[変更済]MISSION 14 :超音速で出撃だー!





「あ、なんかアルゲンタヴィスの見た目違う」


 私ことキツい傭兵業やってる女の子、大鳥ホノカの愛機であるアルゲンタヴィスは、運ばれてきたその形がなんか違ってた。


 ちょっとだけ、胴体というか乗ってる部分が気持ち細いような気がする。


「おーい、ホノカちゃーん!コトリちゃーん!」


「あ、ユナさーん!」


 右腕二つを上げる我らが頼れる強化整備員、ユナさんが早速やってくる。


《言われた通りやってくれたみたいだね》


「なんか形違うね。何アレ?」


「あれが、ホノカちゃんが大穴勝ちやった結果の賞金っす。

 CLM-504G、バーンズアーマメンツ製軽量級コアっす。

 気持ちバーンズフレームにしちゃエネルギー防御高めですし、装甲厚はやっぱ薄いっすけど、1001Bや1600Hと同じバーンズ製らしく実防御は高めっすね。

 何より、1001Bより遥かに軽いんす」


《君の適正的に、ライフル外したくないけどやっぱ弾もいるしもうちょい武装増やしたいとは思ってたんだ。

 1001Bの脚は悪くないけど、コア中量級を謳うくせにめっさ重装タイプのコアだしさ、いっそコアだけ変えたいと思ってた時に、君のアリーナ戦勝利と傭兵ランク昇格であのコアがもらえたんだ》


「で、積載量ってやつの調整で早速変えたんだ?」


《そう。

 積載量っていうのは、正確には『運動性能保証積載量』って言うんだ。

 実際はもっと乗るけど、運動能力が死なない程度の重量制限を普段は『積載量』って言ってる。

 この積載量の値までは、脚のカタログスペック通りの動きができるんだけど、軽ければもっと当然軽快に動けるんだ》


「ふーん‪……‬アルゲンタヴィスもダイエットってことか。

 あれ、でももしかして見た目通り中は狭いのかなアレ?」


「まぁ狭いっすね。

 でも強化されてたらそんな気にならないっすよ」


「狭いかぁ‪……‬あ、じゃああの背中のは?」


 左側の背中に背負う、なんか物々しい武器。


《あれは、カチューシャクラート製の脅威の技術。

 本来の名前は、『サリュート-240』。


 まぁ、みんなはこう呼ぶけど。

 『大ロケ』。大型ロケット砲だ》


「大ロケ‪……‬なんか凄そう‪……‬!」


「ロケットって、eX-Wの武装としてはロックオンができないデメリットがあるんすけど、だいぶ真っ直ぐ飛んでくれる上にグレネード並みの火力を中々早い弾速でぶっ放せる、使い方と任務によってはだいぶ良い武器なんすよね。

 何より、買う値段も、弾代も、威力とかの割に安いんすよ。

 なんせクッソ単純構造っすから、ロックオンする機構無しですんで、もうマジで安上がりな構造なんすよ」


 あー、なるほど。

 また初めて使う武器だしちょっと不安だけど、まぁヒナちゃんの選ぶセンスを信じようか。


「カチューシャクラートの武器は、HEATライフル以外は懐に優しいんで。

 ほら、あそこのインペリアルの騎士さん達乗ってる機体、細いアレ全部カチューシャクラートの軽2フレーム『スプートニク-334』なんすよね。

 極端に薄い訳じゃないけどまぁあんまり期待はできない防御力の代わりに機動性と低燃費突き詰めた奴っす。

 まぁ、低燃費性でいえばAI社のハードレインに負けて、射撃安定性と装甲が若干買ってるって塩梅の奴っすね」


「ユナさん、詳しいなー。

 ‪……‬でもさっきから周りキョロキョロしてますけど、何か気になるんですか?」


「あー‪……‬いや気になるとこだらけっすよ、柄にもなくこんな説明しちゃう程度に。

 ほらあそこ見てほしいっすよ」


 と、空いてる背中の腕で指差す先、出撃準備する整備の人と、パイロットスーツのインペリアルの人がいる。


 ‪……‬?普通の光景じゃない??



《あーマジか。

 そりゃ気になるわ》


「え、何かヒナちゃんは分かったの?」


「説明しようっす!

 アレ、パイスーの子多分元整備兵っすね。

 で、整備兵の子は新人っす」


「へー。そんなの分かるの?」

 ‪……‬で、それが?」


「‪……‬‪……‬インペリアル、その名の通り軍事力に重きを置いて、他の二つの陣営以上に攻撃的なところなのは、ユニオン出身なら知ってるっすよね?

 その軍事力偏重は、1回財政破綻してトラストに金借りて立て直ししているレベルっす」


「そこまでして軍隊強くしてるの?

 いや私の住んでたとこも、もっとそこに金使えよってことはあったけどさー‪……‬」

 

「でも、これ実はもう一個理由があって、今回の自立兵器の対応と、人類生存圏より外の世界の構築が一番でかいんすよね」


 あれ、もしかして?


「‪……‬そうまでして外に住みたいの?」


「そもそも、金貸すってことは利子付きで戻ってくる前提じゃないすか、金貸しにとっちゃ。

 インペリアルには金貸すだけの信用になる担保があるんすよ。


 それが外の土地っす」


「土地‪……‬?」


「‪……‬‪……‬インペリアルは名前通り帝国主義っていうか、専制君主制、つまりこの時代で王様っていうか皇帝がいるうえに貴族制もある古臭い場所っす。

 おまけにさっき言った通りの財政破綻してまで軍備を拡張してます。


 でもそれも、三陣営で唯一の食料自給率120%の、バリアの外の大地の広大な穀物地帯をもってるからできる芸当であり、そこ守るための軍事力なんすよね」


 わぁ!

 なんか、しっくりきた気がする!


「ユニオンが顕著っすけど、最近は人口増加が原因で人類生存圏のバリア内部の土地が足りなくなる危険があるんすよ。

 ユニオン、民主主義っていうことはつまり「俺たちがよけりゃそれで良い政治」を良しとする、オイラ達みたいなヤツらの投票権で動いてるじゃないすか?

 オーダーみたいな人口の徹底管理も厳しいでしょうし、それで最近は内部の土地問題でいざこざも多いんすよ」


「えー?

 私の住んでたところ、家ガラガラだしそこ立て直せば良いじゃん!」


「そこに頑固老人でも住んでいりゃ下手に手出しできないんすよユニオンは。


 インペリアルは、もうこの人類生存圏出来た最初期から、ずっと外への拡張を唱えてきた集団なんすよ。


 自立兵器に怯えて暮らすぐらいなら、アイツら滅ぼしてその土地を自分らの物にする。

 例え侵略者と罵られようと、人類の住む場所を拡張すべく戦うと


《だから、『帝国主義インペリアル』って名前になった。

 本当の帝国になるとは思わなかったけど》


 へー‪……‬

 あの兵隊さん達にそんな歴史があったんだ‪……‬


「ただね。インペリアルは三陣営で一番人口が少ないんすよ。

 いや、減りやすいとも言うっすね。

 なんせ、自立兵器相手にほぼ常にどんぱちしないといけないんすよ?


 で、あの整備兵上がりのパイロットと新人整備兵、どういうことか分かるっすか?」


「うん?」


「‪……‬兵隊足りなくて、無理矢理訓練繰り上げされたんすよお互いに。

 あー、クッソ整備兵だいぶ抜かれてやがるっすよここ‪……‬!!

 そういうバックアップ抜きで、戦う方の人らがまともに帰って来れると思うっすか?」


「‪……‬なるほどね‪……‬」


 なんだろう、それってやばい気がする。

 ほぼほぼ私レベルの新人の兵隊さんと、明らかにユナさんより慣れてもいない整備の方々。

 不安しかないってことだけはよーく分かる。

 何もかも不安ってだけはよーく‪……‬


「あ、ちょっとごめんなさいっす。


 おいソコのひよっこ整備!!!

 お前その潤滑剤ソコに入れたら爆発して死ぬぞボケェ!!!」



 と、ユナさん小走りで近づいて、なんだか頼りなさそうな整備兵の人を殴る。


「イッ‪……‬!」


「イッじゃねぇんだよ、お前のせいで出撃する人間減らす気か!!

 周りを見ろ!!お前注意する暇もねーぐらいの忙しさだろうが!!

 ボーッとしてんじゃねぇ!!!

 オイラ達ちゃぁ、傭兵だろうが正規兵だろうが、安全に安心に戦場に送り出すのが役目だろうが!!

 そこの薬剤間違えるだけで一機が爆散すんだ!!

 その余波で何機犠牲になんだ!!

 銃弾なんていう分かりやすい死神飛んでる場所じゃねぇっつってもここは戦場なんだよ!!

 部外者にゲンコツ喰らうようなら辞めちまえ整備!!」


「ごめんなさい‪……‬ごめんなさい、すんません」


「謝ってる暇あったら、さっさと薬品の表示に注意して入れろや!出撃前だぞ!?」


 相手は、すっごい剣幕で怒られたけど、逆にシャキッとして今度はなんか間違えないように整備に戻る。

 ────ついでに、多分ユナさんのいう整備兵から乗ってる感じにさせられた人に殴られてた。


「ったく、アイツも可哀想っすよ!

 あんなまだ上の整備の先輩にぶん殴られたりないヤツが、eX-Wの専属任されるとかマジで人手不足の地獄の戦場っす」


「体育会系だねぇ、ユナさん。

 あの人もあんな殴られて、なんで逆にやる気出してるんだろ?」


「自分のせいで人殺す前に、青タン3個で済むなら気が楽っすよ。

 分かってるんすよ、自分でも殴られることしちまったって。

 あんな素直なヤツを放り出すしかないってのもなぁ‪……‬」


「‪……‬プロだねぇ、ユナさん。

 私が生きて帰れる訳だよ」


 思わずそんな感想が私の口から漏れちゃった。

 と、ユナさんは一瞬キョトンとしたら、にかっと笑ってくれた。


「そりゃ、金払いもいいし素直な良客のためっすから!

 じゃ、この分じゃSSSBを装着するのも時間かかるんで、このままオイラやってくるっすわ!

 ホノカちゃん、早速乗って、指定位置移動お願いするっす!」


 そう言ってどこかへ走り出すユナさん。

 さて、じゃあ言われた通りの用意しなきゃね?



          ***


 ほとんど寝そべってるようなコックピットに身体を入れて、ハッチが閉じればまるで棺桶。


 コトリちゃんはセット済み、私の背中も機体とつなげてる。


《メインシステム、通常モード起動するよ》


 コトリちゃんの声と一緒に、目の前が光に包まれる。

 強化した私がアルゲンタヴィスの視界と、何もかもと接続して、準備完了。



<コトリ>

《よし。まずは指定位置まで移動して。

 SSSBを装着するから、ストライクブーストのハッチだけ開けといてね》


「おっけー!

 蒸さないか心配だけど‪……‬こうか!」


 歩きながら、まぁ念じるというか背中の筋肉動かす感じでハッチをあけておく。


 何やら溝のある道路で、下で赤い誘導灯を振りながら誘導する人の指示に従って止まる。


 機体の両脇に何やら大きなクレーンみたいな機械がやってきて、多分それを運んできている。


 後方用のカメラ映像を回すと、見えてくる。


 まるで、やけくそみたいに束ねられたロケットの束。


 巨大なブースターの塊。


 これが‪……‬スーパーSソニックSストライクSブーストB‪……‬!



 機体へ固定されて、太いケーブルがアルゲンタヴィスのストライクブースト部分に接続される。




<インペリアル部隊長>

赤部隊隊長レッドセクションリーダーより、レッドセクション各機及び傭兵達へ。

 SSSB装着完了、並びにリニアカタパルトへ接続完了次第、報告せよ。

 レッドセクションリーダー、出撃準備良しスタンディングバイ!』


『レッドセクション1、スタンディングバイ』


『レッドセクション2、スタンディングバイ』


『レッドセクション3、スタンディングバイ』


『レッドセクション4、スタンディングバイ』



 いよいよか。

 カメラを戻せば、足元の溝の中を何かが移動して脚の下へやってくる。

 整備兵さんが何かいじってるってことは、これかな?


『レッドセクション9、スタンディングバイ』


<スノウウィンド>

『フェアリー、コールサインスノウウィンド。『スーパーメイヴ』、スタンディングバイ』


<オルトリンデ>

『こちらオルトリンデ。スカイヴァルキュリア、スタンディングバイやで』


<キリィ>

『キリィ、ブラックインパルス、スタンディングバイじゃ』


<サージェント・トルペード>

『サージェント・トルペード、私のデンジャラスボンバーはいつでもスタンディングバイ!!』


<エーネ>

『エーネです!キュアフル・ウィッシュ、スタンディングバイ!』



 足元の誘導員さんがサムズアップ。

 多分これが合図だ。


「大鳥ホノカ。アルゲンタヴィス、スタンディングバイ」



<インペリアル部隊長>

『全機、発進準備完了確認。

 時計を合わせろ、SSSB始動!

 カウント15で発進する!』


 SSSB始動。背中から少しだけ前へ向かう力がやってくる。


<スノウウィンド>

『各機へ通達。フェアリー、スノウウィンドはこれよりオペレートを開始します。

 各機体、リニアカタパルトボルテージ、規定数値。

 カタパルトコントロール、各機へユーハブ


 カウント開始。

 15、14、13、』


 いよいよか。

 操作は確か、ストライクブーストと最初は同じ‪……‬


<スノウウィンド>

『7、6、5、』



 来る。


<スノウウィンド>

『2、1、

 全機発艦開始!』



 ────ストライクブーストの要領で起動した瞬間、足から引っ張られるすごい感覚。

 人型兵器がカタパルトで引っ張られ、背中のストライクブーストの出力で押し出され、


 そして、空中に放たれる。


<コトリ>

《スロットル全開にしろ!!》


「OK!」


 ボン、と爆発するような音と、一瞬空気の壁みたいなのが周りに見えた。


 景色が一瞬遠くなって、凄まじい振動と一緒に空を飛び始める。


「これが‪……‬!」


 前みたいに、強化してなかったらきっと気絶してたようなすごい押しつぶされる感じも今は平気。


 平気だけど、これはすごい!

 空気を切り裂いて、空を飛ぶ。

 この機体の名前、『巨大コンドルアルゲンタヴィス』その物ように。



<エーネ>

『飛べた‪……‬!初めてです、SSSB!』


<オルトリンデ>

『おいでませー、超音速の世界へー♪

 てか、平気そうな声やな!ウチこれでも生身なんや、ちょいと頑丈やけどな!』


<サージェント・トルペード>

『右に同じなんだわー!

 きっついわー、これ相変わらず!』


<キリィ>

『騒げとるだけ平気じゃあ!!

 おい、鳥の字!随分静かやのお前気絶してないじゃろなぁ!?』


「鳥の字って私ですか?」


 早速呼ばれてる気がする。


<オルトリンデ>

『平気やろ、その子強化人間プラスアルファLv.4やで?』


<エーネ>

『あ‪……‬まって、ホノカちゃん私より上の?』


「逆にエーネちゃん強化してたの!?」


<オルトリンデ>

『その子がLv.2。

 あ、オマケで黒いのはLv.4や』


<キリィ>

『相変わらず不気味なヤツじゃのう。

 今時強化人間プラスアルファのガワなんぞ人と変わらんのに、一発で当てよる』


<オルトリンデ>

『そら、関西人やけど人間ちゃうもんな。

 ネオ舐めたらあかんで言うとるやろキリィ?』


「‪……‬ねお?」


<コトリ>

『ネオ・デザインドビーイングってまだ新しい子生まれてたんだな』


 何その舌噛みそうなの?


<オルトリンデ>

『ユニオンの子やったら知らんのぉ?

 ウチ自分で言うのもなんやけど、美少女な12歳のピチピチな女の子なんやけど、こんな銀髪の可愛いこそうそう』


「え?12歳??」


<オルトリンデ>

『ってその反応マジで知らんのかい!!

 アレやアレ、ガチで人っぽい新種なんやねんウチ。

 いや新種言うても70年前からおるけど、ほら聞かへん?

 試験管で作られる、色々と優秀な人っぽい生き物って話題やない?

 人権の問題とか、成長速度と老化速度が人間と違ったり、繁殖方法のアレコレとか、ニュースなっとるやん!

 なっとるやろ?』


「ニュース、お天気とかしか見てない気がするのではじめて」


<エーネ>

『聞いたことあるような無いような?』


<オルトリンデ>

『なんでやねん!!

 ウチ里親は火星やけど関西のおばちゃんらしいおかーちゃんといまいち頼りにならないとーちゃんなだけで結構すごい生き物なんやで!?

 目ぇ瞑ってても敵に当てられ‪……‬‪……‬』



 ‪……‬あれ?突然黙ってどうしたの、オルトリンデさん?ちゃん??ちゃんさん???



<オルトリンデ>

『全員今すぐアサルトブーストせぇ!!

 来る!!!』



 突然の声、私もなんか意味わかんないけど、意味わかんないまま回避行動にドヒャアと移動してた。


<レッドセクション6>

『おい突然なんだ、隊列を乱すな!』


 当然まじめに飛んでたインペリアルの人が注意するけど‪……‬‪……‬


 チカッ、って遠くで光が見えて、

 すぐ真横を何か光る物が通り過ぎた。


『『『うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!』』』



<レッドセクション3>

『あ、あ‪……‬エトナぁぁぁぁぁぁッ!?!?』



 一機、回避できず落ちた。

 アレか‪……‬なんでかは知らないけど、オルトリンデさんは見る前から飛んでくるのが分かったんだ!



<スノウウィンド>

『敵、長距離砲を確認。

 予想より射程が長い‪……‬!』


<オルトリンデ>

『ったく使えないなクソフェアリー!!

 下は調べたやろな!?来るで!!』


 何が来るかは分からないけど、とにかく避けよう!!

 今のでこの言葉は当たる。

 そう思って回避したら下から青白い何かが花火みたいに炸裂した。


<スノウウィンド>

『なんてこと‪……‬!?

 敵艦隊浮上!

 プラズマ対空防御砲です』


<オルトリンデ>

『遅いねん、フェアリー!!

 その頭から腕まで電子戦特化のレーダー腕やら飾りか!?』


<スノウウィンド>

『失礼。ネオの感覚にはやっぱり負けます』


「すごい能力だ‪……‬予知かな?」


<コトリ>

《に近いね。

 ネオことネオ・デザインドビーイングは、昔は荒廃してた地球の開拓の為に作られた人工知的生命体だ。

 ベースは人間だけど、いくつか別の生物の遺伝子が組み込まれてて、特に脳神経の構造がだいぶ人と違う。

 そのせいか、強化人間以上の空間把握能力とか、ある種の量子的揺らぎが脳で検知できるとか、脳波や電磁波を見れたり、超音波から低周波まで感じれたりして、そう言った総合的情報から見えない位置の脅威をいち早く察知できる。

 イルカとかのクジラの仲間には、音波でのエコーロケーションだけじゃなく、他の生命体の感情が分かるらしいけど、そういうものをより拡大した能力を持ってるってわけ。


 まさに新種さ。出生率だいぶ低いけど》


<オルトリンデ>

『なぁ、ホノカちゃんのとこのAIちゃん?

 聞こえとるで』


<コトリ>

《ここ数十年の火星の個体は絶対エスパーか何かだよ、ほら》


「そりゃすごいけど、肝心なこと忘れてない?

 ねぇいくら超高速戦闘でも、もうここが『戦場』ってワケ!?」


 また遠くでチカッて光った気がしたし、ぎりぎりであの光る真っ直ぐ飛んできた弾から避けれた。



<インペリアル部隊長>

『おかしいぞ!?

 交戦予定は残り2分の距離のはずだ!!』



<スノウウィンド>

『スキャン終了。解析終わりました。

 敵艦隊、予想より多く集結し、こちらの予想進路上全てに展開しております。

 仮想映像を同期』


 目の前の空の真下、ワイヤーフレームで表された沢山の敵の船と、ルート情報と一緒に、多分あのプラズマなんとか砲の予測した射線ってヤツが見える。


 真下から雨が降る感じの線の量で。



「棺桶ポイントが延長されてるってことで?」



<インペリアル部隊長>

『そこの傭兵スワンの言う通りと考えるべきだな!!

 我々が突破するのは既に壁では無い、地雷原だ!!』



「あーもう、お空の地雷原を超音速で突破か!!

 泣きたいなー、私!!」



 またやってきたプラズマなんとか弾を避ける。

 チカッと光ったら、すぐ回避!!


 こう言うゲームなかったっけ?

 命はかけてないヤツで!!


<インペリアル部隊長>

『各自散開!!

 生きてたら会おう!!』




 本格的に始まりました。

 地獄の『棺桶ロード』を駆け抜ける戦いが。


 この依頼、前払い7万じゃ絶対足りない!!




          ***

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