第39話 面倒

 あれから数回キャンプ用品を売りに行くと、毎回完売して帰ってくる。

 荷物が多いし、何より現地で僕が変換しないといけないから、効率が悪い。

 あ、この町への街道でも作ろうかな?

 そこで商売すれば面倒くさくなくなるよね…?

「ねぇ、執事長おじいちゃん。この町に街道ってつなげられるかな?」

 今日特別についてきた執事長に聞いてみると、出来るそうだ。


「早速、今日からお願いするね!」

「かしこまりました。しかし、少々人手が足りないかと」

「じゃあ、村で整頓スキルとか、持っている人を探そうか」

「ふぉっふぉっふぉ、ありがとうございます」


 なんと、村の人たちはスキルを持っていなかった…。

 いや、五歳の儀式ができなかった、ということなんだよね。

 今から僕がやっても大丈夫だよね。


「はい、じゃあ、十人ずつ横に並んで!」

 白い光で、スキルが発現するイメージを作る。

 多分、出来たかな?

 あ、整頓スキルいきなり発見!


「あなたと、キミはこっちに来てね。他の人は、仕事に戻っていいよ!」

 二列目、三列目と順番にやっていくと、整頓スキル持ちが十人集まった。

「はい、みんなに集まってもらった理由は、街道を作るためです!」

「どことどこをつなげるんですか?」

「ネンガ村と、セルトファディア領で一番大きい町だよ!」


「遠すぎません!?」

 まぁ、確かにね。二十キロくらい離れてるし。

「まぁ、何とかなるよ!」

「カイムくん!?」

「よろしくね…!あ、キミたちには、給料あげるから!」


 ネンガ村初めての給料。お、みんなやる気出たな!

 お金はなんて偉大なんだ!

「でも、ここらへんだと、人来ないよね」

 みんなが、張り切っていったあと、僕はピーノと、おじいちゃんの家で緑茶をすすっていた。

「そうですね。どうすれば人を呼ぶことができるのでしょう?」

「なんじゃ、なんじゃ、そんなの簡単じゃよ。ダンジョンを作るんじゃ」


 …ダンジョンって見つけるものだよね。攻略するものだよね…?

「ダンジョンってのは、急に出現するもんじゃ。作っても、リアルならバレないぞい」

「そ、そうなのかな?」

「そうじゃ、そうじゃ。村から少し離れた崖のあたりにつくれば、それっぽいじゃろ?」


「確かにそうかもしれないですね。カイム様、私にお手伝いできるのは、お世話だけですが、頑張ってくださいね…!」

 うう、そんなに純粋なまなざしで見られると…。

「うん、頑張ってみる!(前世の知識を生かしてね)」

「はい、応援しています!」


 とりあえず、崖のほうまで風魔術と浮遊魔術で飛んでいく。

 雑草を少し生やして、少しうっそうな感じにして、人が立ち入っていない感を演出してみよう。

 あとは、地下に向けて穴をあけて…。階層みたいにすればいいんだよね。

 耐震のために、鉄筋の柱を設置して…。


 あとは、モンスター。

 僕は、モンスターのイメージをア●クサと話し合った。

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