第38話 終了

 今回一回だけで、18,000,000セル稼げた。つまり、千八百万円かな?

 やばい!大金持ちだ!やったー!!にひひ、にやけが止まらない…。

「みんな、本当にお疲れ様!今度は人数と商品数を増やして来ようね!」

「疲れましたが、かなり楽しかったです!また参加させてください!」

 どうやら、商売は好評みたいだ!


 …あ、キャンプ場の商会忘れてた…。次でいいかな…?

「じゃあ、後は売り上げの報告と、十パーセントを収めるんだよね」

「はい、私たちは計算できないので、お願いします」

「はい、了解!」


 1,800,000セル…つまり百八十万円収めればいいのかな?

 僕たちの実際の利益は16,200,000セル、千六百二千万円かな。あぁ、もうわからなくなってきた…。

「はい、多分あってると思います。お預かりしますね。あ、忘れていたのですが、商会ギルドに登録されてはいかがですか?」

「商会ギルド?」


「商会協会ともいわれているギルド連盟に登録している、正規のギルドです。入ると、登録料や、年会費がかかってしまいますが、良売り場を提供してくれたり、生産や販売の手伝いにギルド職員が来てくれたりします。かなりメリットがありますよ」「うーん、でも僕たち定期的に販売できるかわからないんです」

「それだと、入らないほうがいいかもしれません」

「じゃあ、入るのはまだやめておきます」


 女の人は、僕たちを手を振りながら見送ってくれた。

 大きいけど、中が空っぽな馬車に揺られながら、ジオラス商会のみんなは村に向かっていた。

「いや、疲れましたね」

「そういえば、アレルさん、敬語じゃなくていいんですよ?僕はアレルさんと、もっと仲良くしたいんですよ!」

「え、わ、分かりました。あ、いや、分かった」

「はい、ありがとう!」

 

 誰も話さなくてさみしかった馬車の中にぬくもりが生まれた。


 僕たちは村に帰ると、すっかり日は落ち、夕食の時間になっていた。

「ただいま!」

 僕は馬車から飛び降りると、真っ先に執事長おじいちゃんとピーノ、リーナのもとへ向かった。

「ふぉっふぉっふぉ、お早いお戻りで」

「ご無事で何よりです!」

「おかえり」


「お、坊主!夕飯出来てるぞ!」

「ありがとう!ゾルフさん!手を洗ってくるね」


 今日の夕飯は、カレーだった。僕が生ごみからルーを作ったんだよね。

 みんな一度食べちゃうと、大人気になって、毎週火曜日はカレーの日になっている。

「うーん!!おいしい!!」

「いや、ただ煮詰めただけだがな」

「ううん」

 僕は首を横に振った。


「みんなが作ってくれるから、本来の味よりもっとおいしくなるんだよ!」

 キャンプで食べるご飯がいつもよりおいしいように、震災時に食べる炊き出しのご飯がおいしいように、誰かが、気持ちを込めて作るともっとおいしくなるんだ。

「はは、なんだか照れちゃいますね…」


 僕はご飯を食べ終えると、今日の残飯から、薄力粉と卵、砂糖、牛乳、炭酸水素ナトリウムを作って、パンケーキをごちそうした。

 いや、ベーキングパウダーって言え?いやいや、僕も科学好きですって、イキってみたい年頃なんです…。


「おいしい!スコーンより私はこっちが好きかな!」

「僕も!」

「いやいや、スコーンのほうがおいしいって」

「そうだよ!」


 やばい対立してきた…。マカロンでも作って収束させるかな…。

「はい、こっちも食べてみて」

 カラフルなマカロンに、みんな興味が一斉に移った。

 …、目新しいものが好きなんだね。

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