番外編 執事長の終活ノートⅢ

 前回の番外編はこちらからどうぞ!!

https://kakuyomu.jp/works/16817139558390252186/episodes/16817330647676595944



 ふぉっふぉっふぉ、わしは坊ちゃんから頼まれて、住人の村人と、リーナ殿と元居た屋敷のある町、ハイデルへの街道を作っていた。

 坊ちゃんから教えてもらった、石削魔術を用いると、前回より圧倒的に効率がいいのじゃ。


 一日で一キロ。自然が豊富な環境で育っている彼らの魔力量は、かなり多く、全員物覚えが良かった。石削魔術も全員が使えるから、二十日で終わることになる。

 あの崖、そうじゃの。名前を付けたほうがいいじゃろうか。

「すまんの、あの崖の名前は、何がいいかのぅ」

「え、名前つけるの!?」


「説明不足じゃったか、すまんの。名前があったほうが呼びやすいかなと」

「なるほど…。サイオンジ崖でよくね?」

「語呂が悪いのぅ。ほかには?」

「ジロウ崖とか?」

「なぜ、わしのなまえを使いたがるのじゃ。もっといいやつにしとくれ」

衣紋えもん掛けからとって、エモン崖はどう?」

 アオイ殿がそういった。アオイ殿は、先祖が日本系らしい。

「ギャグにするのか?まあ、湖の名前も、カイムによると親父ギャグ?らしいし」


「じゃあ、エモン崖にしちゃうぞい」

「了解!作業を再開しよう!」


 次の日に、石をわしらが取りに行くと、エモン崖に大穴が開いていて、その前にぼっちゃんが立っていた。

「な、何事じゃ!?坊ちゃん、お怪我は!?」

「ん?大丈夫だよ。だってこれ僕が作ったから、ダンジョン」

「だ、ダンジョン!?つ、作っちゃったんだ…」

 アオイ殿は、もう、しょうがないという顔で、そう答えた。


「あ、石はこの余った土でつくっちゃうから。どんな形がいいんだっけ?」

「あ、えっと、レンガみたいな感じで…」

「わかったよ!」

 坊ちゃんが、土をグニャグニャとさせていると、数えきれないほどの、きれいに加工された石ができていた。

「街道まで運んじゃうね?」

「お、お願いします?」


 坊ちゃんが風魔術と浮遊魔術の融合魔術を発動させると、石が宙に浮き、ものすごい速度で飛んで行った。


「街道ができたら、すぐに言ってね?そうしてからモンスター作るから」

「は、はい。分かりました」

 わしらは、ぞろぞろと街道に向かう。

 坊ちゃんはダンジョンに残って、階層の改築を行うそうだ。


「それじゃ、みんな、張り切ってやろうぞ!」

「おお!!」

 こぶしを天に掲げて、わしらは作業し始めた。

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