[変更済]MISSION 8 : はじめての白兵戦





 未知の場所でとある荷物を受け取るという任務で、

 今まで見たこともあったこともない生き物と何よりまさかの知的生命体にお礼含めて挨拶しようとした私こと傭兵系美少女大鳥ホノカちゃんは、


 その挨拶した相手のれぷら‪……‬名前覚えてないんですけどな方々の、助けてくれた方のとは別の多分敵国の人に最悪な挨拶されたんで、最悪な挨拶で返してあげました。



「そっちがそう良い挨拶するなら、」



 そう、



「これがこっちの挨拶だ!!」



 強化人間プラスアルファでもある私の、全身機械のパワーで放つグーパンだ!



「ガッ‪……‬!?」



 例の赤い肌の人は、綺麗にお仲間のいる場所まで吹き飛んで、適当な木にぶつかって止まった。


「大尉ぃ!?」


「‪……‬心配ない!」


 だけど、まさかの立ち上がり。

 それもなんか‪……‬一瞬で全身、赤かった肌が光沢のある黒い色というか、なんか妙なスーツというか装甲ぽいのに覆われてない!?



「『硬化』した!

 全員弾種切り替え!!こちらも硬化しろ!!」


『了解!』



 後ろの方の親切な方の皆さんも、青とかそういう色だった肌が黒くなって、似たような装甲に覆われる。


「なにそれ?」


「どういう理屈かはこちらが聞きたいぞ、硬化もせずに銃弾を防ぐとは!

 だが、格闘で私が負けるわけにもいかん!!」


 と、なんだかオレンジに光ってるサーベルを、背中側のデカい腕で引き抜いて、あの赤かった人がこっちに斬りかかる。

 やばいな、と思って高周波ブレードで受け止めた。

 正解だ!すごいパワー!!


《ふむ‪……‬光学情報によると、一瞬で肌の表面に『金属細胞性の外骨格』が現れたってところか。

 そして、銃の文明レベルが低い割には、その剣は一種の電熱式切断機ヒートサーベルってところか。

 気をつけなよホノカちゃん?強化済みボディでも切られちゃうかも!》


「鍔迫り合いってヤツの合間に解説かい!

 コトリちゃん余裕だね」


「なんだそのちいさいのは!?今の声はそれか!?」


 目の前の赤かった人が3つの目を見開きながら、空いてる方の腕でコトリちゃんに手を伸ばす。


「手癖が悪いなぁ!?」


 強化済みの軽やかな動きで、私はソイツに蹴りを下から放って距離を離す。


「貴様は足癖が悪い!!」


《ま、ブラブラ私がいるのもアレか。

 ホノカちゃん、ペラゴルニスに私を投げて!》


「OK!」


 コトリちゃんを、悪いと思いつつ上で浮いているペラゴルニスへぶん投げる。


 意外とコントロール良いのかかな、放物線描いてスポッと入ってくれた。


「‪……‬あの乗り物に何故戻した?」


「すぐに分かるさ」


「なんでも良い!お前の事を確保すれば我が赤鋼帝国の『正当性』が保証できる!」


 斬りかかる赤い人。オレンジに光るサーベルを高周波ブレードで受け止める。

 早い‪……‬けど剣技知らない私でも強化済みのおかげで反応できる。


「訳わかんない事言わないでよ!

 解説役いなくなったんだから!!」


 押し返して逆に切る。

 硬そうだった相手の、デカい方の腕の一部に切れ込みが入った。


「!」


「よし、とりあえずそんな硬い訳じゃないか」


《───よぉ。

 解説役の私は、ペラゴルニスに本来の用途で乗ったよ?》


 頭の中に響く無線と共に、ハッチがしまった上にペラゴルニスが上昇してこちらを向く。


「動いた!?さっきのチビが動かしているのか!?」


「その通り。

 どうする?上から援護射撃でもできるんだぜ?」



 瞬間、相手は小さい方の片腕を上げる。

 途端、後ろでなんかデカい電話担いでいた赤い肌の兵隊さんが、受話器片手に何かを言う。



 何を‪……‬と思っていたら、パァンと真上のペラゴルニスのEシールドに何かが当たって爆ぜた。


「!?」


「砲兵だ!!まさっこいつら、こんな場所まで貴重な砲を持ってきたのか!?」


 あの青肌の人が叫んだ。

 とっさに、ペラゴルニスの視界をこっちに回してもらう。


 数キロ先、開けた丘の上。

 なんだか、デッカいゾウみたいな脚のタコにデカい大砲くくりつけたみたいなの一匹いる。


「コトリちゃん、そっちお願い」


《はいはい。

 PL-1、オペレーション開始する》


 真上の、ペラゴルニスがそっちに飛んでいく。



「行ったか!

 これでしばらく援護はないな!!」


「あっそ。ま、アンタボコるぐらいは私でもできる」


「良いだろう!!

 ならこれも卑怯とは言うまいな!?」



 後ろにかろやかーにジャンプしながら片手を上げた赤い人、後ろで構える、何その気持ち悪い目玉お化け!?


「ふせろ!生物レーザー銃!!」


 なんかヤバいっていうのは、一瞬でわかったし、ジャンプしてよかったと思ったのは、下の木々がスパンと切れるような閃光が目玉お化けのギョロ目から出たのが見えた時だった。


「生物レーザー銃!?おバカな私でも分かる名前だなぁ!?」



『───聞こえるかい!天才なボクことシルヴィアちゃんだよ?』


 と、背の高い木に捕まってくるりと逆上がりしてジャンプ、後ろで生物レーザー銃で木々が焼けるのを見る私に、あのチビちゃい先輩スワンの声!


「なんの用かな!?」


『通信ペラペラ喋っちゃう気かい?

 まずはちゃんと頭の中で答えなよ』


 頭の中読んでるのかな?まぁ良いけど、と2度目の木を踏み台にレーザー避けなう!


『で、何!?』


『相手の『レプリケイター』ちゃん達は、どうやら生物的には今まで見た系統だ。

 ナノマシン生態系の知的生命体。

 そして、あの体表の硬化は全身の金属製ナノマシン細胞を表皮に移す事で可能とし、武器を持ち替えた事から普段は実体弾でも抜ける体表をレーザーでなければ抜けないものにする。

 ここまでは良いかな?』


『すごいね!今体感してる!!

 というか、それ強化人間の身体でも抜けるんじゃ無いの!?』


 木は穴が開くし、スパッとレーザーで切れる。

 生物レーザー銃強いな!!


『でも、彼女らの肌はどうかな?

 君、今背中に背負っているライフルの口径はいくつだい?』


 はっ、となる私。タイミングよくスーパーヒーロー着地したところ。膝にくるね‪……‬



『‪……‬これ選んだの、私のオペレーターのカモメちゃんだ。

 カモメちゃん、このライフル強いっけ!?』


『はい!

 対強化人間用、12.7×99mm中装弾バトルライフルです!』


 背負ってた四角いライフルを、抱えるように持って相手へ振り向く。

 コッキングレバーだっけ?最初の一発目を装填する部分をガチャリと引いて、引き金近くの安全装置を『これからぶっ放します』っていう位置に人差し指で下げる。



『スキャン完了。

 ホノカさんの視界に、私のヘリからのセンサーによる情報を処理し同期。補正映像を投影します』



 森の中、赤いワイヤーフレームでこっちに生物レーザー銃を向ける敵がよく見える。


 ただし、相手か敵かはわからない!



「さっき助けてくれた人!!

 ふせて!!」


 大声を上げて、数人の人が伏せる。

 立ってる奴は敵だ!!



 バババババババババババ!!!


 コレ、私の記憶がたしかなら、最初にショップ行く時の治安悪いところでカモメちゃんが、『私の体表は12.7×99mm出ないと抜けない』って言ってた、要するに私でも当たったら危ないデッカい弾丸を吐き出す奴!!


 それが当たった敵が、上下とか斜めに分かれるならマシな方で、なんか爆ぜてる!!


「うわぁ!?対空砲を水平撃ちか!?」


「まずい、伏せろ!!ふせて進め!!」



 チッ、伏せた!!

 これじゃあ敵か味方か分からない!!


 銃の中の装置とペアリングした私の視界には、残弾が見える。

 1/3打ち切った。予備の弾入ってるアレは無い!撃つって思って無いから買ってない!!



「弾切れだな!?コレを食らえ!!」


 で、撃つのやめたら反撃に茂みからレーザーだ!!


「ちぇ!!」


 私もまぁ避けられるけど‪……‬各個撃破でもする??



「よし、良い、ぞぼっ!?」


 ふと、すぐ近くにいた敵に誰かが重なったかと思ったら、動かなくなった。


「何!?」


「我々を忘れては困るぞ、帝国軍!!」


 気がつけば、あの助けてくれた青とかの肌の人たちが相手を殺していた。

 手慣れたナイフ捌きで、やっぱり黄色く光る刀身のヤツで!


「くそぉ!臆病者の蒼鉄そうてつ王国の奴らに遅れをとるか!」


「なんだって良い!!指揮官なんだろ、死ね!!」


 と、例の指揮官の赤い人に迫る緑っぽい肌の人と紫っぽい肌の人。

 銃撃するにはちょっと狭すぎるのか、銃の先に付けた光る剣を、背中側の大きな腕で持って突きを放ったけど─────



「雑兵程度には負けんッ!!」



 例の赤い人、なんとサーベル一本で後ろのデカい腕を振り回して、銃剣ごと二人を弾き飛ばした!!


「蒼鉄程度の腰抜けに!!

 我、ハル・ヴェスタル!!我が首は落ちない!!」


「いつの時代の武将だっつーの!!」


 とりあえず、弾かれた二人を守るために、蹴りを入れて突き飛ばした。


「ガッ‪……‬やる‪……‬!!」


「武将気取りも良いけどさ!!

 こっちはそこの親切な方々に助けられたって言ったよね!?

 まだこっちの話あいしましょうって言った方を守るのが義理なのは分かる!?」


 クルリと一回転して着地。

 そしたら相手さん、またサーベルを持って突撃してきた。


「その心は認めるが!!

 それでもお前を連れて行く理由はある!!」


 叫びながら、私の高周波ブレードと刃をぶつけあういわゆる鍔迫り合い!


「一体どんな理由さ!!」


「我が帝国の正当性だ!!」


「は?意味わかんない!!」



「正当性ですって!?元より、先代王陛下の子とはいえ、あの血気盛んな第2王子が勝手に独立したのが始まりの国に、なんの正当性が!?」


 突然、くなんだっけ?さん、あの青肌の親切に挨拶してくれた人が、そう声を上げる。


 なにぃ、と目の前の赤肌の人が、そっちを睨む。



「黙れ蒼鉄!!なら貴様らにはあるのか!?!

 オリジナル・ワンの神話に縋って、ただ古い使えぬ遺跡に住んでいるだけの奴らに!!」


「我々の聖都は、我々がオリジナル・ワンの姿を模す前から、そして我々がまだそのお姿を見ることができた時に文明を教わった地では無いですか!?」


「それが軟弱というのだ!!

 現にどうだ!?我が帝国は、資源を確保している!!

 貴様らが冬まで戦えぬのは知っているぞ!?

 そして、我が帝国の進撃は次の夏まで止まらない!!」




「ごちゃごちゃごちゃ、全くわけわかんない事言ってんじゃ無いってぇのぉ!!」




 とりあえず、わからん!!

 なので、サーベルを打ち上げて、その勢いでバク転して蹴りを入れておく!


「ゴッ‪……‬!?」


 いや硬い!意外と硬いぞ硬化状態!!

 でも吹き飛ばした!!赤い兵士たちの間に赤い人が落ちる!!



「グッ‪……‬強い。

 だが、それだけでは勝てんよ、戦争は」


「は?」


「───沿岸の怪物が倒れたという報告の時点で、我が帝国の後方部隊に援軍は読んである!!」



『な、なんだってぇ!?!』


 と、周りが驚く。


 まさか‪……‬と持ってデータリンクを見たら‪……‬!



「我々、赤鋼帝国はオリジナル・ワンに似た物を手に入れる!

 そこで正当性の主張を持って、中立国との同盟を、いや平伏させて見せよう!!

 貴様ら軟弱な蒼鉄王国を吸収し‪……‬大陸の覇権を!!」




「‪……‬‪……‬無理だよ」



 私は、盛り上がる赤い人にそう言い放った。



「何‪……‬?」


「要するに、戦って勝って、帝国を大きくしたいんでしょ?

 で、私をとっ捕まえるって‪……‬


 でも無理だよ、だって、」




 ───燃える何かが転がってくる。


 さっき、コトリちゃんの操るペラゴルニスが出会ったゾウみたいな自走砲付きのイカ生物。



「私は一人じゃ無いし、」



 ズシン、


 周りに降り立つ、仲間の傭兵が乗るeX-W数機。




「もう、見つけてたアンタらなんとか帝国の後方、この頼れる怖ーい仲間が潰した」




 上にやってくる、私のペラゴルニスと、カモメちゃんの乗ったヘリとその他のみんなのヘリ。



 バババババババババババ‪……‬


 爆音が、余計恐怖を煽るのがよく分かる。

 いつのまにか赤い人が硬化を解いて、元の真っ赤な肌を見せてこっちをキョトンと見ている。




「‪……‬‪……‬まだ、やるかい?」




           ***



 海岸に乗り込んだ、私たちの潜水輸送艦2隻。

 その前方が大きく開いて、中からMWマシンウォーカーやら車両やらがどんどん浜辺に乗り込んでくる。



「すげぇ‪……‬自動車だ‪……‬歩いてる機械もなんかすげぇ‪……‬!!」



 浜辺に集まった、例の青肌の‪……‬ク・レリックさん!!名前覚えた!!の味方の方々と、例の赤い人は仲間共々縛られて1箇所に置いとかれた。

 敵国同士だけど、まぁ喧嘩はしてないみたいだね。




「やってくれる、大鳥ホノカ。軽率だぞ?報酬減額もあり得る」


「ごめんなさーい」


 我ながら‪……‬興味が勝っちゃったしな‪……‬



「‪……‬まぁ、良いだろう。勘弁してやろう。

 それより、貴重な機会が早くにできた」



 と、グウィンドリン公爵さん、悪い笑みを浮かべてあのレプリケイター?の皆さんに近づいて行く。



「‪……‬少し良いかな?」


「‪……‬!!

 オリジナル・ワンの‪……‬仲間、なのか??」


 縛られた赤い人が、顔を上げてそう公爵さん見て驚いている。



「‪……‬まさか、異性!?

 性差が見た目に存在する‪……‬!?」


「ほう?では君らはもしや‪……‬女性部隊ではなく、初めから異性が存在しない、ということか」



 ク・レリックさんの言葉に、私より頭いいだろうし公爵さんもすぐ気づくみたい。



「だが、文化レベルは同じか。

 なら、私が聞くべきはこうか。


 どちらに話せば、すぐ上の者に掛け合ってくれるのかね?」



 そして、公爵さん、なにやら恐ろしいことを切り出しちゃった。



 私でも分かるね。


 偉い人を呼べる方に、交渉をするつもりだ!




「返答の速さと仕方によっては、『紳士』としての対応も違うと思うがね?」






           ***

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