第3話
夏。夏。夏。
何度繰り返しても夏はやってきて俺に擦り寄った。いなくなったような顔をしてもちゃんと背中におぶさっていて、割り箸がうまく割れなかった時なんかは実に楽しそうに心臓をつついた。歯医者に行く前は不服そうで、酒を飲めば愉快気で、一人布団にくるまっていると手を叩いて喜んでから俺の頭を優しく撫でた。夏は夏のくせにひんやりとした気配で、でもきちんと俺の息を荒くして身体を汗ばませることができた。夏は多分、俺のことが好きだったんだと思う。
過去形にしたのは、夏がいなくなったからだ。
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