『考える短歌』で考える
ウイルスのホストジャンプの奇怪さは擬人化されしアニメキャラ並
ウイルスが変異して、別の宿主(ホスト)で病原性を獲得することを「ホストジャンプ」という。
これまで人間に感染したウイルスの多くは、他の動物からホストジャンプした結果だと考えられている。
たとえば(宿主のコウモリには目立った病気を起こさない)エボラウイルスが、ホストジャンプして人間に感染すると(致死率50~80%の)エボラ出血熱を引き起こす。SARS(ハクビシン)やMERS(ラクダ)も同様である。
コロナ禍で何かと話題なのが新宿歌舞伎町。
そこのホストたちと俵万智が、歌集『ホスト万葉集』を作ったとか…。
二年ほど前から俵は「ホストの皆さんと歌会をしている」そうだ。
歌舞伎町の七十五人が三百首『ホスト万葉集』を上梓するとふ
短歌に興味のない人でも「俵万智」と聞けば、歌集の『サラダ記念日』を思い出すだろう。
1987年に歌集としては大ベストセラーとなった『サラダ記念日』の一首。
〈『この味がいいね』と君が言ったから7月6日はサラダ記念日(俵万智)〉
2020年の〈サラダ記念日〉に、俵万智がツィートした。
「今は『いいね』の数を競うような風潮があるけれど、これはたった一つの『いいね』で幸せになれるという歌です」
それから小一時間で一万件を超える「いいね」が付いたというから、世の中は面白いではないか。
そんな俵万智が「言葉の技術を教えます」というから、これまでの作風から受ける感じとはチョットちがうなぁと感じる。
「高校教師だったから」と言われれば確かにその通りだが…。
新潮新書『考える短歌』で述べている。
「短歌は、心と言葉からできている。まず、ものごとに感じる心がなくては、歌は生まれようがない。心が揺れたとき、その『揺れ』が出発点となって、作歌はスタートする。それは、人生の大事件に接しての大きな心の揺れであるかもしれないし、日常生活のなかでのささやかな心の揺れであるかもしれない。いずれにせよ、日頃から、は心の筋肉を柔らかくしておくことが、大切だ。そうすれば、さまざまな揺れに、柔軟に対応することができるだろう」
そして「禅問答のように聞こえるかもしれませんが」と断ったうえで続ける。
「もし、自分が短歌をつくっていなかったら、慌しい毎日のなかで、『あっ』と思うことがあったとしても、思いっぱなしで過ぎてしまうだろう。/短歌を作っているからこそ、その『あっ』を見つめる時間が、生まれる。たとえ隙間のような時間であっても、毎日の小さなつみかさねこそが、大切だ。『あっ』を見つめて、立ち止まって、味わいつくすことが、心そのものを揉みほぐしてゆく」
おっしゃるとおりであるが、なかなか〈技術〉の話が出てこないではないか。
「では、なにかに感じる心があったとして、それを具体的に形にするためには、言葉がなくてはならない。日々のできごとや思いを、そのまま素直に、短歌として書きとめるにも、やはり、ある程度の言葉の技術は必要だ。それは、絵を描いたり、写真を撮ったり、楽器を演奏したりするのと、同じである」
そのためには、抽象的な理屈を並べるのではなく、なるべく具体的な〈添削〉という手法をすすめて、こう念押しする。
「あくまで、言葉の技術という観点から、『ここを、もう少しこうすれば、ぐっとよくなるのでは』――という提案としての添削であるということを、強調しておきたい。それはすなわち、心の柔軟体操のほうは、各自でおねがいいたします、ということでもある」
さすがは元高校教師だ。うまく説得された。
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