなものとあらば、奪おうとすらするかもしれない」


「‪……‬愚弟?」


 ふと、その『ぐてい』って単語に反応する公爵。


「‪……‬信じられないとはいえ、全てをお話しした貴方達にも、話しておこう。

 我が蒼鉄王国と、その敵であり‪……‬兄弟でもある赤鋼帝国との歴史を」



 と、国王様はそう、とある歴史を語り出した。



           ***

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