[変更済]MISSION 3 :新アルゲンタヴィス、発進だー!
どうも、愛機のジェネレーターに悩んでいた傭兵系美少女、大鳥ホノカです。
じゃ、結果発表は、あえて…………戦場でやっちゃいますか!
という訳で一曲どうぞ。
<オペレーター>
『わーたーしー、オペレーター……♪
個体
わーたーしー、オペレーター……♪
名ー無ーしー、ロボットー……♪
らーらー、ららー、らーらー、ららー……
らーらー、ららー、らーらー、ららー……
らーらー、ららー、らーらー、ららー……
名前欲しいなー……♪』
「……歌うロボットってなんかさー、もっと綺麗なものだってイメージあったな」
<コトリ>
《悲壮感と欲望ダダ漏れとは、
<オペレーター>
『うぅ……だって、だって、画面にコトリさんが喋るたびに……識別コードが出てくるんですよ……
なのに私はいつまで経ってもオペレーター……
お名前欲しいです……欲しいんです……!!』
悪かったってオペレーターさん!
最初の頃からずっとお世話になってるのに名前つけないのはどうかって思ってるって!
「でも、オペレーターさんみたいな私には勿体無いぐらいの優秀な美人ロボットちゃんに名前をつけるの、緊張するんだよな……」
<オペレーター>
『それは良いお名前を付けてくださると期待しても良いのですか!?』
やっべ!ハードルあがっちゃったよ!!
「……必ずするから、今はミッションに集中してね。
凄いな、この頭……もう見えてきた……!」
レーダーの端にいる敵、今回の目標。
すんごい巧妙に隠れている相手が、もう中身までくっきり。
<オペレーター>
『流石、
こちらのヘリのレーダーも大和重工製ですが、それと同レベルのレーダー範囲と、それ以上の精度……!』
<コトリ>
《大和重工製標準頭部、『
八式武蔵フレームは、名前の和風さと裏腹にゴリゴリの狙撃専用フレームなんだ。
特にこの頭部、曰く『標準型』の癖に下手な狙撃戦フレームよりカメラ性能もセンサー性能もセンサーの数も色々ヤバいスペックだ。
若干見た目より重くて、装甲が無いも等しいけどヘッドショット決められることなんてほぼ無いしね》
コトリちゃんの言葉に嘘偽り無しだな。
右腕のスナイパーライフルちゃんの限界射程以上まで見えてるもん。
<コトリ>
《八式武蔵の頭、FCSは若干ロックオン範囲とかが狭いからミサイルとかには向いてないけど、
コイツ下手な高機動戦向け頭部よりロックオン速度が早いんだ。
同じ大和重工の腕か、バーンズ腕ならその爆速ロックオンにすぐ2次ロックが追いつく。
悔しいけど、多分君の適正に向いてるよ》
「じゃ、そろそろ射程圏内だし、目的の『不法武装集団』達を排除しようか」
私と繋がるアルゲンタヴィスの新しい頭部が、下砂漠に隠れる戦車達を見る。
<オペレーター>
『改めて言いますが、目標は敵不法武装集団の排除です。
敵の武装は、本物の戦車です。硬い装甲と長射程の主砲。
それも、
車高も低く、普通に銃撃戦を仕掛けては確実に打ち負けるでしょう。
真正面からでは、アルゲンタヴィスの75mmライフル二つとも、弾かれる可能性もあります』
<コトリ>
『ま、eX-Wなんだ。
その程度の兵器は、撃たれても避けて撃たれる前に近づいて殺す事だってできる』
「でも私は安全策をとるよ、ってのが事前の作戦でしょ?
じゃ、早速だけど新ジェネレーターの力も見ちゃうか」
<コトリ>
《ブースターもわざわざ、『AIB-01 サンタ・アナ』に変えたんだ。
同じ出力でも、燃費が違うやつだ》
「はいはい。
じゃ、早速行こうか!」
<オペレーター>
『了解。機体を切り離します』
ガコンと衝撃。
そして、真上のオペレーターさんが操縦するいつもの巨大なヘリが離れていく。
<コトリ>
《メインシステム、戦闘モード起動。
速攻でやろうか》
よし!
じゃあまずは──────
***
人類生存圏バリア内部、ガリブ砂漠地帯。
『まもなく、敵の忌まわしい二足歩行のオモチャ降りてくる。
下は地雷原だ。足がやられたところを集中砲火しろ』
砂漠の起伏を利用し物陰となる場所へ隠れ、目的であるeX-Wの予測進入範囲を狙う戦車部隊。
『勝てますかね?相手は
『そんなものまやかしだ。
二足歩行なんぞに、歴史と伝統ある戦車が負けるか!
被弾傾斜、低い車高、脚より安定した履帯がある!
何がEシールドだ……減衰すればこちらの側面装甲程度の硬さだ。
だが動きは厄介だが、足さえ潰せば────』
カカンッ!ボォン!!
一機の戦車が爆発する。
『狙われた!?
どこからだ!?!』
『狼狽えるな!!我々機甲紳士同盟は狼狽えな、』
続いて、また一機が横から攻撃されて爆発する。
『横に!?いつのまに!!』
砲塔が動き、履帯が唸りを上げて即座に相手へ120mm口径砲を向ける。
的に対し斜めに車体と砲塔を向ける事で、疑似的な傾斜装甲を産むセオリー通りの動きだ。
同クラスの戦車の砲を防ぐことも可能な基礎戦術を持って、敵の攻撃を防ぐ。
────はずだったその戦車が、一発で撃ち抜かれて炎上した。
『馬鹿な……75mmのはずだ相手は!?
正面からでは…………なんだと!?』
生き残った戦車が後退しながら相手を見て、彼らは最も大きな間違いに気づいた。
『飛んでる……!?』
***
<コトリ>
《なんでお前らが時代遅れなのか教えてやるよ。
戦車は、戦車のままでは飛べない》
コトリちゃんの事前説明通り、相手を斜め上から撃てば簡単に装甲を貫通することができた。
しかも、すっごい当たりやすい位置じゃん、上からだと!!
<コトリ>
《eX-Wは、空が飛べるし空からお前らのよりは小さいけど、十分戦車砲と言える弾丸をぶっ放せるのさ!
それに!》
相手のロックオン警報。
即座にアサルトブーストで真横によけたら、当たりたくないなぁっていう勢いの砲弾を避けられた。
けど2射目に当たっちゃった!
ガコンってシールドごと衝撃で押し込まれちゃったけど、なんとか立て直してすぐお返し!!
<コトリ>
《コイツを撃ち抜きたかったら、レーザー入りの最新型用意しなよ!》
コトリちゃんテンション高ーい!!
でも気持ちがわかるね!!
アルゲンタヴィスがこれだけ空中にいても、全然エネルギー減ってない!
ジェネレーター、フラウロス?っていう高いのにして良かった!!
<コトリ>
《高度下がってるよ、地面に地雷あるから気をつけて?》
視界に映る地雷の3D映像に気をつけて地面に着地。
さてこっからは地上戦……
「コトリちゃん、戦車ってなんかゴキブリっぽいね」
<コトリ>
《黒くてしぶといから?》
「というより……改めて見るけど思ったより昆虫みたいに薄い!!」
飛んできた戦車砲を、ブーストで避ける。
地雷に気をつけて……ってかエネルギー回復早すぎて、回避が気兼ねなくていいねー!
<コトリ>
《それが厄介なところさ。
戦車って、当たりにくくて硬くて強い。
だから陸戦の王者って言われてたから、時代遅れって言ってもまだ現役なのさ》
スナイパーライフルを一発……弾かれた!?
そんなのも見えるんだ……この頭!
<コトリ>
《ガチタンのご先祖なだけあるよ。
でも、さっきみたいに上からとか横からなら抜ける》
「もう一回飛ぶ?」
<コトリ>
《……それで勝てるし、ちょっと遊んでみない?
本当はもっと早く教えたい技術があるんだ……》
なになに…………なにそれ!?
「マジでやるの!?」
<コトリ>
《回避上手いけど、これやるともっと避けられるよ。
やってみなよ、ちょうど地雷原だし練習になるよ》
じゃあやってみますか。
ちょっとした、eX-Wしかできない戦い方を!
***
『ちょこまかと……!おのれ!!』
たった一機のeX-W相手に翻弄され、戦車を操る武装集団は焦りを覚えていた。
『お前も随分当てるのが上手い!
だが!!命中精度で!!
砲兵以外に負けてやるわけにはいかんのだ!!』
未来予測線照準。
戦車砲が放たれる、その時、
eX-Wは、跳んだ。
『何!?』
飛んだのではない、跳んだのだ。
完璧に合っていたはずの予測線は、上下に外されてしまい、砲弾は脚の下をくぐり抜ける。
その後、タイミングを読んで発射されたはずの友軍戦車の砲弾も、ピョンピョンという言葉の似合う動きによって外される。
『ふざけているのか!?
いや……そのふざけた動きに何故!!』
***
ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、上下に前後にぴょんぴょん跳んでー。
なんてこった、こんな連続ジャンプで相手の攻撃の回避がかなり簡単に!?
<コトリ>
《eX-Wでも言えるけど、例えば左右に激しく動くだけでもお互い照準が難しくなるのは常識じゃん?
だからこそ生まれたのが、このおふざけにしか見えない割に有効な戦術運動。
その名も、『小ジャンプ移動』。
ちょっと速度は遅くなるけど、普通のブーストより低燃費で、意外とこれが相手の人力の狙いもAI補正も混乱させられるんだ。
こっちは『腕』っていうフレキシブルな稼働する武器を保持する要素あるから、当てられるけど》
しかもこの動き!!
足元の地雷を縫うように安全な土の上で移動できるから、凄い便利!!
<コトリ>
《戦車程度にはこれで充分だね。
目標、あと一機!》
「これでゼロ!!」
最後の相手にも、真上から装甲を打ち抜いて終わり。
動く物はレーダーになし。
はい、あっさりミッション終了ー!
<オペレーター>
『全目標の撃破を確認しました。
ミッション、終了ですね』
<コトリ>
《一発くらっちゃったのは残念。
ま、ちょっとの修理費と、最低限の弾薬費でなんとかなるくらいか》
「これで20000cnかー。
えーと、ここから弾薬費と修理費抜かれて、15000cn貰えりゃ良いかなってやつ?」
<コトリ>
《ま、慣らし運転って意味なら良かったんじゃない?
フラウロス、まぁたしかに良いチョイスだよ。
今のところ買える最高級か……》
「あーあ、でもだいぶお金飛んじゃったなー。
もういっそ傭兵登録だけしたまま、何もしないで過ごした方が安かったりして?」
<オペレーター>
『それはやめた方がいいですよ?
事情がない場合、二週間に一度任務をこなさないと契約違反金5000cnを我がトラストにお支払いいただきますから』
「うわマジか!
知らないで真面目に受けてて良かったー!」
<コトリ>
《ははは、美味い話なんて、この世にそうそうないのさ。
ま、今日はこんなので良いじゃん?帰ろうか》
ま、そうだねー。
真上にオペレーターさんのヘリも来て、もう買える気満々の空気だし。
「じゃ、次も真面目に傭兵しなきゃな。
辞めるまでは、ちゃんと稼ぎますか!!」
傭兵少女、大鳥ホノカちゃん!
じゃあ気持ちも新たに、明日から頑張るぞー!
目指せ、500万
目指せ、普通の生活に戻る!!
「じゃ、今日は質素に湯豆腐でも作るかな……」
***
アルゲンタヴィス作戦領域ギリギリの位置、
一機のeX-Wがいた。
細く頼りなく、腕はレーダーであるどこか女性的な体型にフロート型。
AI社製『AIE-04 オーロラ』フレーム。
彼女は
彼女は、
目的は、戦場の情報を持ち帰り、観測し、傭兵をオペレートすること。
『フェアリー、スノウウィンドより通信。
アルゲンタヴィスの戦闘データと、戦闘中の会話データを送ります』
『ご苦労。すまないな』
『いえいえ、我々トラストの理事の一人の命令ですもの───────
─────人類生存圏街都市兼巨大歩行要塞『エデン・オブ・ヨークタウン』
第3甲板内、マッコイ商会応接ソファー。
「リアルタイム情報も満足している。
敵が旧式とはいえ、こちらが欲しい情報は貰ったよ。
帰投してくれ」
『了解♪』
ふぅ、と携帯を切る新美クオン。
食べかけの棒付きチョココーティングされたバニラアイスを一口。
「大鳥ホノカ。お前で28人目。
今後もそのまま成長してくれ、イレギュラー」
そう呟いて、再びサボリに戻るクオン。
ただ彼女は黙って、何もしないに精を出していた。
「……こうしてダラダラ出来るのも、『ギフト2』が来るまでか…………
忙しくなる。一番嫌だな、忙しいのは」
そうして、勝手にソファーにゴロンと寝転んで、ただ彼女はアイスを食うだけの状態を満足するまで続けるのだった。
「……ソラ。お前はなんて役割を私に寄越したんだ」
***
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