Chapter 2
[変更済]MISSION 1 :高出力ジェネレーターは傭兵の人権です
私の名前は、大鳥ホノカ。まだ15歳。
多分この火星の人間じゃまぁ顔はいい方で、おっぱいはちょっと邪魔な程度には大きな普通の可愛い女の子である。文句あっか?
でも顔も知らない母親の借金のせいで身体を売った私は、
機動兵器『エクシードウォーリア』、略称は『
身体を売るってそういう事かい。
なんなら、仕事の為に強化人間手術して、脳以外人っぽいけど完全な機械の身体にしたし、マジで身体売っちゃってる。
何気に身体のパーツ売った金と改造費用同じなので実質タダだよ。
そうそう、クズなお母さん借金は秒で返せたけど……しってる?
企業複合体『トラスト』、私達
この
レートは私が住んでた勢力『ユニオン』の通貨『円』と比べてなんと脅威の『1cn=1万円』という凄まじいレート!
こんな状態でユニオンのお仕事がそれなりにあるんだからさ、それをどうか貧乏だった私のおばあちゃんに配ってやって欲しかったな、過労で死ぬ前にさ!
正直傭兵って、辛い!
死ぬ様な目にあって、胸糞悪い任務こなして、平均報酬2万!!新人だからだけど。
私は、まぁ人殺す才能あったとかいう嫌な事実やら、面倒な任務にお金に釣られてホイホイ死にかけてまで戦ったおかげで、今はようやく手持ちのお金は156000cnなのだった。
長くなったけど、さてここからが本題なのですよ。
さて私は、初めての任務で得た報酬で、とある30cmぐらいの三等身な可愛いロボット、ウェザーリポーターっていう商品名、愛称は「コトリちゃん」を購入したんだ。
コトリちゃんは、本当はeX-Wの無人機化用人工頭脳で、なおかつかつてはスワンやってた人間の経験と記憶と人格をコピーしてできたもの。
お陰で、本来の用途とちょっと違うけど、色々かわいい見た目に似合わない手厳しい〜、アドバイスで生き残ってきたワケさ!
で、そのコトリちゃんが、今朝、
早速いつもの
《そろそろ今使ってるジェネ売って、もう少し高いジェネレーター買い替えようよ。
20万ぐらいの奴は必要だよ》
───場所はいつものマッコイ商店。
コトリちゃんのセリフはここで聞きました。
「マジで?」
ここで簡単に説明しよう。
機体の色も左肩のエンブレムも好き勝手できるよ。
ちなみに私の商売道具の「アルゲンタヴィス」の色は、グレーと黒とちょっと黄色。
エンブレムは、コンドルが銃持ってる奴適当に選んだよ!
「でもコトリちゃん、私お金使いたくないんだけど?」
さて、当然と言うか、私は事実上500万cnの借金を抱えているも同然なので、そう反論はするのだ。
《知ってる。
でも君も知っているはずだろ?
スワンにとって、ジェネレーターとは何か?》
さて、そんな
「高出力ジェネレーターは、
高推力ブースターは、
だっけ?」
《その通り。
覚えていてえらいぞ》
大きいミトンみたいな手を、ラーメン屋の店主みたいに組んで、つぶらな黒い
私のおバカな子だけどさぁ、そんな褒め方するほどぉ?
《良いかい?君はこの前の任務で『リミッター解除』っていう奥の手を使ったんだ。
ジェネレーターの出力を増大させるこれは、大半のジェネレーターが使えば限界時間を超えたら破損する。
問題は、この前は難易度に似合う弾薬費・修理費依頼主持ちだったからよかったけど、
これにまた頼ったら修理費で最悪マイナス収支の借金になっちゃうぞ?》
「ぐわー、たしかにそれは嫌だー!」
傭兵は基本、機体の弾薬費と修理費は自腹である。
2回目の任務、意外と弾代がヤバかった。そんなに撃ってないのに、1/10は確定で削られてた。
《現実を見せてあげよう。
マッコイ、持ってるんでしょ?
見せてあげなよ、修理明細書》
「はーい♪
もちろん持っておりますわ〜」
呼ばれて来たのはこのマッコイ商店の主人にして、和服の似合う黒髪美人のマッコイさん (本名は分かんない)。
年齢不詳だけど、物腰は妙齢のマダム、肌の張りは同年代かちょっと上、そんな本当に不思議な人。
ただし……
「なんで、インペリアルに請求されたらしい領収書を持ってるんですか、マッコイさん?」
「それはもちろん♪
……もしもワタクシのあずかり知らない間にワタクシのお店以外でパーツなど購入をしたかもしれないと考えただけで!!
ワタクシ!!どうにかなってしまいそうですものぉ!!そんなの耐えられない!!
うふふふふふ……!!チェックしなければ、安心していられませんわ〜!」
見ての通り危ない笑顔で危ない発言をかますせいで、良いパーツショップなのに今日も私以外は閑古鳥泣いている原因となっている悲しき人です。
いやどこで買おうと良いじゃん!?
メンヘラかな?ストーカーかな??
私ただのお客だぞ!?
怖いよ毎回こうやって私の明細書をどうやってか手に入れてぇ〜…………明細書チラリ。
「ぴょッ!?」
訂正。マッコイさんなんか怖くない。
むしろ品揃えも商品説明も丁寧な店は利用しないてはない。
そんなマッコイさんより、この前の戦いの修理明細書、最後は依頼主である火星3大陣営が一つ、インペリアルが全額負担してくれたこの明細書……!!
負担してくれてよかった。
修理費:185600cn!!
前払い7万、追加10万
「すげぇ機体修理費……!!
そりゃコアに穴空いたけどさ……!?」
「コアの穴だけじゃないんすよ、ホノカちゃーん」
と、ここでこのマッコイ商店付きの整備士で、私と同じ強化人間で背中から追加ロボットアームを生やしているツナギ腰巻き褐色少女なユナさんが登場だ!
マッコイさんより遥かにまともだし、この前依頼終わった後の打ち上げのお好み焼き食べ放題、割り勘でも誘ったら来てくれた程度には仲がいいんだー。
その時知ったけど、お好み焼きは王道の海鮮ミックス派でナカーマだった。
豚玉もいいけど、イカとエビがあった方がいいじゃん!
照り焼きチキンに明太チーズも良いけど、結局は海鮮の旨味じゃん!
おっと長くなるから割愛するね。ごめん!
そして、何よりこう言う時の解説には整備のお人の知恵がいる!
「やっぱジェネレーターリミッター解除ですか」
「ジェネレーターリミッター解除に決まってんじゃないすかホノカちゃーん?
あれやったらジェネレーターは同じの買い替えと同義っすよ、セラフィムぐらいじゃ」
ちなみにセラフィムは今使ってる機体のジェネレーターで、10万cnした奴だよ。
「買い替え……10万吹き飛ぶかー!」
《リミッター解除は、文字通り奥の手だしね。
昔、色々あった戦いの中で、オプションパーツからある一定出力のジェネレーターには標準搭載になったけど、
今でも、一部企業か、最高級クラスのジェネレーターじゃないとリミ解は使うにはこう言う覚悟のいる武器なんだよ》
「前にもチラッと話したかもしんないっすけど、そもそもこのジェネレーターってパーツは、中でワームホールっていう異次元だか異世界に通じているらしい、でも直径1ミリでもデカいと言われるレベルの穴開ける装置で、
副次的な効果でその異次元に通じるとか言う穴的なやつからバカみたいな電気エネルギーを直接取れるって言うものなんす。
リミッター解除は、そのワームホールとかを無理やり規格外のサイズにこじ開けて、周囲の装置が『異界送り的』な事になるの覚悟の上でエネルギー出力を上げる行為なんすよ」
「改めて聞くと、これってじゃあ、お尻の辺りにその異次元行きの穴が空いてるって怖いなぁ」
「まぁセラフィムサイズだと、直径0.2ミリぐらいらしいですし、それでオイラ達異世界転移やら異次元送りとかはないっすよ、0.2ミリじゃ」
「そんな超技術でも、エネルギー管理は初めて貰ったあのジェネレーターよりマシとは言え、キツいわけ?」
《そうだよ。
船も戦車も戦闘機も。それを支えているのは足腰とブースターの運動性能だ。
それを支えるのが、ブーストという特殊な推進機関。
上下、前後、左右、即座に動けるアサルトブースト、
緊急脱出用なのに今じゃ敵との距離を縮めるのにも使うストライクブースト、
これらは同じブースター使った戦闘機程度じゃ出来ない動きを可能とし、人型の汎用性を保ったまま多砲塔戦車がやりたかった事を可能としている。
そしてそんな無敵な性能を支えるには、
異次元に穴あけて電力を得るしか無いんだよ。
それでも、この価格帯のジェネじゃもう限界だ》
ずいずい来て至近距離まで顔を近づけて言ってくるヒナちゃん。
まぁ、ユナさんに持たれてだけど。
「……投資が、いる的な??」
《ジェネレーターはスワンの人権。
人権。人は憲法や、それ以前の基本的な権利として持つものだ。
それに例えられるようなものとしてただの超技術ではあるけど発電するだけの装置があげられる理由は、君も前の任務で実感したはずだよ。
動けなきゃ死ぬ。人権のない肉塊になるんだよ、戦場で動けなきゃね。
例え、優秀なフレームがあっても、クソみたいなエネルギー出力のジェネレーターではその性能は半分の物になる。
例え、強い武器があっても、それを支えるエネルギーが無ければただの重いお飾りにすぎない。
例え君がどんな機体でもスペックの1000パーセントを引き出せるチートなパイロットでも、ジェネレーターがカスでブースターがゴミならその機体の1000%なんて、まともなジェネレーターとブースターの機体の45%でしかないんだよ。
今も流行りらしい、異世界転生チート小説、私ももう頭の中まで機械のくせに意外と好きなんだけどさ、
つくづくこの世界は、そんなチートあっても死ぬ様な難易度なんだなって思うよ。
まぁもしこんな火星に生まれ変わるなんて業を背負うなら、私がオススメのチートは『最高級ジェネレーターと高出力ブースター』だね。女神に頼みなよ。
ま、女神じゃなくて今日は頼れる死の商人マッコイに頼むのと、
最高級じゃないけど、20万cn辺りのジェネレーターを買おうって言うのが一番言いたい事。
修理費に失うより絶対いいよ?
まだ異世界転生するような事態になりたくないでしょ?》
ズイズイくるコトリちゃん。すごい迫力である。
まぁ言いたいことは分かる。
お金が欲しい。死にそうな任務ばっかりの傭兵は嫌だもんね。早く辞めたーい!
でもまずは、戦場で死にたくはないのです。
「お金も欲しい。死にたくはない。
両方やらなきゃいけないのは辛いねぇ……」
《で?》
「分かりましたー、コトリちゃんの言うこと信じますー。
じゃあ、せめて20万cnの中でも一番良い奴さがそうか」
仕方ない……酷い目にあって手に入れた金、プラス今のジェネレーター売っぱらって得れるお金全額使っちゃう!!
《まぁまだ素直な方か……》
「毎度ありーっす。
まぁホノカちゃん、気を落とさずにっすよ。
だって
「まぁユナさんが言うならさぁ……あ、じゃあさヒナちゃん、もう一個いい?」
さて、ジェネレーター買う前に……一個だけ相談があるのだ私は!
《何かな?》
「一緒に、頭部パーツ変えちゃだめ?」
…………………………
《……ゴフッ!?》
おぉっと!?コトリちゃん突然ダメージを受けた!?
《そんな……そんな……
そんな……強化人間に否定されるなんて……!!》
うぉぉ……なんか申し訳ないぐらい地面に突っ伏してプルプル震えてショックを受けておられる……!
まずい事しちゃったかな……
と思ったら、ガバッと顔を上げて手と手と近づいて胸ぐらを掴んでくるコトリちゃん(全長約30cm)
《理由をまず聞こうか。
納得するしないは別に、理由を……!!》
「うーん…………なんといえばいいのやら……」
待ってね。私ちょっと言いたい事整理するね。
うーんと……そうそう、
「ヒナちゃん、あの頭……リトロナクスさ、両腕のライフルより、なんかロックオンって出来る距離短くない?」
────それを言った時のヒナちゃんは、つぶらなおめめと白い口も鼻もない顔だけのロボットフェイスに、明らかなまでの「やっぱりかぁ」という難しい顔を見せていた。
「あとね、なんかさ……
目がいっぱいあるのにはもう慣れたよ。
でも、ちょっと複眼の視野が広すぎないかな?
後やっぱ、遠距離のロックオンが近距離より遅い感じ……」
追い討ちかけるつもりじゃなかったけど、コトリちゃんは、そのロボ顔にミトンみたいな大きな手を覆い被せて深く項垂れていた。
《……………………やはりか……やはりかー……
昔、まだ私のオリジナルが生きていた頃、
君と同じような、射撃適正の高い狙撃戦得意な子が全く同じこと言ってた……》
えぇ…………
《くぞう……もう何十年も改良を加えたんだぞ……
いや、違うな……言い訳っぽいけど……
…………オーグリス・ウェポン・サービス、O.W.S.の機体フレームは、
神経接続、脳と直結したコンピュータによる並列演算処理による反応速度……空間認識能力の向上に、身体の機械化による対G耐性。
それは、機動兵器
F103-h L-argestes、ことリトロナクスも、狙撃型とはいえ超高速戦闘での狙撃戦というべきか、
広角FCSと複眼による視野の確保で眼に映った瞬間狙い撃つみたいなことを想定している……》
「なんか、昨日やってた大昔の西部劇の早撃ちみたいな」
《でも君は、多分だけど多少視野が狭くても反応できるんだろうね。
そうさ、生前縁のあったその子もそうだったな……
分かった。じゃあジェネレーターと一緒に頭を売って変えよう……正直不服だけど……
……思い当たる頭部パーツがあるんだよ。
幸いというか、O.W.S.とも関係が深い企業の製品だからさ》
おぉ、いつもの冷静なコトリちゃんに戻った!
でも1発殴られた。痛い。
「なら安心だね。コトリちゃんの選んだパーツに間違いはないよ」
《リトロナクスは選ばれなかったけどねぇ》
なんだよ、褒めたのにちくちく言葉で返すのー?
《まぁいいや。
ついでにその二つ以外も予算の範囲でちょっとブースターも変え────》
「失礼します。
マッコイさん、お客様ですよ」
と、ここでまた私の仲間が登場です。
綺麗な銀髪、柔和な美人、だけど関節やら耳にあたりは機械的、
ソレイユモデルとかいうアンドロイドの美人オペレーターロボ、オペレーターさんだ!
名前が欲しいっていつも言ってくるよ。
「オペレーターさん!充電終わった?」
「はいホノカさん。ヒナさんが朝イチでしたので遅れましたのと……その」
というか、
後ろの人誰?
そうオペレーターさんの背後に一人スッゴイ美人な白いビジネススーツのお姉さんがいたの。
モデルかよ。細いのに出るとこ出てるし、開いてる胸元私並みか!私よりウェスト細いぞ!
ボブカットの白髪に切長な目に目鼻顔立ちはっきりクッキリすっごい美人だな!羨ましい!!いや勝てんですわこの造形……
何者だい!?
「うおあッ!?!
なんでアンタみたいなお方がここに!?」
「知ってるのかユナさん!?」
「…………あらあら、珍しい人が来ましたのね。
ランク1?」
驚くユナさんを尻目に、何やら面倒臭そうな顔を見せてそう言うマッコイさ……
ん?ランク1?
ランク1って言った今!?!
「珍しい。たしかに、この所はスワンとしても、トラスト理事会の一人としてもだいぶ忙しかったからな」
そう言うその美人さんは、とことこマッコイさんの方に近づく。
その間に、ささーとオペレーターさんに近づく私。
「オペレーターさん、この人……ランク1って!?」
「はい。
こちら、現在
いえ、ランカースワン最強の地位である『ランク1』、
恐らく対スワン戦撃破数、任務達成率全てにおいて現在トップである、『新美クオン』様です」
マジだ……
この前撃破した、巨大な自立兵器を2機だけで何とかするレベルのスワンの一人!
「そして……」
「そして?」
「……企業複合体『トラスト』構成企業の1社であり、トラスト内3大派閥の一角、『AI社グループ』の事実上のトップにして、
言わば、私のようなソレイユモデルの製造元の社長であり、スワン達を管理するトラストの中でも一番偉い人たちの一人です」
えぇ!?
肩書きすごすぎる人じゃねぇ!?
なんでそんな人が、こんな人の来ないショップに?
というか、マッコイさんに用!?
「にしても、ひさびさに会った妹相手にその態度は寂しいですが、キツネ姉様?」
なんと、その偉い人のランク1さんから、信じられない新情報が出てきた。
え、今のはマッコイさんの……本名!?
「ここではマッコイと呼びなさいな。
可愛すぎて、迫力がないものワタクシの本名って」
「姉様……生まれてから呼んでる名前の方が慣れているのですが?」
というか、
マッコイさん、いやキツネさん?
ランク1の実の家族なの!?
***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます