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35-31。総合先端未来創世は再び逆転したものの、1トライの点差である。
残りは五分。守り切るか、引き離すか。
犬伏(SO 1)→二宮(SO 2)
芹川(N8 3)→児玉(N8 2)
その時、二人の二年生が交代で入ってきた。ナンバー8とスタンドオフ。荒山の前後に当たるポジションだった。確かに二人とも連戦で、疲れが見えていた。また、スタンドオフの交代は以前にもあった。だが、あの時ほどは追い込まれていない。また、児玉は体力はあるだろうが技術では芹川に及ばない。ここから得点しようと考えるならば、芹川の方がいいだろう。
鹿沢監督は、守り切る気だ。ベンチの方を見ると、近堂と古龍もアップしていた様子だった。おそらく、リードされたままの場合も想定していたのだろう。
宝田には、できない作戦だ。
選手としても指導者としても、鹿沢はそれほどの実績があるわけではない。たまたま学校にいた教師に、監督が務まるのか。荒山は、疑っていた。
しかし、気持ちは変わった。鹿沢が優秀かはわからないが、少なくとも任せるに値するとは思った。
「守り抜くぞ!」
荒山は声を上げた。
守ると決めると、不思議と攻められるものである。紀玄館田辺の猛攻が続いた。ゴール前、必死になって皆が守る。反則も許されない中、耐え忍ぶ時間は続いた。
「どわっせー!」
残り一分。二宮の渾身のタックルが、相手を後退させた。一気に総合先端未来創世が押し返す。ボールは奪い返せなかったが、それで十分だった。
笛が鳴った。後半終了の合図。
総合先端未来創世は逃げ切った。
(試合終了)
総合先端未来創世高校 35-31紀玄館田辺高校
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