裏開催・楽しいGW

《斉川さん視点》


「いえーい、お前ら! 楽しんでるか~! 楽しんでるよなぁ、私楽しいもん!」


『楽しいー!!!』

 暗いカラオケボックスの中で、マイクを握ったつむちゃんがそう楽しそうに声をあげるので、私たちもつられて同じ反応。


 GW二日目、休み中は樹神君にも会えないし、家でのんびりゴロゴロしようかなんて考えていたところにやってきた天啓、つむちゃんからのカラオケのお誘い。

 この前樹神君といったばかりだけど、でも別の友達と行くのは楽しみだし! だから来ました、仲のいいみんなできました!


 つむちゃん、とみちゃん、亜理紗ちゃん。さくらちゃんに隣の席の飯田真衣ちゃん。この6人で今日はカラオケ、回転は悪いけど、でもやっぱり楽しい!


「いえーい、楽しいぜ! でもでも、私は恋バナの方が聴きたいんだぜ! 特にそこ! 亜理紗とさーちゃんとあやのん! そっち方面に聞きたいんだぜ!」


『え、何で私たち!?」

 嬉しそうに声をあげながら私たちの方に指をさしてくるつむちゃんに思わず身体がビクッと反応。え、何で? わ、私、あの……樹神君とは別にまだ、そんな……まだそんなんじゃないですよ!


 そんな私たちの反応を見て、つむちゃんはにやにや笑いながら。

「いやー、だってこっちは推しタイプですし? 好きというよりは推しを作るタイプですし? ね、とみちゃんまーちゃん?」


「うん! 私は隣のクラスの翔太君が推し! めっちゃカッコいい、見てるだけで嬉しい!」


「わ、私はその……さくらちゃんと亜理紗ちゃんには悪いけど、新君と日向君が推しです。あの二人の絡みが好き……あと、葵君も」


「べ、別に野村は関係ないよ、私と! そのだから、あの……べ、別に関係ない!」


「え~? 誰も亜理紗の相手が日向君だって言ってないけどぉ~? ちなみに私も日向君推しだな~、日向君めっちゃカッコいいし!」


「う~……バカバカ! 芽衣のバカ!!!」

 からかうように挑発したつむちゃんに亜理紗ちゃんが超反応。

 それもう認めてるようなものだよ、亜理紗ちゃん……みんな知ってるけどさ。


 亜理紗ちゃんと野村君が仲いいのはみんな知ってるよ……スーパーで二人で楽しそうに買い物してるところとかお家から二人で出てくるところ見た、って言う目撃情報いっぱいあったし。仲良しさんなんだな、って。


「亜理紗は大好きだもんね、野村君の事! ほれ、もういった? どこまで行った?」


「ど、どこまでって……ま、真衣! べ、別に私は野村と何も関係ないし! 何もないし! この前、その、お泊り……ああ、うるさい! 私は何もないの、野村とは何もないの!!! ご飯美味しいって言ってもらえるの嬉しいとかそう言うの無いし!!! お義父さんとお義母さんに挨拶したとか、そう言うの無いし!!!」


「もう全部言ってるじゃん、それ答えじゃん。やっぱり……まあラブラブの亜理紗は置いといて! 次はさーちゃん! さーちゃんはどうなの、先輩と何か進展あったの? 先輩にアピールできてるの?」


「それ! ちょっと聞いてよみんな! バカみー君の話聞いて!!!」

 惚気たようにふわふわしている亜理紗ちゃんを放っておきながら、次はさくらちゃんに話しが振られると、正反対に声を大にして机をボンと叩く。

 え、何があった何があった? 何があったの、さくらちゃん?


 確かそのみー君? って人、幼馴染で部活の先輩さんだよね? 一回話したことあるけど、優しそうでいい人だったイメージ。さくらちゃんにもすごく優しくて大事にされていたイメージ。


「そう、みー君いい人! カッコいいし、口ちょっと悪いけど、でもそこも好き! それでそのみー君なんだけど! 全然気づいてくれないの! みー君今一人暮らしだから、幼馴染特権で一緒にお泊りしたり、遊んだり……でも全然気づいてくれないの、私が大好きな事! 私がみー君の事好きな事、全然気づいてくれないの……私の事、妹くらいにしか思ってないの! 全然私の事女の子扱いしてくれないの! 私がいるのに年上大好きって言うし! 私がいるのに年上大好きだし、妹としか見ないし! 私という可愛くてちょうどいい幼馴染が居ながら! 大事にしすぎ!」


「た、確かにさくらちゃんは妹みたいかも……」


「晶まで! 私、悔しい! みー君が妹扱いしかしないの悔しいの! そりゃ確かに私が告白しては恥ずかしくなって、なんか早い気がして『嘘だよ~』って言うの昔から繰り返してきたけど……でも本当に好きだもん、ずっと好きだもん。だから、その……みー君はバカ、なんだ……本当に、バカなんだから……好きになってほしい、私の事、ちゃんと」

 もぞもぞと指を絡めながら、そうぶつぶつ呟く。


 その告白の仕方、よくわかんないけど悪手だと思うな……そんな事繰り返してたら、伝わる思いも伝わらなくなっちゃうよ。その好きな気持ちはちゃんと伝えないと、ダメだと思うけどなぁ? そんなんじゃみー君さんも気分悪くなっちゃうと思うよ。


「ううっ、綾乃ちゃん……そんなのわかってるけど、でも……あっちもしょうがないなぁ、みたいな感じだし、だから……やっぱりまだダメ。ちゃんとお互い大好きになりたい、みー君と大好き同士になりたい……それで手つないだりギュッとしたらもっと気持ちいいもん、嬉しいもん……えへへ」


「さーちゃんは臆病だからな、変なところで。いつもは超積極的なブルドーザー対応なのに……それじゃあ、最後はあやのん! あやのん、佑君と進展あった? 工藤ちゃんというライバルいるけど、何か進展はあった?」


「あ、それ、私も気になる! 綾乃ちゃん、この前抜け出してたし、こだまくんのために……だから私も気になる!」


『私も私も!』

 つむちゃんととみちゃんの言葉に、さっきまでわなわなしていたみんなもキッとこっちを向いて楽しそうに微笑む。


 え、何でそんな私の……そ、そんな気になる、私と樹神君の、その……関係というか、そう言うの。

「そりゃー、気になるよ! だってこの前樹神君のために抜け出してたんだよ、樹神君助けるって言って! そんなん言われたら気になるじゃん、愛の力気になるじゃん! 綾乃ちゃんと樹神君の愛の力……私、気になります!」


「あ、愛の力……べ、別に私は、だって、その……愛とかそう言うの無い! 愛とかわかんない、こ、樹神君とはまだそんな関係じゃ……そ、そんなんじゃないもん!」

 愛とかそう言うのじゃないし、その……こ、樹神君は私の事そんな風に思ってないだろうし! だ、だから、その……私の勝手です、進展とかないです!


「え~、うっそだぁ! それじゃあ一昨日はどうなったの? 学校抜け出して、それで……その後どうしたの? 何があったの?」


「え、一昨日……あ、あの、えっと……か、カラオケ行って、いっぱい歌って……そ、それだけ! えっと……ほ、本当にそれだけ! それだけだから!」

 なんかほかにもいっぱい言った気がしたけど、あの時緊張とかで頭真っ白だったし、あんまり覚えてないというか! すごく恥ずかしいこと言った気もするけど……ぜ、全然覚えてない! 何も覚えてないです、一切記憶にございません!


「へ~、そうなんだ……それじゃあ最後の質問良い? あやのんは佑君の事好きなの? 佑君の事大好きなの?」


「え、いや、え!?」


「答えてよ、あやのん! そういう所、聞きたいもんあやのんの口から! あやのんから直接、そう言う話……ね、みんな!」


『うん!』

 みんなが期待するような目で私を見ている。

 みんな私がなんていうか期待した目で……ううっ、恥ずかしいけど、で、でも……う、うん!


「さあさあ、あやのん! あやのん!」


「……私はその、えっと……こ、樹神君の事がだ、大好き、です! 私も大好き、樹神君の事、大好きです! 私の初恋、です!!!」

 みんなの前で、大きな声でそう宣言する。

 樹神君がどう思ってるかわかんない、めんどくさいとか思われてるかも……で、でも私は大好き! 樹神君の事、大好きです……本当に大好きです!!!


 私の宣言を聞いてみんなは大団円で盛り上がって。

「よっしゃー、良く言ったあやのん! みんなあやのん応援するぞ、工藤さんに負けるな! ふれーふれー、あやのん!」


『頑張れ頑張れ綾乃ちゃん!!! 頑張れ頑張れ!!!』


「う、うん! 頑張る……頑張ります!!!」

 応援してくれるみんなのためにも私は頑張るとここに誓う!

 大好きな樹神君と大好き同士になるために……私はここに頑張ると誓います!!!



 ★★★

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 明日、一旦最終回?

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