『エッセイ』や『ノンフィクション』とタグ付けされてはいないので、あくまでひとつの『創作物』や『文学作品』という【てい】で掲載されていますが……その生々しい内面の描写や経歴の描き方からは、色々と察せられるものがあります。
まさに太宰治の『人間失格』令和版とも呼べる作品であり、『私』の恥の多い人生が綴られています。
しかし何をもって『恥』とするのか?何が正しい『常識』で、『普通の人間』とは一体何なのか?という疑問が、読者に向かって強烈に投げかけられている印象でした。
他者への共感や世間にはびこる『当たり前』を理解できないが故の人間失格、しかし『普通の人間』の皮を被ったところで、はたしてそれが本当に普通の『善き人間』なのか?という矛盾。強者を叩き、弱者を生み出して迫害し、社会に蠢く『普通の人間』達に迎合するのが『常識』ならば――本当に人間失格なのは誰なのか?と深く考えさせられる内容でした。
この作品を読んで、色々と共感したり共通する部分を見つけられる人は、きっと多いと思います。しかし真の意味で『理解』できる人は皆無だとも思います。
『面白い』という表現が適切かは分かりませんけれど、この作品を読むことができて良かったと感じました。太宰治の『人間失格』を何回も読んだ身としてはね。
オススメレビューなのに気軽にオススメはできませんが、一人でも多くの『人間』が読むべき作品だと思いました。