1章最終話+あとがき(言い訳ともいう)

「それじゃあ行ってきます! 希美も気をつけて学校行くんだよ」

 GW明けの金曜日、明日からまた休みだってのに学校に行かなくちゃならない少ししんどい中間の日。


「それはこっちのセリフ! お兄ちゃん一応病み上がりなんだから気をつけてよね、用心して学校行ってよね! 今度はその……まっすぐ家で私の事待っててよね!」

 そんな日もあるさ、と受け入れて妹の希美に行ってきますを言うと、返ってくるのは心配して、少し泣きそうになった声。


 月曜日、すごく心配かけたもんな。

 帰って僕が居なくて、探してもいなくて……ごめんな、心配させてごめん。今日はまっすぐ帰ってくる、希美の事、家で待ってるよ。


「……そう目をしっかり見て言われるとキモいかも」


「どうすりゃいいのさ。まあいいや、とにかく行ってきます!」


「うん、行ってらっしゃい! 行ってらっしゃい、お兄ちゃん!」

 ぶんぶんと手を振る希美に僕も手を振って自転車に乗り込む。

 ふふっ、風が気持ちいや……なんだか結構いい気分!



 ☆


「……あ、おはよ工藤さん」


「うん、おはよ……佑司君」

 気持ちいい風の中、ゆっくりと自転車をこいで学校に着いたけど、駐輪場で早々と工藤さんに遭遇、二人きりで工藤さんと遭遇。


 ……いや、嫌なわけじゃないんだよ? 遭遇とかそんな言葉使ってるけど、嫌なわけじゃないんだよ?

 でも、その……気まずいじゃん! あんなことあってすぐだからさ、だからその……なんか会うの気まずくてちょっとドギマギしちゃう!


 そんな僕の様子を置いておいて、工藤さんはテクテク僕の隣に近づいてきて。


「佑司君……教室、一緒に行かない? 一緒にいってくれたら嬉しいな」

 いつもなら抱き着く間合いに入って……でも今日はそう言う行動はせず、僕の隣にちょこんと立って。いつもとは違う間合いでゆらゆらと距離を測る様に隣に立って。


「うん、一緒にいいよ。一緒に行きましょ……教室、一緒に行きましょう」


「……ありがと、佑司君」

 そう小さく言ったいつもとは違う工藤さんと一緒に教室に向かう。


 その道中で工藤さんが口を開いて。

「あのね、佑司君。私、頑張るよ……今までの自分、捨てて頑張る。佑司君の言ってくれた大好き……お清楚で優しい人にはなれないかもだけど……でも頑張る。佑司君の大好きに近づけるように頑張る!」


「……頑張れ」


「頑張るよ、私! 頑張って、佑司君の大好きになって、佑司君の理想の女の子に近づいて……だからね、その時は私の事、大好きになってね」


「……うん」

 そう言ってニコッと微笑む工藤さんに僕も複雑な笑顔で応えた。



 ☆


「よー、佑司久しぶり! 元気しとーや?」


「うん、元気だよ、ありがと竜馬に日向」


「そりゃよかった! そんでさ、GWなんだけど……」

 GW明けの学校という事で当然その話題で教室は持ち切り、楽しい声がいっぱいに響く。

 こういう声聞いてると、やっぱり学校っていいな、ってなる……楽しいな、やっぱり学校は! 友達と話して、いっぱい好きな事……うん、楽しい!


「おーい、席着けよ~! HR始めるぞ~!」

 そんな当たり前の楽しさに浸っていると、名簿を持った先生がそう声を張って教室に入ってくるので、僕も言われたとおりに席に戻る。


「あ、おはよ、樹神君……えへへ、昨日もありがとね」


「うん、こちらこそ……でも、今はしーっ、だよ」

 席に着くと後ろの席の斉川さんがつんつんと僕の背中をなぞりながら、朝の挨拶。

 昨日の電話も楽しかったね! でも今は先生いるからそっちに集中だよ!


「えへへ、そうだね、ありがと……えへへ」


「うん……ん?」


「ううん、その……樹神君がまた、学校来てくれてよかったな、って。前の席誰もいないの寂しかったから……だからまた学校来てくれてよかった。ありがと、樹神君」

 そう言ってニコッと可愛く微笑む。


「……それはこっちのセリフだよ」

 斉川さんのおかげで僕はまた学校に、向き合う勇気が……やっぱり僕、斉川さんの事大好きだ。


 その笑顔も、電話の時の楽しそうな声も、少し慌てた表情も、トマト食べられないところも……全部好き。斉川さんの事、大好きだ!!!



「……」



 ★★★

 ここからちょっとあとがきです。


 一旦ここで一章工藤さん編が終了となります、ここで一旦このお話は終了です。

 ここで終了にする理由は大きく一つで、完全に展開が最初の予定から外れてしまって、今後予定していた話とつなげるのが難しくなってしまった、という事が一番大きな理由となります。


 もともとは完結まである程度の流れを想定して書いていて、佑司君と斉川さんは大体思い通りに動いてくれたのですが、その他の人、特に工藤さんがかなり暴走してしまって、かなり流れから逸脱してしまいました。

 あとサブキャラ達(ダリア先生、日向君亜理紗ちゃん等々)もかなり暴れてしまい、ちょっと手に負えないような状況になってしまったので、いったんここで終了とさせていただき、展開や話をもう一度練り直して、また続きをかけたらいいな、と思います。これは「変態幼馴染」の方もそうなので、この二つは気長に待っていただければと思います。


 あと、宣伝なのですが、今日の8時ごろに新作をアップします。もしよければそちらも呼んで頂けると嬉しいです!!!


 それでは最後に……感想や☆やフォローなどしていただけると嬉しいです!!!

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後ろの席の怖い女の子と話してみたら、めっちゃ可愛くて趣味もあって最高だった!~前の席の女の子も積極可愛いし、高校生活大満喫!?~ 鈴音凜 @akibasuzune624

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