第16話 自給自足?
SIDEクリス
試験から2日立って私達は攻撃の際の力の入れ方。回避の仕方。受け身のとり方などを学んだ。スミソリアさんは昨日1日でこれだけのことを叩き込んできた。亀谷くんについていけるようになるため、短期間で学ばなきゃいけないとはいえきつい。そんな事を考えながら歩いていると亀谷くんが校庭でなにかしていた。何やってるのかなって思ってたら急に振り向いて「クリスさん。手伝ってくれない?」と聞いてきた。いいけど、さんってなんかあの娘アリスに負けた気がする。
SIDEミズル
僕は校庭であることに悩んでいた。調べたところここの土は色々なものを育てられそうだった。なににしようと考えていたところで後ろのクリスさんの気配に気が付き、手伝ってくれない?と言ってしまった。クリスさんは「いいよ。」と答えてくれたけど顔に少し不満が出ている。何か用事でもあったのかな?
「クリスさん。なにか用事でもあった?」
僕が聞くとブンブンと首を振って否定した。なんだったんだろう。
「それで、何を手伝えばいいの?」
クリスさんが聞いてきたので答える。
「これから、この結界の中で皆過ごすから野菜でも植えようと思って。それで、何を植えようかなと思って。クリスさんならトマトと小松菜とさつまいもとじゃがいもとかぼちゃの他に何を植えたほうが良いと思う?」
するとクリスさんは
「・・・私は、果物とかの植物なんかどうかなって思う。けど、今秋だけど育つの?」
なるほど、果物か。なら、林檎と蜜柑といちごなんかが良いかな。皆食べれると思うし。
「うん。そこは魔法でなんとかするよ。え〜と、あったかな?」
僕は空間倉庫のなかを探して今までの旅の中で集めた種を出した。
「うん。全部ある。クリスさん。少し下がってて。」
僕はクリスさんが下がったのを確認して空間倉庫から薄緑を出した。
【水刀 6の技 津波・三重】
僕は6の技を3回繰り出し植える予定の場所を掘り返した。
「ふぅ、これでいいかな。クリスさん、そっちに攻撃行ってないかな?」
見るとクリスさんはこの間のように放心していた。
「クリスさん?・・・立ったまま気絶は危ないと思うんだけどな。」
危ないのでクリスさんを起こすか眠らせたままにするか悩んだがここ数日色々あったので眠らせておくことにした。
【空間倉庫】
毎度おなじみ空間倉庫からベットと掛け布団を出しクリスさんを寝かせた。少し秋風が寒いかもしれないので結界で囲っておく。これで大丈夫だろう。さて、
先ず種を植えて、次に土を被せて、その次に水をたっぷりとやって、そのまた次に肥料を与えて、で最後に
【成長促進】
【魔力供給】
魔法を使って植物を無理やり成長させる。この方法は魔力をかなり使うのであまり使う人はいないけど、災害時に重宝される魔法の一つ。その魔法のおかげでぐんぐんと育ってきた。
この調子なら後十分ぐらいかな。その間にこの魔法を魔石に付与しておこう。これを設置しておけば今成長しているものと同じ植物が最大限成長するまでは成長するはず。
・・・・・そう思っていた時期が僕にもありました。
「ミズル。この巨大な赤い果実はなんだ?」
スミソリアの冷たい声が僕に刺さる。
「・・・トマトです。」
僕の目の前には木のように成長したトマトの茎と人の頭ほどあるトマトの実があった。
「食べごたえがありそうだな。ミズル。これ食ってもいいか?」
ゴイルは口から涎を垂らしながら聞いてきた。確かに食べごたえはありそうだけど・・・。
「駄目。何があるかわからないから。鑑定してからね。」
そう言っている間にアリスが鑑定をかけたようだが
「・・・だめです。鑑定が跳ね返されました。ミズル様、これ本当にトマトですか?」
アリスの鑑定も効かないらしい。実は僕の鑑定も名前しかわからない。
ジャイアントマト
不明
これは・・・切り取るしかないかな?
「アリス。スミソリア。ゴイル。これ一つ収穫してみる。もしかしたら攻撃してくるかもしれないから迎撃準備。クリスさん。九沢くん。矢木さん。他の人達を下がらせて。」
この場には全生徒とアリスたちと僕がいた。つまり全員だ。流石に守りきれないかもしれない。
「わかりました。」
とアリス。
「わかったわ。皆死にたくなかったら下がって!」
とクリスさん。・・・死にたくなかったらって。
「・・・よし。行くよ。」
先ず魔法で試してみよう。
【ウォーターカッター】
水の刃が実と茎を切り離しに飛ぶ。しかし。
シュン
「えっ!」
魔法は効かなかった。・・・消滅したのだ。おそらく魔法耐性があったんだろうな。けど、初級魔法とはいえ同じくらいの威力でブラックフェンリルを倒したんだけどな。けど、どうしようか。魔法はもっと上の中級も上級もあるけど他にも被害が出そうだし・・・・・よし。中級で駄目なら刀で行こう。
「ミズル様。どうかしましたか?」
「アリス。今から中級を試す。それでも駄目なら刀を使うから。」
「わかりましたわ。」
アリスに今からやることを伝えもう一度魔法を放つ。
【アイスカッター】
【ライトニングカッター】
2種類の魔法を挟み込むように放った。今度は茎の部分で爆発が起こった。煙が晴れるとそこには・・・全く効いていない茎やトマトがあった。
「「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」」」」
・・・・なんでこんなのジャイアントマトなんかできたんだろう。わからない。けど、とりあえず今度は刀でいってみよう。
【水刀 2の技 鉄砲水】
ドシン
すると、なんということでしょう。技の余波だけで切れました。
「え、・・・まだ技当たってなかったんだけど・・・。」
・・・とりあえず鑑定しよう。
ジャイアントマト
種族:植物
特性:魔法霧散、魔力蓄積、魔力成長
説明:特別な方法で作られたトマト。魔法攻撃によるダメージを受けないが物理には弱い。普通のトマトが大きくなったもの。美味。
・・・普通のトマトが大きくなったものらしい。・・・魔法を霧散させるものが?まあ、美味しいらしい。良かった良かった。
「このトマト美味しいみたいだよ。これだけ大きかったらいくら食べても平気だね。」
「「「「「「「「「「「「そうじゃないでしょ!」」」」」」」」」」」」」
全員に突っ込まれた。
異世界で魔法剣士〜今は地球に戻って、魔物を討伐する〜 梟 森 @1318
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